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THE 日記(8/12〜8/31)

八月十二日
 ワクチン打った方の腕が痛い。体がなんだかグデっとする。Apexやったり編集やったり。ずっと家にいた。
 さぁ寝ようと思った段階で激しい腹痛と吐き気に見舞われて、めちゃめちゃ眠いのに眠れず苦しい。

八月十三日
 吐き気で目覚める。意味がわからない。バイトを休ませてもらってひたすら寝る。熱を測ったら37.2℃あった。冷えピタと氷枕で寝まくる。明け方には熱が下がってきて、大丈夫か、と思う。副反応が強めに出たようだった。

八月十四日
 下北の薬局でイブクイックを買う。働く。
 大雨のなか帰る。小田急線快速急行のホームに降りる長いエスカレーターの最後、前にいたお姉さんから何かが落ちてカランコロンと言った。それはエスカレーターの最後の段差に突っかかり続けて、段の境目が彼の下を通る度に、カチッ、カチッ、と固い音を立てて少し震えた。拾うとそれは、光の当たり具合によって貝殻のような淡い虹色を発するプラスチック製の何かだった。リボンみたいな形をしている。「すいません、何か落ちましたよ」と声をかけると、その人はその虹色の塊を見つめ、「あ、え、私じゃない……と思います…すいません」と言って、そうなるともう誰の物なのかわからない。違うんだ、と思った俺はそれをどうすればいいのかわからず、とりあえず近くにあったベンチの肘掛けに置いて電車に乗った。
 丸ノ内線に乗り換えると、目の前に座っているハンチングを被った若い女の人が文庫本を読んでいた。オレンジ色のブックカバーをかけていて、かなり分厚い。終盤だった。おもろそうにめりめり読んでた。終盤だもん。そりゃもう作者も表層のことなんかとっくに忘れて自動筆記モードの無双状態で書いてるところだ。それはなぜか読み手に伝染しますね。
 レッドブルを飲んだ。雨による低気圧のせいなのかワクチンの副反応のせいなのかわからない、その体調の鈍重を金色の液体で押し流した。
 帰宅、即風呂。なぜか急にBUMP OF CHICKENを聴きたくなって天体観測のMVを観る。声が良すぎるだろ、と思った。でも別に凄く熱心なファンだった期間があるわけでもなく、本当にただなんとなく聴きたくなった。
 ポテサラと落合と木村くんとぺっちゃんとApex。木村くんとポテサラとランクに行く。火力発電所の近くの家に三人で籠って、周りに集まってきた四パーティーぐらいの対処をする。苦しい。ドアを壊されていてチャーライの射線が通るからそこ気を付けて!と言い続けていた。ポテサラがガスを置きまくっていたおかげで、他のパーティーは俺たちの家をスルーしてくれて、ジャンパでどっかに行った。パルスを背負いながら左側の岩場に向かって、敵のジャンパを踏んで入る。俺たち含めて残り四部隊で、目の前で二部隊がやり合っているのを、キルログが流れてくるまで我慢していた。失血死のキルログが現れて「残り3部隊」の表示になった瞬間顔を出すと、確かに敵はデスボの前に立っていて、中距離での撃ち合いが始まった。お互い最後の漁夫を警戒して慎重だった。もうすぐ最後の収縮が始まるのにもう1パーティーがまるで姿を現さず、これはどっかにハイドしてるだろうと読んで、一応後ろにちょっとだけある段差をクリアリングすると、一人だけしゃがんでる奴がいた。Lスターで割ったところで逃げられて、木村くんがそいつにトドメを刺しに行こうとしたので「出過ぎないで!」と注意した。場所キープしたまま仕留めてくれたようだった。場所不利を確信した最後の1パーティーが詰めてきた。スイッチする感じで詰めてきたので普通に勝った。金ノックが一人いたからそれをみんなで撃って、チャンピオン。嬉しい。
 そのあとは、落合ポテサラとランク。急にめっちゃ負ける。マイナス100ぐらい喰らって、カジュアルに移行。俺が「なんでカバー来てないん!?」と怒ったりしていた。
 Apexの、ローバとヴァルキリーというキャラがなんだかエロかわいらしい関係で、その二人の会話を聞く度に俺は「いいね〜」と微笑む。神成きゅぴさんもそのカップルが好きらしく、ヴァルキリーがローバに「次は人口呼吸してくれたらいいな〜」とか「私はお姉さんを買いたいな」とか言ってるのを聞きながら「ぎゃ〜!!!涙出てきた!!!」と叫んでいた。その切り抜きを見て、俺は神成さんも大好きだから、この動画は全てが最高やな、と思った。

八月十五日
 トロワシャンブルでコーヒーとシナモントースト。柴崎さんの『千の扉』を読み続ける。おもろい。しかしやっぱり体調が悪い。めっちゃ悪いわけでもない。なんか地味に優れない。
 お会計の時に「1150円です」と言われたので1200円出すと、店員さんは「んっ?」と言った。その言い方が良かった。本当は950円だった。「あ、1150円って聞こえちゃってました、すいません」と言った。すぐに理由を言えて良かったな、とも思った。

八月十六日
 ペットボトルを捨てようと家の外に出て階段から下の階に降りると、目の前の道路でおじさんが仰向けに寝ていた。横に警察官がいて、よく見るとおじさんの頭のまわりには血の水たまりがあった。死体だった。すぐに家に戻って、ペットボトルは捨てられなかった。飛び降りか、事故での落下か。でも思ったより綺麗な全体で、本当にただ寝てるだけにしか見えなかった。警察や消防車がわらわら集まってきて、皆が上空を見上げていた。ということはやっぱり落下死のようだった。初めて人の死体を見た。

