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住民税は忘れたころにやってくる!副業の場合には納付方法にも注意を。

忘れたころにやってくるもの・・・、それが「住民税」です。

何故かというと、税額の通知書が6月頃にポンっと届くからです。


所得税は確定申告する際に、自分で税額を計算するので、

納税のためにどれくらいお金を用意しておかないといけないか、

意識している人が大半だと思います。

一方で住民税は6月に納税通知書が届くので、

「こんなにかかるの!?!?」と驚くケースも少なくありません。


また、よく「住民税で副業が会社に見つかる!」という話もあります。

納付方法についても書いてみます。


1 利益が出たら住民税の申告が必須!

「サラリーマンで給与以外の所得が20万円を超えたら確定申告が必要。」

というのは、ご存じの方も多いと思います。

ただ、これは所得税の話です。

住民税の場合には、このような規定は特に設けられていないので、

利益が出たら申告が必要です。


所得税の確定申告を行う場合には、そのデータが国税庁から各市区町村に共有されるので、あえて住民税の申告をしなくても大丈夫です。

所得税の確定申告をしない場合には、自分で住民税の申告書を作成して提出する必要があります。


所得税の場合には、国税庁のホームページにある「確定申告作成コーナー」で、申告書を作成することができます。

住民税にはこのような便利なシステムはありません。

お住いの市区町村のホームページにPDF形式の申告書が掲載されているので、これに自分で記載することになります。

ちなみに、東京都の場合には各区役所のホームページに掲載されています。


2 住民税の計算方法

〇全体像

ざっくりですが、住民税は次のように計算します。

前年の所得 - 所得控除 = 課税所得

(課税所得 × 税率 - 税額控除) + 均等割 = 住民税


「前年の所得」というのは、令和3年(2021年)分の住民税は、

令和2年(2020)の所得により計算されるということです。

なので、例えば「2020年は大きく利益が出たけど、2021年はちょっと上手くいっていない・・・。」というようなケースでは、納税資金をしっかり確保しておかないと資金繰りが6月ごろに苦しくなる、、、というおそれもあります。


税率は一律で10%(都道府県4%、市町村6%)です。

さらに所得税と異なるのは「均等割」といって一定額が課されます。

均等割は5,000円=(都道府県1,500円+市町村3,500円) 


注意が必要なのは、自治体が独自で税金を設けている場合があることです。

例えば、横浜市に在住の場合には、税率と均等割額が異なります。

・税率・・・10.025%

・均等割・・・6,200円

神奈川県では「水源環境保全税」というのものがあり、

税率では0.025%を上乗せし、かつ均等割300円を上乗せしています。

更に横浜市は「みどり税」という独自の税金を設けています。

そのため、均等割5,000円+水源環境全税300円+みどり税900円=横浜市に納める均等割6,200円となっています。


〇所得税との違い

①所得から控除できる金額が一部異なります。

下記、一部を紹介します。総じて、所得税より住民税の方が引ける金額が少ないです。

基礎控除 ・・・ 43万円(所得税は48万円)

生命保険料控除 ・・・ 最大7万円(所得税は最大12万円)

地震保険料控除・・・最大2万5千円(所得税は最大5万円)


②寄附金の取り扱いにも注意を。

寄附をした場合には、所得税では所得から引くか、税金から引くか、どちらか選ぶことができます。

一方で、住民税は税額から引く「税額控除」のみです。

注意が必要なのは、住民税で控除できる寄附金は、都道府県や市区町村の条例で定めがあるものだけ、という点です。

例えば、公益財団法人や認定NPO法人に寄付した場合に、所得税の計算では所得控除や税額控除ができます。

一方、こうした団体は東京に本部があるケースが多いです。

都道府県や市区町村によっては、その都道府県内や市区町村内に本部や主たる事務所がないと所得から引けないことにしている場合があります。

ホームページなどで確認するようにしましょう。


3 住民税の申告・納付方法

〇どこに申告・納付するのか?

1月1日に住所があった自治体に納めます。

例えば、3月末に引っ越した場合にも、新しい市区町村ではなくて1月1日時点で住んでいた場所に申告・納税をします。


※納税地を事務所や店舗などの自宅と異なる場所にしている場合の注意点

個人事業者の方で、自宅以外に事務所や店舗を借りている場合に、

その自宅以外の市区町村にある事務所や店舗を「納税地」としている場合には注意が必要です。

この場合には、住民税は「自宅のある市区町村」がメインの納税先になります。一方で、事務所や店舗などのある自治体にも「均等割だけ納める」必要があります。

例えば、自宅が埼玉県大宮市にあって、事務所や店舗が東京都新宿区にあるとします。この場合に、新宿区を納税地としている場合には、大宮市に住民税を納める他に新宿区にも均等割り納める必要があります。

〇会社員が副業を行っている場合の納付方法

会社員の場合には、2種類の納付方法があります。

普通徴収・・・自分自身で納付する方法

特別徴収・・・給与から天引きする方法

会社員の場合には、通常は給与から天引きする「特別徴収」です。

従業員が2名を超えると会社や個人事業者は特別徴収を選択しないといけないことになっているので、多くの会社や個人事業主は特別徴収をしています。(名称が”特別”なのに、こっちの方が一般的等のも変な話ですが。)


よく「住民税で副業が見つかる」というのは、会社が特別徴収をしているからです。

お住いの市区町村から会社や事業主宛に「〇〇さんからはいくら天引きして、うちの市区町村に本人の代わりに納めてください」という通知をします。

会社はこれにしたがって天引きして納付します。この時に「同じくらいの給与なのに一人だけ、やけに金額が大きいような?間違ってるんじゃない?」と、経理担当者が気付いて、副業をやっていることが見つかる、という訳です。

そのため「副業をやっていることを会社に知られたくない」場合には、「副業分の住民税を普通納付」にする必要があります。

〇副業を事業所得や雑所得として申告をしている場合

所得税の確定申告書の「第2表」の下のところに「〇住民税に関する事項」という項目があります。この中ほどに「特別徴収」か「自分で納付」かを選ぶ箇所があります。ここで「自分で納付」のところに「〇」をします。

参考までに、所得税の申告書の様式のリンクです。


〇副業の収入が給与所得に該当する場合

例えば、アルバイトなど雇用契約で働いている場合には「給与所得」となります。

先ほどの所得税の第2表の細かい文言に注目してもらえると、「給与、公的年金等以外の所得に係る住民税の徴収方法」とあります。つまり、給与の場合には、ここに〇を付けるだけでは普通徴収にならないということになります。

この場合には、市区町村に対して勤務先ごとに住民税の納付方法を別々にしたいと申し出れば、対応してもらえます。

つまり、A社(本業)の給与は特別徴収として、B社(副業)の給与は普通徴収にする、ということが可能です。

お住いの市区町村の住民税課に連絡をすると対応してくれます。

手続き方法は市区町村によって若干異なることがあります。電話連絡だけで対応してくれるところもあれば、何か資料を出してくれと言われたりするところもあります。

市区町村は6月には住民税の通知を会社宛に発送をするので、できれば4月くらいまでに、遅くても5月までには連絡をしておいた方がいいです。


なお、普通徴収の場合には、4回に分けて納付します。

もちろん、全部まとめて一括で納めても大丈夫です。

1回目・・・6月30日

2回目・・・8月31日

3回目・・・10月31日

4回目・・・翌年1月31日


繰り返しですが「忘れたころにやってくるのが住民税」です。

納税資金の確保をお忘れなく。






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