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THE 日記(7/30〜8/11)

七月三十日
 駐車場で車止めに座ってカルピスを飲んでいた。タバコに火をつけて小説の続きを書いた。
 ボーナストラックに着くと、桜木さんが前から歩いてきて、「ナンバーガールのTシャツ着てる人今日で二人目だ」というようなことを言った。俺は今日ナンバーガールの白のTシャツを着ていて、一人目は黒だったらしい。
 桜木さんと通り過ぎたすぐあとに小学生が二人、自分の靴を空中に向かって蹴りながら歩いていた。マジックテープを解除した状態で蹴ると靴が前方に飛んで行く。そのことがおもしろいらしい。そして小学生が蹴り上げると、マジックテープが貼ってあろうが剥がしてあろうがそもそも結構ジャストサイズだったらしく、靴は蹴り上げの動作の終盤でやっとその足から絡みつくように離れて、少年自らの額にヒットした。「いてえ!」と言っていた。俺はニヤニヤしながらその横を通った。

七月三十一日
 Apexのランクが、あとちょっとでプラチナⅢというところで完全に止まっている。底まで落ちることはないけど、あとほんの12RPが取れない。意味がわからない。頭おかしなる。
 ポテサラは朝から晩まで編集をやってくれていたようで、ケツを叩いてくれた。ので、俺も編集をやる。小説も書く。呼称の問題がこんなにも全体に大きな影響を与えるとはマジで思っていなかった。

八月一日
 働いている時に、あ、八月か、と思った。

八月三日
 たんぜう日。二十八歳。

八月四日
 クリスタルガイザーの定期便を頼んだ。

八月五日
 休み。
 クリスタルガイザー届く。四リットルのペットボトル六本。四リットルのペットボトルがデカすぎて笑う。
 タネマシンガンの編集をやる。結構やる。気付いたら夜になっていて、部屋は真っ暗でメシも食ってなかった。くらくらいの電話会議。コンビニに行って食糧を調達して、みんなでApex。

八月六日
 今日も編集をやろうと思っていたけど低気圧からか頭が全然回らず、ちょっとしかできなかった。
 夜にVCCの配信が始まって、スタヌさん視点で観ていた。山田涼介さんの会話ぶりが凄かった。
 延長戦の六試合目、岡奈なな子さんがスタヌさんのデスボからクレーバーを取って、ありえないぐらいヘッショ連発でチャンピオンを獲った。え、と思い慌ててにゃんたこさん視点に切り替えると、いつものあの声で絶叫していて最高だった。

八月八日
 文學界選考委員になった金原ひとみさんのコメントが最高だったからそれをツイートしたら所謂バズみたいなことが起きていて、それで「金原ひとみのコメントを使ってバズを狙う奴は使用料を払え。大体こういうやつに限って金原ひとみのエグい作品を読んだことがない」とか言われていた。読んでますけど。読んでなかろうが言いたいこと言うし。そして使用料を払うことを金原さん本人が望んでるなら全然払いますよ。お金欲しいかどうかはあなたが決めることじゃない。
 ちょっと前にオリンピックの開会式の台本を勝手に作ってツイートした時も「冗談でも殺すとかは言わない方がいいと思いますよ」とかリプライが来てシカトしたけど、誰が何言うかをなんで自分が操作できると思ってるんだろうか。そういう人が多すぎる。勝手に思っとくのはいいけど、それを相手に伝えるのはよほど親密じゃない限りマジでやばいと俺は思うんだけど、まぁお前がそれをどうしても俺に言いたかったら言ってくれていいんだけどさ、諦めようぜ他人を操作することを。俺もこういうこと書くことによって操作したがってるように見えるかもしれないけど、そうじゃないんだ、別に言ってくれてもいいんだけど、本当に無意味だよ。俺絶対に言論の自由だけは何があっても手放す気ないから。他人は操作できない、ていうことを飲み込んだ上でコミュニケーションを始めた方がお互い無駄に疲れずに済むやないですか。
 俺の周りには違法な商売やってる奴もいれば朴訥と暮らしてる奴まで、でっかい幅の中に色んな奴がいて、でもみんなに「それやめなよ」て言ったことはない。好きにやって各々がハッピーだったらそれでいいやん。それ以上どうしたい?

