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THE 日記(7/17〜7/25)

七月十七日
 起きたら猛烈な頭痛。そしてくしゃみ。体が異様なまでに重い。バイトを休ませてもらう。両手両脚を鎖で括りつけられとんか、というぐらいベッドから動けない。どうにかスーパーに行って色々買う。帰ってきてすぐにまた寝る。とにかく寝まくった。咳とかは全くないから、雨のせいだと思う。イブを飲んだけどもう効かない体になっていた。

七月十八日
 何この雨ばっかの嘘みたいな七月。は?
 体調治ったから働きに出た。黒いキャップを被ってピアスをした金髪ロングのギャルがママチャリで蛇行運転をしていたので、その後ろで俺も蛇行運転をした。
 恋人の家に行って、別れるかどうか話して、別れなかった。

七月十九日
 起きたら十八時。二人でチャリを漕いで下北に。「マサコ」に入って、『余生と厭世』を読んだ。今日は晴れてたらしい。
 駅前のスーパーの地下でうんちをした。
 恋人と井の頭通りを爆走して吉祥寺。カラオケ。恋人とスピッツの『冷たい頬』をデュエットして泣きかけた。「あきらめかけた楽しい架空の日々に一度きりなら届きそうな気がしてた」だって。
 朝日が紫に燃える五日市街道を縦に並んで帰ってきた。「あなたゆっくりでいいけん気を付けて帰るんよ!」と反対車線にいる彼女に叫んだ。

七月二十日
 起きて、ストファイちょっとやって働きに向かう。カフカの『審判』読む。眠い。働く。煙草を吸う。
 コンビニでお金を出す時に、千円札がピン札すぎて七枚ぐらいが一塊になってることが手触りでわかった。ほぐす。リアス式海岸みたいに、財布の奥・手前・奥・手前、と一枚ずつズラした。
 シャワー浴びた。足の裏を遮二無二洗ったのに臭い。足がずっと臭い。今までの二十七年のうち二十六年足くさい。
 百年後の俺へ。最近色んなところでビニール袋が有料になったんだけど、持ち歩く癖がなかなかつかないよ。
 江口寿史さんがエドウィンとコラボしたTシャツに『#ジーパン女子』っていう言葉がデカデカと入っていて、江口さんの絵が大好きだからこそ、マジでそのハッシュタグ最悪すぎませんかというか、これは別に「やめろ!」とか「そんなもの作るな!」ということを言いたいのではなくて、「江口さんの絵だけのTシャツを売る」という選択肢もあった方がきっとみんなハッピーだし、あとファンとしてそのハッシュタグにハラハラしてしまうというか、問題にならないでほしい……というか、そういうことを思っている。

七月二十一日
 十七時起床。ストファイのLPが5000になった。新宿。タイムス。恋人と合流。小説を書く。帰宅。恋人はすぐ寝た。引き続き書く。THE青春農業の編集。風呂。フヅクエ交換日記を書く。『試行錯誤に漂う』や『アブサロム!アブサロム!』や『マルコムX 自伝』を読む。
 寝ようとしたらアレルギーが爆発して全く寝れない。寝るのを諦めて本を読んだり天鳳やったり。

七月二十二日
 寝ないまま朝十時。フヅクエのみんなとZOOM。十一時に終了。ベッドに入ってまた天鳳。ちょっと寝れそうな気がしてきたから寝る。十八時に起床。アレルギー再び爆発。くしゃみと鼻水が永遠に出る。外に出たけどアレルギーがひどすぎてすぐに帰ってくる。シャワー。小説を書く。二時。寝た。

七月二十三日
 朝六時に目が覚める。思い出したくない過去が何連発も勝手に頭の中に出てきて、そこにある断絶(今周りにいる友人・恋人が全く無関係すぎるということ)に対して、自分は非道な人間なんだなと凹む。考えたくないから、カフカの『審判』を無理矢理読む。落ち着いてきた。十時ぐらいになって、また寝た。起きた。働きに出る。バス。雨が降っている。低気圧によって頭が痛い。まいばすけっとでジャガイモを買う。
 働く。働きながら昨日YouTubeで観たタモリ倶楽部の官能小説の回を思い出した。漢字にルビを振らないことが多いらしい。「乳丘」とか「恥丘」とか、好きな読み方で読んで興奮してください、ということだった。好きな姿勢だった。
 今年中に新型コロナのワクチンが流布されることはない、とWHOが発表した。皆が毎日うっすら「死」を感じながら暮らす。

