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THE 日記(4/11〜4/22)

四月十一日
 覚えてない。

四月十二日
 覚えてない。

四月十三日
 小説を書く気が起きない。書いたって何も伝わらないんだな、と心の底から思い始めている。でもフヅクエからの帰り道に『形骸化のフォーエグザンポー』を書いていたらやっぱりおもろい。書いてる時はおもろい。でも書き終わったあとに、「読んだ人から『おもしろくない』って思われてるんだろうな」と思う。
 個人のYouTubeチャンネルを始めようと思って色々考える。赤えんぴつの曲をアレンジしてアップしようかな、とか、勝手にバナナマンの単独OP風の映像を作ろうかな、とか、設楽さんの○○集とか作ろうかな、とか思うけどどれも著作権的に違反してるからできないな、と思う。今さら自分の送ったメールの事とかハガキ職人について話すのも何か違う。でもバナナマンについての真剣な話をしたい気持ちがあって、それは文章でやればいいか。というループに長いことハマっている。

四月十四日
 雨。ぺっちゃんとApex。俺が怒りすぎ。
 七つ森に行ってパスタ食ってコーヒー飲んだ。なんか書こうとしてやめる。書けない。すぐ家に帰って、外の大雨を見る。Logicを立ち上げて、Apexのメインテーマとライフラインのエモートを組み合わせてビートを作ろうと思った。ライフラインというのはApexのキャラクターで、戦場に降りる時に打楽器を叩く動作があって、それとメインテーマのBPMを合わせたらもうビートやん、とずっと思っていたからそうした。他にもリロードの音とかキャラのボイスをいくつか引き抜いて組み合わせていたらパソコンがフリーズして、そのあとも何回やってもフリーズするから諦めてApexに戻る。

四月十五日
 『デリケート』と『巨木とスプリングフィールド』を本にするために新島さんに連絡。新人賞を設けてない出版社にも連絡。

四月十六日
 あくつさんに本のことを相談すると、わかんないけど先に出版社に持ち込みみたいなことをやった方がいいんじゃないか、そして流通まで個人でやるの大変そうじゃない?と言ってもらって、そうだな〜と思う。昨日連絡した出版社から返事が来て、自費出版だったら百二十万円ぐらいで千部作って流通までやれます、とのことだった。高いのか安いのかわからん。うーん、と思う。
 でもこれは四月十六日の出来事じゃないかもしれない。わからん。ちゃんと覚えてない。

四月十七日
 雨。ポテサラの引っ越し。新居の方に行ったらクイズと西上くんがぼーっとしていて、既に一往復やったあとで、しばらくしたらみんながハイエースで来た。荷物全部入れて、終わり。荻窪に移動して車返して、餃子酒場みたいなところでメシを食う。阿佐ヶ谷に戻ってきて、ドトールでカフェオレを買って新居でみんなでお喋り。商店街を歩いて書楽で本を眺めて帰宅。Apex。

四月十八日
 Apex。ランク。ゴールドⅠが届きそうで届かない。それを繰り返す。

四月十九日
 覚えてない。

四月二十日
 働き終わったあとにポテサラと落合と電話。喧嘩になるかもな、と思って緊張しながら話し出した。くらいくらい公園の活動について、ポテサラに「書くことは好きなの?やる気は本当にあるの?」ということを聞きたくて、でもそれは慎重に聞かなきゃいけないことだった。その人がそれを好きとか嫌いとかしんどいとか楽しいっていうのは他人と比較して決められるものじゃなくて本人の中でしか決まらないことを俺は知っているから。こんな真剣に友人の内側と向き合って話すのは初めてだった。心に残ってる言葉はたくさんあるけど、ポテサラが言った「誰も我慢しなくていいっていうスタンスは誰かを我慢させてるんだよ」という言葉と、落合が言った「山口くん意外と本心言わねえんだなと思ってるわ」という言葉が、多分これからも俺が向き合うことになる問題の核心を突いていて、だから日記を書いてる今もそれについて考えている。それで落合も正式にくらいくらい公園に入ることになって、そういう会話をずっとぺっしと西上くんはマイクミュートで聴いてくれていた。二時間か三時間か話した。

四月二十一日
 都営新宿線に乗り換えて大島駅に行った。新島さんと打ち合わせ。話しているうちに二作品じゃなくて三作品にしよう、となって、『影分身と饅頭』も多分本になることになった。流通させる作業は大変だと思うけど、やる気になってきた。自分のことを他人として見た時に、むしろ完全個人でやってる人の方が好きだな、というよくわからん思いもあって、きっとこれは新島さんとまた本を作る。二人でダミアン・ライスの『デリケート』を聴いた。新島さんが「山口さんは複数の人が繋がっていることに惹かれたりするんですかね」みたいなことを言って、確かに三つの小説全てが人の連帯やら分断やらについてばかり書かれていた。本になるのか。というか自分でそうしたんだけど。楽しみ。大島のマックでダブルチーズバーガーを食って、高円寺に戻る。日下部と合流。小道具探し。オリンピックとSEIYUとダイソーに行って諸々買う。ぺっちゃんとポテサラも合流。二人は中野の島忠にチャリで行ってくれて、俺と日下部は石ころを拾うために公園などで下を向きながら歩く。西上くんが来る。石はすぐ見つかった。うちに行く。TWICEの新曲『Kura Kura』のMVが上がっていたから、iMacの大画面で観る。ダンスシーンにジョンヨンはいなくて、ジョンヨンだけ別シーンで透明の箱に入っていて、そこから少し入ってくる光を見たり、箱がめっちゃ凍ったりしていた。泣くかと思った。そのあとCHEER UPのライブ映像を観て、野球のユニフォームの衣装の時にジョンヨンだけ丈が長い服を着ていて俺はそれが好きで、みんなが露出度の高い服を着てる中一人だけキャッチャーみたいな格好をしている。「ジョンヨンの上着でかい!ジョンヨンの上着でかい!」と俺は叫び続けて、日下部から「射殺されろ」「ジョンヨンの上着でかい集作れよ」とか言われながら楽しく観た。恋人が来て、二人でコンビニに行って、メシ食って、『大豆田とわ子と三人の元夫』の一話を観てエンディングのKID FRESINOに感動して、俺はまた坂元さんの書く話できっと泣きまくるんだろうな、と思いながら風呂に入った。Apex。カジュアル。勝てない。

四月二十二日
 起きてApexランク。ゴールドⅠになった。とうとう。プラチナが目の前。なるのか俺は。俺はなるのかプラチナに。夕方だった。働いた。キノと電話した。久しぶりだった。ラジオにメールを送りまくっていたハタチぐらいの時、孤独感が凄まじくてよくキノが町田のベローチェで励ましてくれた。八年が経ってしまった。キノの喋り方がなんか大人になっていた。また前みたいに遊ぼうなぁ、と言って、京王線に乗って恋人の家に向かった。

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