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THE 日記(12/2〜12/8)

十二月二日
 久しぶりに『オーシャンズ11』観たらおもろすぎて朝まで観ちゃった。
 ナイキのCMが賛否両論みたいになっているらしく、「え、否とかあるの?」と思って調べたら、否定してる人たちの意見は単純に凄まじく残虐なものだった。わからない、凄くこう何か納得する理屈があるような反対意見もきっとあるんだろうけど、この時見えたのはそういう、今まで自分が認識していたような「否」のレベルを大きく逸脱した「否」で、こんな人たちが平気で暴れ回る国が日本だよね、はっはっは、と思った。差別国家じゃん。差別だけでここまでやってきたんだろ? アーイ?

十二月三日
 朝八時に起きる。無理矢理。また夜型に戻りつつあったから力技。意外と平気。洗濯。ストファイ。なんか、あんまり楽しくない。飽きてきてる可能性。こっから上に行くには人生賭けないといけない気がする。だから同じことの繰り返しになってる。YouTubeを色々観て回る。家出る。バス。下北。トロワシャンブル。小説について考える。やっぱりなんか書けない。書く気にならない。何かがおかしい。一から考え直してみる。ナヌークのノートに書きながら考えていると、何を書こうとしているのかが自分の中に皆無なことに気付いた。そりゃそうだった。『影分身と饅頭』を書き上げたばっかりだ。出し尽くした。でも書いてないと落ち着かない気もする。少し前に足立が興奮しながら「本田翼と松岡茉優から告白されたらどうします!?」と夜のセブンイレブンで言ったのから始まり、顔がかわいいってどういうことかをここ数日考えていて、それに基づいて国民的アイドルと仲良くなった男の話を書こうとしていた。何かが上手く駆動せずに、それは明らかに俺が焦って迎えに行きすぎているからだと気付いた。そしてそれをそのまま書けばいいことにも気付いた。物語に変換させずに、地の文で、「顔がかわいいってどういうこと?」ってそのままそれを書けばいいことに。そうすることにした。語りの段階を一歩後退させたことによって全体がカチッとハマる感じがあった。あ、なんかうまくいきそう、わかんないけど、という手応え。朝無理矢理起きたからやっぱり眠い。
 働く。帰路。丸ノ内線の中で『三国志』を読む。もうすぐ一巻終わる。おもしろい。北方謙三が凄い。呂布が嫁さんをめちゃ大事にしてるのに嫁さん以外には鬼みてえに冷酷なのが良い。無茶苦茶に人を殺しやがる。曹操が一人で董卓と呂布を追いかけてボロボロになるところとか、書き味が凄かった。こんなにしっかり文字に熱中する感覚は久しぶりだった。昨日風呂に浸かりながら恋人とした、「最初おもんなくて段々おもしろくなっていく話って、もうおもんないんだよ」という会話を思い出していた。三国志は全部で十三巻。おもろくなくなったらすぐに読むのやめる。物語を追いかけるのは一種の暴力的行為、残虐性の発露。我の通し合い。まなみんが言っていた「本は好きだから、本だけは最後まで読まなくていいって思っときたい」みたいな言葉のことも思い出しながら、今は風呂上がりで、換気扇の下で煙草を吸っている。寝る。

十二月四日
 八時に起床。丸ノ内線。吉祥寺。ニッポンレンタカーに着いたらちょうどかべしとまなみんと足立がもう車に乗ってて発進するところだった。慌てて助手席に乗る。俺がグーグルマップを見ながらナビする。アンジーの家に着いたら、「ポテサラは?」と聞かれて、「え、乗ってないよ」と応えると、ちょうど前からチャリに乗ったポテサラがやってきた。引っ越し開始。俺とかべしはもう友人たちの引っ越しを十回以上やってるから完全に手際がプロ。新居の洗濯機や冷蔵庫の位置を聞いて、それらをいつ積み込むかのタイミングを瞬時に判断。バケツリレーの配置を決めて、どんどん運んでいく。アンジーが荷造りをかなり完璧にやってくれていたからスムーズ。すぐに「これは三往復」と目処が立つ。かべしに「三だな」と言うと、かべしももうわかっていたみたいで、「うん」と言う。プロい。神社に参ってる時ぐらいの神聖な気持ちで家具を運ぶ。新居までまたナビして、バケツリレー。新居も二階で、俺と足立が階段を担当していたから結構息が上がる。広くて日当たりが良い部屋。もう一回同じメンバーで旧邸に戻ってしまうとアンジーが乗れないから、まなみんには残ってもらって再出発。ポテサラとぺっしはチャリで行き来する。二回戦。余裕。めちゃめちゃ晴れてる。すぐに全部終わって、伊勢屋に行こう、と、かべしとレンタカーを返却。伊勢屋まで歩いて、みんなで焼き鳥をむちゃくちゃ食う。腹いっぱい。一旦ぺっちゃんちに行って、ぺっちゃんママ&おばあちゃんと話しまくる。俺とまなみんが「本屋行きたい」とワガママを言って、バサラブックスに入る。谷崎潤一郎全集の一巻を見つけて、買った。Taiko Super Kicksのカセットも。百年に。「引っ越し手伝ってくれたから一人一冊本買ってあげるよ」とアンジーが言って、芥川龍之介の『羅生門』が入った岩波文庫を買ってもらった。コタローが来た。アトレでケーキを買った。ボウリング。俺、かべし、コタロー、足立の四人VSポテサラ、ぺっちゃん、アンジー、まなみん、の四人。三回やって三回とも僅差で勝った。親指の爪が剥げてめちゃめちゃ血が出てきた。西上くんとクイズが来た。吉祥菜館。疲れと眠気でヘロヘロだった。俺は烏龍茶一杯だけ飲んで、みんなはがぶがぶメシを食っていた。またぺっちゃんち。「こんな大人数ですいません」と謝りながら屋上で話した。恋人が来た。まなみんが帰った。アンジーの家に移動。良い部屋。解散。恋人の家に。風呂に浸かって寝た。