七月二十四日
 大学の卒論は、エミリー・ディキンスンというアメリカの詩人について書いた。最近ディキンスンの詩を引用したり読んだりしている人によく出くわすが、それが夢なのかぼんやりと輪郭の定まらないだけの実際の記憶なのか判別がついていなくて、だからとにかくよく思い出してる。
 朝方まで天鳳をやってしまったので、ギリギリに起きる。働きに出た。猛烈に忙しい。
 ツイッターとかでよくバズりがちな、パートナーや恋人への愚痴というか、やめてほしいこととかを描いたり書いたりしているやつを見るたびにうっすら漂ってくる「じゃあそれ本人に言えば?」という想い。間違えてるんだろうな俺がきっと。別れればいいのに。俺は我慢して生活するの無理すぎるから、つい簡単にそう思ってしまう。
 色んなところでソフトオンデマンドさんのTシャツを着てる人を見かける。見かけるたびに、イイナ、と思う。ただそれを着ることには王道を走る恥ずかしさみたいなのがあって、AVの好きなレーベルを聞かれて「ソフトオンデマンド」と答えることは、俺はかなり恥ずかしいし、もちろんソフトオンデマンドも好きなんだけど、たくさんの好きなうちの一揺れ、という感じだから俺がTシャツとして着るには適してなくて一番好きなのはDogmaだから、Dogmaさんが出してくれたりしたら最高なのになぁ、と思った。Tシャツのメッセージ性の漏れ方としては、かなり好きな漏れ方というか、溢れ方というか、当たり前だけどそれは例えば「僕はソフトオンデマンドが大好きです」と言葉にして言うのとは全然違うし、でも何か自分を知ってもらいたいという気持ちもあったら、例えばそれは俺はマリメッコのマスクを着けたりGIOSのミストラルに乗ったりセブンスターを吸ったりしているけど、そのどれもが「DogmaのTシャツ」の浸透率には敵わない気がしていて、他人に迷惑をかけない自己主張のギリギリのラインな気がして、だから、あったらいいのになぁ、と思った。そう、迷惑をかけたいわけじゃない。人に知られたくない気持ちと同じように、人に知られたい気持ちも丁寧に進めたいだけだ。
 終電に乗ったら、顔面から爪先までびっちり刺青の入った男と、六人組のニューヨークヤンキースやレッドソックスのキャップを被ったいかにも不良青年という群れがいて、好きなタイプのガラの悪さだったからあえて近くに座った。
 帰ってきて、コンビニで買ったメシをもりもり食った。恋人が来た。『影分身と饅頭』の続きを書く。二万九千字。

七月二十五日
 起きて、シャワーを浴びて家を出る。電車で下高井戸に。前原さん西邑と合流して、コロラドに入ろうとしたら満席だった。珈琲館でちょっと飲み食いして、前原さん家に移動。アボカドの固さRadio#13の収録。もりもり喋る。楽しかった。帰りの京王線で西邑と「手つきと中身をズラす」という話をする。若者の話ばっかり今まで書いてきたから、その書き方のまま老人であったり幼稚園児を書く。歪さを産んでわけのわからないパワーを付与する。今まではプロットを組んで書いてきたから、その書き方のまま、プロットのない話を書く。
 新宿で降りる。紀伊國屋に行って、タイムスに入る。『影分身と饅頭』の続き。三万字。恋人が来る。また紀伊國屋。『カフカ短編集』『未明の闘争』『ハツカネズミと人間』を買った。エコバッグも買った。帰る。まいばすけっとで色々買って、オムライスを作った。ケチャップで『げんき』と書いた。食べてる途中から猛烈に眠くなってきて、食べ終わった瞬間気絶するように寝た。見ている夢の状況を恋人に伝えようと、生中継している気分で、肉体に夢の動きをリンクさせようと、夢の中で言った言葉とか動きとかは全部実際の横たわっている俺の体に反映させるために頑張ったけど、微動だにせず寝言も言わずスヤスヤ眠っていたらしい。起きたら五時半。シャワー浴びる。ウインナー焼いて、チキンライスの上に乗っけて食った。

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