八月二十一日
 フジロックの配信でナンバーガールを観る。TATOOありがめちゃめちゃ良かった。大声で歌いながら観た。

八月二十二日
 落合から電話がかかってきて、タネマシンガンをもっとたくさんの人に観てもらいたい、という話だった。同じだった。プールサイドは今日M-1の一回戦を通っていた。アマチュアで、人前でほぼ漫才をやったことないのに凄い。プールサイドに売れてほしい。トーヤくんには会ったことないけど、見聞きしている感じ、落合のベストパートナーだと思う。二人組ってのはムズイ。反対な部分と同じ部分がどっちも必要で、反対な部分が多ければ多いほど対外的には魅力的になるけど、そうなると単に仲が悪くなってしまう。ごく僅かな同じ部分の強度が高いことで接合を保つコンビが素晴らしい。それはお笑い芸人だけじゃなくこの世の二人組全て。プールサイドはそれな気がする。そういうのは、なろうとしてもなれない。
 帰宅して木村くんとApexをやっていたら、野良の奴からメッセージが来た。「アーマーとんなや」「500レベルでプラチナは恥ずかしいな」と二通。赤アーマーを着ていたそのオクタンが俺の目の前で脱いだから、基本こういう時は上げるよ、のサインだから、そう思って貰ったんだけど、キレてるみたいだった。なんやこいつ、と思って、「なんでアーマー脱いだの?」と返事をすると、「青アーマーで相手削って、一回戻ってきて赤アーマーすぐに着てまた倒しに行く」というプランだったらしい。ボイチャオフってるくせにその繊細なプランが俺と木村くんに伝わると思ってるのか? そして「報告できないから俺が悪い。すいませんでした」と来た。え、おもろ、と思った。俺から返事が来たことにビビったんだろうか。恐らくだけど、多分こいつは普段から色んな奴にメッセージを送りまくってる。ゲームよりもこっちのがおもろい、と思った。聞きたい。返事来たからびっくりして謝ったの? その繊細すぎるプランって野良でボイチャオフで伝えるのムズくない? 普段から割とみんなにメッセージ送ってるの? とか。

八月二十三日
 起きて、コーヒーを淹れて、飲みながら自分のYouTube用の動画を撮って、編集、即アップロード。
 そのあとは何をしたんだろう。どうせApexやってたんだと思う。

八月二十六日
 かまいたちさんがパチスロ北斗の拳の実機を買っていた。小学生か中学生かの時にゲーセンでずっとやっていて、打ち方は確か兄ちゃんから教えてもらった。濱家さんと山内さんが打っているのを観ていたらめちゃめちゃ打ちたくなった。ゲーセンでいい。

八月二十七日
 恋人に誕生日プレゼントでレコードプレイヤーを上げたから、アンプとスピーカーを二人で探していた。目的はそれなはずなのに、俺はついついヘッドホンコーナーの前で立ち止まって、オーテクのオープン型のヘッドホンを買った。音が猛烈に良い。ただオープンなので音漏れはしまくる。だから外では使わないようにして、毎日のご褒美として寝る前に爆音で聴こうと思った。
 喫茶店に入ると、隣にいた男女四人組が探り合いをしていた。音楽の話とかお笑いの話とかをして、要するに好みが合うか、価値観が合うか、を効率的に探り合っていた。でもそれは俺にとっては不毛なアプローチすぎて聴いてるとイライラしてくる。他人をわかろうとする時に重要なのは「何を好きか」だけじゃない気がしてるからだった。どう好きか、どのように好きか、の方が大切で、それは同じ時間を過ごす蓄積、もしくは「それ聴いてるとハッピーかい?」や「どういう時に聴くの? 朝起きた時とか?」という風なことを聴くことでしかわからない。この四人は確かに繋がりを求めてはいるんだろうけど、そうじゃなくない? とどうしても思ってしまう。隣で勝手に盗み聞きしてるんだから余計なお世話だ。簡略化を計る関係性のパンデミック。

八月二十八日
 くらいくらいの電話会議。ネタの内容について一時間話す。ちょっとApex。久しぶりにやると感覚が抜け落ちている。視野角が狭く感じる。ウメさんと伊藤亜紗さんの対談で「体の記憶」という言葉が出て、ウメさんが「あ〜、体の記憶」と復唱するところがあって、その言葉を聞いたあとだったから、脳みそから何かが落ちているというよりも俺のボディーがApexを忘れている感覚だった。

八月二十九日
 マインドハンターを観る。公開されてすぐに観てたから四年ぶりとかだった。なんも覚えてない。おもろい。

八月三十日
 Apex。木村くんとぺっちゃんとランク。勝てない。負けまくる。イラつく。
 西上くんも来て、カジュアル。西上くんにキレまくるが、西上くんが一番強い。

八月三十一日
 トロワシャンブルで『ジェイン・エア』読む。おもろい。そしてアイスコーヒーを飲んで、タバコ吸いながらゆっくりする時間が久しぶりで、本当に癒された。体が癒されてる〜、という感覚を味わっている時、いつも、ドラゴンボールのフリーザ編かなんかでボロボロの悟空がでっかい透明な筒の中で緑色の液体に浸かって「気持ちいい……」と思ってるシーンを思い出す。それだった。
 帰宅してApex。ぺっちゃんと西上くんとランク。全く勝てない。なんでだ?

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