十二月五日
 五百八十四人。最多。
 恋人が妊娠して、それをみんなに報告したら乾杯してお祝いしてくれた、という夢を見て起きた。
 書くこととお金を稼ぐことが分離しつつある。しなきゃいけないと思う。その実感が日に日に強まる。

十二月六日
 恋人とKITINに行ってケーキを買う。店員さんが熊本の人で、「あ、僕も熊本なんですよ〜」「そうなんですか。どちらですか?」「大津町です」「あ〜、大津」というような会話。
 笹塚まで歩く。行きたかったお店が軒並み閉まっていて、結局バスに乗って初台のデニーズ。パスタとサラダとパンを食って、気付いたら寝ていた。目の前にテニスコートがあって、みんなテニスをしていた。帰宅。『オーシャンズ12』を観ながらKITINのケーキを食う。うまい。風呂。寒い。『三国志』の一巻を読み終わって、恋人が「ゼリー食べたい」と言ったから「じゃあ俺買ってくるよ」とコンビニに行った。いくら探してもゼリーが一種類しかない。帰ってきて、「ゼリーこれしかなかった」と渡すと、それはゼリーじゃなくてフルーツのシロップ漬けみたいなやつで、なんか猛烈に悔しくて、「なんでゼリーないんだよ!」と両脚で地面を叩きまくった。『オーシャンズ13』を観た。おもろかった。

十二月七日
 起きて、冷凍したごはんを解凍して、レトルトのハヤシライスをテキトーにぶっかけて食った。煙草を吸って、バス。ニューヨークのラジオの、ななまがりがゲストの回を聴いていた。森下さんのエピソードがやばすぎておもしろい。
 働く。ボーナストラックの広場に出てテイクアウトの人たちを待ち受ける。寒かったけどストーブがあったから大丈夫だった。オリジン弁当を買って帰宅。弁当食う。うまい。風呂貯めてるあいだに谷崎潤一郎『刺青』。凄い。風呂浸かりながら『三国志』の二巻。おもろい。呂布が奥さんのことを大事にしまくっていて、無茶苦茶人殺しまくるのに家に帰って奥さんの太ももの間に手入れて寝てる時だけが最高、みたいなことを思ってて、その残虐さとの振り幅というかただの在り様が良い。風呂から上がったら恋人は寝ていた。部屋の掃除。ゴミまとめて捨てる。洗い物もする。岩波文庫を並べる。満足。キッチンマットとバスマットを新しく買おうと思う。玄米茶飲んで寝る。

十二月八日
 起きたら夕方。出かけようとするも、恋人と真剣な話をしていたらタイミングを逃し、ポテサラが来る。西上くんが来る。成都に行ったらぺっちゃんがもう座っていた。メシ。うまい。帰宅途中でコンビニに寄る。この前見つけられなかったゼリーの居場所を恋人に教えてもらって、「なんでこれを見つけられないんだ俺は?」と思う。ぺっちゃんと恋人は『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』を観ていて、その隣の部屋で俺らは会議。西上くんがくらいくらい公園のホームページを仮で作ってくれていて、見せてもらったら予想以上に綺麗なホームページで、お〜、となる。あれこれ話し合っていたら、あっという間に終電間際で、ポテサラと西上くんは帰って行った。ぺっちゃんと恋人と、不死鳥の騎士団の続きを観て、ぺっちゃんも帰る。体調が悪くなってきて、ぐったりする。お茶を飲んだら復活した。ピアゴに行く。食材を色々買って、味噌汁を作る。風呂。浸かりながら、ヴァージニア・ウルフ『船出』を読む。おもろい。なんだか最近体調が悪い。熱はない。鼻水も喉の痛みもない。ただ体がぐったりする。体がぐったりすると、書くことが淡々としてくる。冷ややかさと熱さを行き来するやり方とそのバランスのことを思いながらドライヤーで髪を乾かして、のむヨーグルトを飲んだ。

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