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THE 日記(10/7〜10/25)

十月七日
 夜の八時に整骨院に行った。骨盤矯正をしてもらったけど相変わらず値段が高いのでもう行くのやめよかな、と迷う。

十月八日
 CRカップカスタムを見てたら釈迦さんが無茶苦茶強くて感動した。

十月九日
 CRカップ本戦。
 働き終わったあとにTwitterを見たら、釈迦さんが最終パルスでマウスの充電が切れてぐちゃぐちゃなってるクリップが流れてきた。
 スタヌさんチームをよく見てたからチャンピオン獲ってほしかった。二次会のProject Winterでうんこちゃんが天月さんの真似するところで爆笑。

十月十二日
 『ドライブ・マイ・カー』を観た。おもろかった。無茶苦茶眠かったから、おもろくなかったら寝ようと思っていたけど逆にバキバキになるぐらいおもろかった。銀座らへんのTOHOシネマズで観た。良いTOHOシネマズだった。
 数年前まで毎年四百本ぐらい映画を観ていたけど、段々と観方がわからなくなってくるというか、退屈な場面でも勉強の意識が薄く張り付いて、これを観たら俺は賢くなるという勘違いで頑張っていた。それをやめて素直になった今、それでもきちんと濱口さんの映画をおもろいと思った自分に救われる。
 「読書はどこまで行っても娯楽になり得ない」と言っている人がいた。その言葉をずっと考えている。そんなことないだろ、と思う。むしろどこまで行っても娯楽スタートじゃん、と思う。勉強と娯楽に区別が付いてるのが変だ。楽しくて勉強してる奴もいる。だから俺は、書いてようが書いてまいが、濱口さんのおもろさが入ってきたことが嬉しかった。書いてると、「これは書いてる人とか何かを創ってる人にしか伝わらないんじゃないか」みたいなのでブレーキを踏む瞬間があるけど(お笑いで言う「裏笑い」みたいな)、でもそれはあんまり気にしなくていいな、と思えた。結構伝わる。

十月十四日
 昨日の雨で全部洗い流された。快晴。澄んだ夕方。起きてすぐに洗濯機を回した。家の窓を全部開けてタバコを吸った。部屋の中が黄色い靄に包まれていた。秋だった。なんとなく、だけど重大に、大丈夫なのかもしれないと思う。こういう瞬間にだけ許される気持ちがあった。
 Apex。ランクを回す。割と勝って、腹が減ったので外に。日高屋で唐揚げ定食を食う。七つ森でコーヒー飲みながら柴崎さんの『千の扉』。おもろい。
 今何冊同時に読んでるんだ? 千の扉、廃墟の形、哲学探究、オン・ザ・ロード、ブリーディング・エッジ、ジェイン・エア、波止場日記、ビンティ、ソラリス、長い一日、熱風、ペッパーズ・ゴースト、ペンギンの憂鬱。十二冊。馬鹿。でも昔からそうだった。そして順番に段々と、二十代前半を過ごした友人たちみたいにいつの間にか居なくなって読み終わる。

十月十五日
 昨日恋人と猛烈な喧嘩を経て、仲直りしたものの、もうあまり会いたくない気持ちが強く、それをメールで言う。そういうことすら素直に言える相手なんだから大丈夫だろうな、とも思う。

十月十六日
 新宿のピースに入ろうとしたら店の表でおじさんが小田急ハルクを支える円柱を見て「でっかい柱だぁ〜!」と叫んでいて良かった。プロットを書く。
 西口のブックファーストに行く。品揃えが良い。スーザン・ソンタグ『反解釈』を買う。帰りの電車で読む。おもろい。
 恋人の家に。洗濯機を回して、コインランドリーに持って行く。乾燥機がさらさらと音を立てて熱く回転している間に、そこはオシャレカフェみたいな空間だったから、お茶とかも飲み放題で、その機械の前に立ってみたものの紙コップが切れていた。だから表の自販機でコーラを買った。そしたら常温のが出てきた。ブチギレそうになってコーラを自販機に投げようと腕を振り翳した瞬間に堪える。危ない。完全に投げるところだった。
 寝る前に『千の扉』。終わっちまう。勝男さんの過去のところで泣く。