八月九日
 B&Bで新潮の最新号を買う。錚々たるメンツ。
 なんかもういいや、と思ってApexパックを五千円分買う。スパレジェ出てくんないかな、と思うも全く出ない。コースティックのかっこいいスキンが出てきたから、しばらくコースティックを使うことにする。

八月十日
 疲れが、どっ、と。
 帰ってきて、風呂。風呂入ったらだいぶ楽に。みんなも湯船に浸かろう。
 新潮、柴崎さんの『法と秩序』を読んで泣く。ドラマの内容と現実を行き来することで横に揺らされた感覚。今までの柴崎さんは縦に揺らしてくる印象だったから、なんかまた凄いことやってるなぁ、と楽しく読んだ。劇中劇は冷めることが多い。でも柴崎さんのはそうならない。劇中劇を劇中劇として書くんじゃなくて、現実に足をつけたまま劇中劇を書くから、それは劇中劇なようで劇中劇じゃない。だから「アマゾンファイアTVスティック」という単語が出てくる。
 ちょっとApex。眠いから早めに寝る。

八月十一日
 起きて、Apexのアプデを進ませながら、タバコを吸ったり水を飲んだり。
 カジュアルでチャンピオン一発獲って、丸ノ内線に。今月の新潮を読んでいると如実に自分の好みがわかるというか、最初の数行を読んで「うーん……」となる感覚が大切だった。それはつまり、そういうものを自分は書かないようにしたい。
 銀座に着いて、出口どこだ、と思いながらふらふらテキトーに歩いていると、前方に白いTシャツを着た若者が、恐らくスマホでGoogleマップを見ながら歩いていて、あ、あの人もワクチンやろ、と思いながらついて行った。だけどどこかで彼を見失い、結局自力で外に出た。結構歩いた。銀座六丁目スクエアに着くと、俺は正面入り口じゃないところから入ろうとしていたらしく、警備員みたいな人が注射のハンドサインをしながら「注射?」と言った。「あ、はいはい」「向こうだよ」「ありがとうございます〜」と入口から入ると、やたら白く無機質な部屋で、これ結構不安になる無機質さだな、とエレベーターに乗った。ボタンは一階と十三階しか押せないようになっていた。たくさん人がいた。検温の列に並ぶと、俺以外がみんな何かの紙を持っていて、え、何それ、何も持ってこなくていいはずなんだけど? と不安になる。検温する時に「予診表とかは持ってない?」と聞かれて「持ってないです」と応えると、じゃあこっちで書いて、と促されて、やっぱり大丈夫だった。机が低かったから、凄い屈んだ状態で住所やら何やらを書く。黒のヒールを履いて水色のタイトな服を着たセクシーなお姉さんがいて、右肘に何か線が入り組んだような刺青があった。ワクチン打つだけなのにそんなかっちょいい服着てくるのイイネ、と思っていたけどよく考えたら注射が打ちやすいようにその服を選んだのかもしれない。いよいよ打つぞ、という時に、ちょうど俺の前にあったパーテーションの中で、医師の人が「あら〜、そうなんですね〜」みたいなことを言って、パーテーションが緩く開いていたのをしっかりと閉めた。何かあったんかな、と思いながら俺も覚せい剤を左腕に打ってもらい、「ご気分どうですか?」とすぐに聞かれる。こんな打ってすぐ聞くってことは、打った瞬間気分悪くなる人とかおるんだろうな、と思って、「緑色と紫色が美しく混ざった大きな木が目の前にあります!!!ここは靄に包まれている。あ!白い大きな鳥が、群れになって飛んで行きました!!!!」と素直に言うと、「じゃああちらで16:49まで様子見られてくださ〜い」と、おとなしく椅子に座ってこの日記を書いた。
 その椅子に移動する時、さっきの何かあったようなパーテーションの前を通った。お姉さんが座ったまま胸を押さえて深呼吸していて、注射が大の苦手なようだった。いざ打つ直前まで来てみて、やっぱり怖くなったのかもしれない。誰か、彼女が信頼の置ける相手が、彼女の手を握って大丈夫だと言ってあげるべきだろうがあぁん!?!?殺すぞ!!!

 落合と駅で待ち合わせて、モスバーガーに入る。ぺっちゃんが来る。薬局で痛み止めを買おうとしたら、今は薬剤師が不在でイブしか買えないと言われる。イブは家にあるから帰る。モスバーガー食ってタバコ吸ってイブ飲んで、とやっていると、西上くんも来て、みんなで編集大会。二人にプレミアの使い方を教えると、ぐいぐいやってくれてかなり進んだ。

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