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よんもじ vol.6 一句感想

 今年は一部持ち回りのデザイン担当。今回は諸星千綾さんが担当です。
 わたしが普段使っているCanvaというデザイン作成サイトで制作することになったので、使い方などをお伝えしつつ……いやはや、人に教えるって本当に難しいな、と思いました。とは言え、千綾さんなので(?)うまく汲み取ってくださり、無事発行できました。原稿を提出してからなにもせずに、気づけば発行日だったのでなんだか不思議な気分です。
 そんなわけで、よんもじ初モノクロデザインの夏号をお楽しみくださいませ。

 好きな句にひとことずつ添えておきます。

一句感想

銀漢を渡りたくない仔猫かな  藤田亜未

 渡れないのではなく、渡りたくない。仔猫というちいさな存在の、かたい意思が愛おしい。渡らなくてもいいんだよ。

ひたすらに拝むがごとく髪洗う  諸星千綾

 わたしは髪が短いので拝むことはありませんが、長い髪を洗うときの様子が想像できました。なにを願っているのでしょうね。

手花火に黙れば父でしかなくて  西川火尖

 父でしかない、と言いつつ、なにものかである自分を確かめているようにも思えます。手花火の光と感傷が響き合っていて好きです。

余談

※自句自解めいたもの。作者の戯言にお付き合いいただける方はどうぞ※

 今回は句のテーマが「ねがいごと」、エッセイが「誰かのねがいを叶えた話」ということで、今までで一番内容がバラバラになった回だった気がします。よんもじのグループLINEでも「亜未さんと千綾さんが陽、火尖さんとわたしが陰」と話していたのですが、実際はそんなにきれいに分かれるわけではなくて、陰と陽と行き来しているとは思うのですが。
 わたしから見た「キラキラした光景」を俳句にする、というのがいつものスタンスではあるのですが、今回は一歩後ろに下がって、陰になっている景色で作りました。身勝手な話ですが、わたしのなかでどうしても昇華できない感情があり、俳句にして「タイムカプセル」として埋めてしまおうという算段でした。結果、埋めるどころか世に放たれたわけですが、まあ、結果オーライ。誰かのひとときにお邪魔させていただいて、楽しんでもらえていればさいわいです。

夏陰に笑っていたことだけ残る  相田えぬ

 わたしは、忘れたくないことがあると俳句にしてしまうところがあります。この気持ちも、この句を読み返すたびに思い出すと思います。同時に、確かにあった「あのとき」を思い出せるのだとしたら、それはそれでいいのかな、とも思います。とあるすてきな七人組の、ささやかなしあわせを願って。

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