十月十七日
 起きたらもう夕方で、慌ててタクシーに乗って外苑前に。ぺっちゃんとポテサラと合流して路地裏でタバコを吸い、あまりにも寒いから目の前の自販機でホットコーヒーを買った。しばらく歩いて、プールサイドの展示に着いた。奥の空間で今まで作った映像を流していて、不倫調査のやつがおもしろかった。
 トーヤくんと初めて会ったけど優しくカッコいい人で、妙に馴れ馴れしく接してしまった気がして、日記を書いている今になって少し恥ずかしい。長尾くんは相変わらずなぜかポテサラのことが大好きで、ポテサラがちょっとボケるだけで爆笑しながら「最高」と言う。「二人でラジオやろう」とまで誘う。なんでだよ。
 プールサイドのバイタリティーは見習わないといけない。
 そして自宅に帰ってくるとApexランク。割と順調。
 寝る前に羽毛布団を出して、カバーをかけた。カバーの四隅には紐がついていて、羽毛布団本体についている穴と結ぶことによってズレを防げるようになっているから、それを恋人と結ぶ。こういうめんどくささも共有すれば少し楽に、むしろ豊かになる、ということを忘れがち。良い時間だった。

十月十八日
 働く。帰りのバスで『千の扉』を読み終わる。柴崎さんは宝や。凄い。
 帰宅してApex。プラチナⅢに突入。休憩中に考えたこと。それは阿久津さんが「書く人」という枠に囚われていないのを身近で見てきたり、今まで出会ったかっこいい人たちが肩書きの前に一人の人間として俺と接してくれていること、そういうのを思い出していた。俺は「書く人」という意識の持ち方が変だ。それは芸能人に憧れる様と似てる。本当にそうなった人は意外とそんなにナルシズムに走ってない。だから別に普通にただ生きようと思った。
 そういうことを考えて、ランクに戻る。プラチナⅣとⅢを行ったり来たり。

十月十九日
 寒い。松屋で焼肉定食を食って出勤。
 帰りのバスで『波止場日記』を読む。
 朝までApex。プラチナⅣとⅢを行ったり来たり。厳しい。
 二十八歳になって本当に一人きりになりつつあるな、ということを考えた。「ファイヤーダンス失敗」という名前のおかげでたくさんの人に会えた。書くことの偉大さを信じて選んだこの道だったけど、今じゃもう誰もいなくなって、いやいるんだけど、こういう風にみんなバラバラになっていくんだな、というそのフェードアウトの具合を体感している。自分でよく考えて選んだ。後悔してない。

十月二十日
 起きて、Apex。なかなか勝てない。ダイヤが遠い。行ける気がしない。
 働きに向かうバスの中でスーザン・ソンタグ『反解釈』を読む。おもしろい。バイトが終わったらみんなで遊ぼう、と提案をするが、各々が各々の事情でなかなか集まれない。いつまでもこんな、アルバイトをしながら小説を書いてる放埒な男なのは俺ぐらいで、みんな自分のことで手一杯だ。そういうことを思いながら新宿駅のエスカレーターに乗っていた。
 高円寺の北口のロータリーに着くと蓄積した疲労のせいで死んだ顔をしたポテサラがベンチに座っていた。「顔やばいよ」と言って二人でタバコを吸った。アドアーズに行ってメダルゲームをする。400枚預けていたのを受け取って、横並びに座って無心でメダルを放り投げていく。ポテサラが大爆発を起こして、フィーバーが止まらない。メダルが癇癪を起こしたみたいにどんどん出てくる。マシーンの中のメダルが尽きて店員さんを呼ぶ。ぺっちゃんが来る。400枚スタートから2000枚に増やした。久しぶりに単純な運動の反復をやって頭がスッキリした。夜の高円寺を歩きながらポテサラが「さっきの俺はどうかしてた」と言った。メダルが堆く積み上がっているタワーが台座に押されて爆音を立てながら崩れる。シンプルな快楽。
 俺の家に行って、コンビニメシを食いながら話す。夜中にポテサラが帰って、ぺっちゃんと二人で六時間TWICEの映像を観る。椅子から全然動かずに。一生観れた。改めて、意外とMVって観てないよね、となって、MVを見返していた。Like OOH-AHHのジョンヨンが最高だった。この画像のやつ。かっこいい。

