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THE 日記(11/7〜11/12)

十一月七日
 昨日はあのあと吉祥寺に行って、ぺっちゃんとアンジーとポテサラと焚き火をした。ぺっちゃんの母ちゃんとおばあちゃんに「恋人と別れそうです」と言うとおばあちゃんは「女の子はわがまま」と言った。「今の男の子はみんな優しい」と。「じゃあおじいちゃんは厳しかった?」と聞いたら笑顔で「すごい優しかった」と言って、「優しいんかい」と思って笑った。
 帰りの電車の中で眠ってしまって、中野に着いていた。反対ホームに来た三鷹行きの終電にまた乗って高円寺で降りた。眠すぎる。よう今まで平気で朝まで遊んでたな。帰宅して、風呂を貯めていたら恋人から電話がかかってきた。話しているうちにまたお互いがヒートアップして、二時間近く怒鳴っていた。あなたが間違っていて俺が正しいってことを証明したいんじゃなくて、あなたは何も我慢する必要がなくて好きに生きなよ、というようなことを言って、それが伝わらなくてキレていた。生活リズムを朝型にしたら喜んでくれるだろうな、と思っていたからこういう風に夜中の突然の電話で二時間近く怒鳴り合ってまたどんどん昼夜逆転していくことを思うと残念だったしそれも言った。朝五時だった。悲しい。
 昼の十二時に起きて、マンダリンオレンジを切って食った。食い方合ってんのかな、と思って調べた。合ってた。如実に体調を崩している。眠い。イライラする。恋人に直接言ったけど「本当に楽しくない」と思う。わざわざ楽しくないことをする意味が本当にわからない。我慢しなきゃいけない意味が本当にわからない。どう考えても、死ぬまで毎秒笑ってる人生の方が良い。「落ち込むことも人生経験には必要だよ」って思うなら自ら落ち込みに行けばいい。落ち込むことなんかない方がいい。ずっと爆笑の方が絶対いい。それを綺麗事だとか安易な発想だとか考えが足りてないとか言われても、「綺麗」とか「綺麗じゃない」とか「安易」とか「難解」とかそんな表面のことはどうでもいいマジで。実感としてそう思ってるんだから人の実感に入ってくんな。ていうか入れないんだよ。入れないってことをわかってない奴が多過ぎる。お前らから何思われようとやりたいことはやる。やりたくないことはやらない。なぜなら一生笑ってたいから。俺は恋人に対して怒鳴りながら、ずっとそれは、「味方なんだよ」「仲間なんだよ」ということの証明を、皮肉にも「怒り」という味方がおおよそ使わないものを使って示そうとずっとしている。伝達手段に本格的な怒りが含まれ始めた。だからもう無理なのかもな、とも思う。味方なんだから、好き勝手に大暴れして二人で笑っていようよ。「笑っていいんだよ」「幸せだなって思っていいんだよ」ということを伝えるのは苦痛を与えることの何千倍も難しい。なんやかんやと色々書いてるけどしんどいのは恋人も同じだし、結果苦痛も与えている。
 会話のない読書会『誰かの日記』編。自分の書いた本をお客さん全員が読んでいる景色、これからまたしんどい時があった時に思い出します。自分の書いた文字を読んでくれる人がいるということ。それだけが今の俺にとっては全てだし、きっと今後もそうだろう。ありがとうございました。

十一月八日
 起きて、『誰かの日記』ともう読まなくなった本たちを持って、バスに乗る。下北に着いた。晴れていて暑かった。本を並べて、古本の方は一冊百円で売ることにした。十二時になって割とすぐにどんどん売れていって、一旦落ち着いた。B&Bに行って本を眺めた。長田弘詩集ともう一冊何かの本を買ったけど日記を書いている今その一冊が思い出せない。ポテサラとまなみんが来た。森奈ちゃんが来た。ポテサラとまなみんと魯肉飯を食った。まなみんがチェック模様で布張りの小さな手帳をくれた。夕方になって、忙しくなってきた。「『デリケート』は本にならないんですか?」と言って頂いて、嬉しかった。します。少し時間がかかるかもしれないけど、します。取り掛からないと。十八時になって、ぺっちゃんが来て、みんなで下北をうろうろした。ボーナストラックの人たちとかお客さんとかとたくさん喋れて良かった。「来て下さい〜、お話しましょ〜」とかツイートしときながら、やっぱり普通に会話がヘタで、特に喜びを表現するのが凄いヘタだ。「嬉しいです〜」と低温で言うことしかできない。それが俺が本当に感じてる喜びと離れまくっている。めちゃめちゃ嬉しいです。来て下さった方々ありがとうございました本当に。
 吉祥寺に行って、アンジーと足立が来て、ボウリングをやろうとしたら二十時閉店でできなかった。地下にある洋食屋に入ってポークソテーを食った。ぺっちゃんちの屋上でコーヒーを飲んだ。