 ぺっちゃんは始発で帰った。

十月二十一日
 アレルギーが爆発して目覚める。全然寝れなかった。クレジットカードの有効期限が近付いていて、新しいカードは郵送されるらしいけどまだ来てなかったから銀行に直接聞きに行こうと思って家を出た。口座に登録してる住所を今の住所に変更して下さい、と言われて、「それ関係あるのか?」と思いながらも従う。そしてなんやかんや、あとはクレジットカードの裏面に書いてある電話番号にかけて自分でやってくれ、とのことだったので、高円寺の南口のロータリーで電話をかける。保留音を一生聞かされたあと、色々やりとりをしていくと、やはりさっきやった口座の住所変更は関係なく、既に今の住所に送ったけど俺が書留郵便を受け取れないまま返送されていたようだった。解決。
 新宿に。紀伊國屋でスーザン・ソンタグ『ラディカルな意思のスタイルズ』とサルトル『文学とは何か』を買う。『文学とは何か』を読んでるのはちょっと恥ずかしいのでそっちにだけカバーをかけてもらう。お会計が終わると目の前に木村くんが立っていて、二人で散歩をしよう、と寒い曇り空の新宿に出る。ノドが乾いていたからスタバに入ってゆずシトラスティーを買って、高円寺方面に向かって歩いた。とにかくこの散歩が良い時間だった。一時期ちくま学芸文庫ばっかり読み漁っていた時期があり、それで頭がおかしくりそうだった、という話を木村くんがした。そもそもそれは、俺が紀伊國屋を出たあたりで木村くんに「ロラン・バルトの『明るい部屋』って読んだ?」と聞いたからだった。それから二人はアルタ近くの喫煙所でタバコを吸いながら、「らしさ」に囚われて沼ってる人をよく見る、勉強が伸ばしてくれる部分はそういう古典的な箇所だけだから、勉学の後に元に戻ってこないといけない、というような話をした。
 段々とApexの話になって、二人は橋に着いた。川を泳ぐ鴨を見下ろしながら、ダイヤに行きたい、Lスターに3スコは付けない、上手い人はみんな付けてる、俺たちは前線張れる奴がいない、などと話した。まいばすけっとに寄って缶チューハイを買った。ぐびぐび飲む。かなり酔う。
 あっという間に俺の家に着いて、ぺっちゃんが来た。成都に行って、メシを食った。木村くんってアイドルとか好きになったことある? と聞くと、ゴリゴリにあって笑った。ジョンヨンみたいに集団の中で一人だけ別の方向を向いてる人、ガーリィさの競争の中でボーイッシュに向かったり、前線の奪い合いの中で後衛に徹したりする人が好き、と話した。
 駅前で解散。
 帰宅してApex。酔いと睡眠不足でヘロヘロだ。それでもやる。負けまくる。

十月二十二日
 十時間ぐらい寝たのに体が無茶苦茶重い。体調ベリーバッド。

十月二十三日
 誰かが押したインターフォンで起きた。みんな集合。一本だけネタを撮る。無事に終わらせて、渋谷へ。
 クイズと長尾くんも来てくれて、撮影開始。順調に。スタジオの近くにSPBSがあったから、俺と落合が寄りたいと言って、みんなで入る。だけど俺と落合は何も買わずに、逆にポテサラとかクイズが何かを買っていた。無限大ホールの近くのガストに入ってメシを食う。食い終わったあとにタバコが吸いたいと言って俺とぺっちゃんとクイズで外に出ると、どっかのお店が爆音でTWICEを流していた。
 クイズに『ドライブ・マイ・カー』観た? と聞き、そこから関連して『寝ても覚めても』を思い出したので、落合に彼女と全く同じ顔の人現れたらどうする? と聞く。そして西上くんが意外と内容をかなりしっかり覚えていて、その話をする。おもろかった。木村くんと歩いた時もそうだったけど、俺は常に真剣な話というか、仮の問いを立ててそれをめっちゃ考える、というのをやるのが好きだった。みんなが酔ってデロデロになっている場面よりもコーヒー飲みながら考える、という方がやっぱり良いな、と思えたのはやっぱり割とコロナが緩和してきてるからだろうけど、また第六波来るんだろうね。
 みんなでガストを出ると、まだTWICEが流れていて、落合が「この曲なに?」と聞いた。『Heart Shaker』だよ、と教えて、俺とぺっちゃんが大声で歌う。
 帰宅して即Apex。結構落ちる。そして改めて真剣に考える。少し前に、ダブハン爪痕の人がテキストチャットで「kokoyowaikarabasyo kaetahougaii」(ここ弱いから場所変えた方がいい)と教えてくれたことがあって、俺はその場所の強さ弱さがまだ全くわからない。それが問題だと思った。立ち回りが命のこのゲームにおいて、エイムのことばっかり気にしている。

十月二十四日
 働いて、帰宅するなりまたApex。木村くんと西上くんと。結構落ちる。日曜だからか人が多すぎて、みんな同じプラチナ帯と言っても力の差がいつもより広くて対応できないイメージ。プラチナⅣの真ん中まで落ちた。無理かもなダイヤ。木村くんと西上くんが抜けて、そこから一人で朝五時まで張り付いてやる。昨日考えていた場所の強さ弱さを気にしながら動いていると、なんとなく掴めてきた。そもそもこのゲームは場所の奪い合いで戦っているのか、と。ここと戦わないと場所取れない、という時だけ戦えばいい。パルスを背負いながら向かう場合それが起きやすく、先入りしていたらそこを保つために戦う。そういう理屈を今さら初めて言語化できた。そうなると、敵が来ないか見ておかなきゃいけない箇所が多いところが弱く、見ておく場所が少ないところが強いことになる。この理屈は多分正しい。それを習得したあとから、味方に立ち回りがヘタな人が多くて苛つく。
 プラチナⅢの真ん中に戻した。急に無茶苦茶勝った。
 何日か前に落合とポテサラとやった時にウィングマン99で無茶苦茶ダメージを出したことがあって、その時の動画を落合に送って、解説というか、こういう考えのもと動いている、と説明した。それはフラグメントの真ん中の建物での戦闘だった。「突っ込みます」と宣言して中に入り、左の壁からパスファが顔を出してきたのでまずは純粋にそいつと1on1をやりアーマーを割って、右の階段からもコースティックから撃たれて、すぐに建物の外に出ようとしたら落合も俺と同じタイミングで中に入っていて、コースティックがフォーカスを俺から落合に移したのが見えた。左のパスファは回復したがって顔を出してこないだろう、というのを読んで、外には出ずにそのままコースティックにウィングマン四発入れてダウン取ってから外に出た。こういう理屈は、落合に説明しようとしたこの後からのタイミングで自分でも初めてわかることで、戦闘中には言葉にできない。でもそういう理由で動いている。ストファイをやっていた時もそうだったけど、その最中にそのことを考えることはできない。これは書くこともそうだと思う。いや厳密にはできるんだけど、それをやってると上手くいかない。理性が本能に染み込むのを待つ、というこの感覚はいつも不思議だった。戦う→反省→戦う→反省、を繰り返していると、その反省が勝手に戦いの最中に染み込んで、習得になる。脳みそって凄い。

十月二十五日
 働きに向かう前にApex。あっという間にRPを200ぐらい溶かす。うーん、と思う。
 バスの中で、吊り革にぶら下がっている小学生がいる。脚は地面から離れている。腕力に頼って浮いていた。楽しそうにしていた。
 夜、雨。

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