十一月九日
 モスバーガー食った。

十一月十日
 りんごを食おうと皮をピーラーで剥いていたら小指の先を少し切る。血は出てないから大丈夫か、と思う。卵を二個茹でて食う。整骨院に行くはずだったけどキャンセルした。ストファイ。まぁまぁ勝つ。ぼーっとする。高円寺に行ってぽえむに入る。静か。恋人と会った。一ヶ月ぶりぐらいだった。かわいかった。すぐ怒ってごめん、自分が正しいと思ったらあまりにも折れなくてごめん、と謝った。家に帰って、食器や鍋を洗って、掃除機をかけて、ストファイ。近距離だと中パンを二連続で振るのが有効だと気付いて、たったそれだけの気付きで一気にLP7500になって、とうとうプラチナに上がった。めちゃめちゃ嬉しい。一年半ぐらいやってやっとプラチナか、と思いながら換気扇の下で煙草を吸った。部屋の片付けをやっていたらエイミー・マンのCDが出てきて、久しぶりに聴いた。良かった。恋人が帰ってきて、話す。なんやかんや理屈をつけて「あなたに楽しくなってほしい」とか「あなたに自由になってほしい」とか言い続けてきたけど、ふと、そう言ってこの人の自由奪ってるの俺じゃん、と思って、会った時みたいに戻ろうと思ってそう言った。一緒に寝た。シングルベッドで二人寝ると狭いな、と久しぶりに思った。

十一月十一日
 起きて、洗濯して、シャワー浴びて、うどん食って、コーヒー淹れて、ストファイ。変わらずLP7500。出る。下北に行ってオシャレカフェに入ってパスタとケーキ食う。隣の席に座ってたギャル二人が対面じゃなくて横並びに座ってて凄かった。トロワシャンブルに行ってコーヒーを飲みながらテッド・チャン『息吹』を読む。おもろい。働きに向かう。
 帰宅して、シャワー浴びて、すぐ寝る。

十一月十二日
 昼の十二時に起きる。前この日記にも書いたKさんと会う。本当は色々書きたいけど、何も書かない(書いちゃいけない)。なので割愛。ただ、やっぱり楽しかったし、また会えたらいいな、と思う。難しいかもしれない。「これでぐっさんと会えるのは最後かもしれなくてさ、最後に会っとこうと思って」と言われた。初めて会ったのは二十二歳の時だった。あれから五年が経って、何もかもが変わって、ここにいたみんなは今ではもう散り散りになって誰もいなくなった。全てが勘繰りになって生きていくことの大変さと、それと引き換えに手に入れる膨大な快楽。
 帰宅。ストファイ。ラグが凄まじくてせっかくLP7500まで上げたのに一瞬で6000まで戻る。悲しい。ただどんだけラグくても6000以下にはならない。つまりやっぱり成長してる。フヅクエが西荻にもできる、というツイートがされてあって、その酒井さんの挨拶文が凄まじかった。煙草とストファイを交互にやって、四時間ぐらいが経った。今日のこと、ずっと覚えてられるだろうか。書いたって意味ない。出来事を羅列してそっくりそのままスケッチしようとしても、それは所詮コピーしたもので、だったら思いっきり別なものを用いて書かないと、今日のことはきっと思い出せない。なんてシンプルな寂しさなんだろう、と思う。友達ともう会えなくなること。シンプルが故に強力だ。本格的に寒くなってきた。

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