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海外投資先としてのモンゴル ~国の概要、法制度、フロンティアとしての魅力~

Fintertechでリーガル及びデューデリジェンスを担当している新藤(www.linkedin.com/in/hidetoshindo)です。

みなさん、「モンゴル」と聞いて何を思い浮かべるでしょうか?

広大な草原、ゲル、羊、チンギスハーン、白鵬・照ノ富士・朝青龍といった大相撲の関取、「イメージはわくけど具体的にはよく分からない」、私の家族・身近な友人に尋ねた際の多数派の回答・意見がこのような感じでした。

現在、当社が手掛ける貸付型クラウドファンディングサービス”Funvest”において”モンゴル支援サステナブルファンド”が募集中でございます(2021年1月31日まで)。本ブログでは、一般的な方にはあまりなじみのないモンゴル、特にファンド案件に携わる過程で調査した法制度等について、できるだけ分かりやすく説明してみたいと思います。

モンゴル国概要

モンゴルの人口は約336万人、国土は日本の約4倍、その広大な国土から産出される金・銅・石炭等の鉱物資源、鉱業が国の経済を支えています。この鉱業をベースとしたモンゴル経済はここ数年順調に成長を続けてきましたが、2020年はコロナ禍の影響により、2009年以来のマイナス成長(実質GDP成長率▲5.3%)となりました。しかし2021年に入ってからは、世界の商品市場価格の回復によりプラスに転じ、2021年1~6月期のGDP成長率は前年同期比6.3%と急回復、2021年全体でも5.2%の成長予測となっています。

政治情勢についても現時点で大きな懸念はありません。モンゴルの地理的性質「ユーラシア大陸におけるアジア地域の内陸国」から、ニュースバリュー的によく取り上げられる国、アフガニスタンやカザフスタンとはいかないまでも、政治的に不安定な印象を受けるかもしれませんが、モンゴルは1990年の民主化以降、自由な選挙による政権交代を実現しており、民主主義国家として比較的安定した政権運営が行われています。

モンゴル法概要

モンゴルの法制度、と聞いてもあまり興味を持つ方はいないかもしれませんが、クロスボーダー取引の際には法的確実性・予見可能性の確保、その基礎となる相手方の属する国・法域の理解は必須だと思いますので、簡単に概要を説明させて頂きます。

上記で述べたとおりモンゴルは、1990年の民主化以前は社会主義国家であったため、市場経済に対応するための法律は未整備でした。私有財産制・私人間取引の基礎となる民法・会社法等は、民主化後、法伝統国から派遣された外国人アドバイザー等の力を借りて起草・制定され、特徴としては他の旧社会主義国家から市場経済に移行した国と同様に、英米法(コモンロー、慣習法中心)と大陸法(シビルロー、成文法中心)の考えが混在していることが挙げられます。

2000年に公表された世界銀行のレポートでは、モンゴル法の特徴を”The Mongolian legal system consists of ~a European Constitution, a US Commercial law~,German Civil Code”(ヨーロッパ型憲法、米国型商法、ドイツ型民法)と端的に説明しています。現時点でも商取引を体系的にカバーする商法(a US Commercial lawに対応する部分)については未だ制定されておらず、現在起草作業中というステータスになっております(コロナ禍により作業は遅れているようです)。ただし「成文の商法がない」⇒「商人間(会社間)の取引については何も規定されておらず不安定」、ということではなく、現在は民法の中に商法関連規定が混在しています。独立した商法の制定により、より分かりやすい法体系となることが期待されています。

実際に当社が今回モンゴルの会社(モンゴル貿易開発銀行)と貸付契約を交渉・締結した際は、上記事項を念頭に入れつつ、モンゴル法の専門家のアドバイスを得ながら関連する民法規定を調査し、債権者である当社(ひいてはファンドに投資する投資家様)の債権保全上最適なリーガルスキームを採用しました。

雑感

日本在住の方々にとっては、まだまだモンゴルはなじみの薄い国だと思います。実際に私がモンゴルに長年抱いていたイメージも、チンギスハーンといった歴史的なものが中心(子供の頃、「信長の野望」「三国志」と並ぶコーエー歴史シミュレーションの名作「蒼き狼と白き女鹿」にはまっていたため)で、現在の同国の状況・経済的な側面への理解は「資源国として成長中」程度の薄いものでした。

数年前に、たまたまNHKのマンホールチルドレン(親に捨てられて家がなく、暖を取るためマンホールに住んでいる子供達)を取り上げたドキュメンタリー番組を見て、モンゴルの経済社会の現状に興味を覚えて関連書籍を読んだこと、また今回モンゴル案件に携わったおかげで、モンゴルに対する現状への理解は深まりました。

一人当たりGDPは4,000USD超の中進国となったものの貧富の差が激しく貧困層が多い等、まだまだ問題はありますが、若年層の多い人口構成(15歳未満の割合31%、日本は約12%)、国民の識字率・進学率の高さ、豊富な地下資源等から、個人的には今後の同国の成長に期待しています。

なお、ある国を知る方法として、食文化を通じた方法⇒その国の料理を食べる、という手段はポピュラーだと思いますが、私は数年前に東京の巣鴨にある「シリンゴル」というモンゴルレストランに行ったことがあり、その羊料理の多様さ・豊かさに驚きました(羊の小籠包、羊の餃子、羊のゆで肉等)。昨年は深夜のテレビドラマ「孤独のグルメ」にも取り上げられたことのある人気店でもあり、モンゴル料理を一度食べてみたいという方・羊肉が好きな方にはおすすめです。

本ブログをお読みの方が、少しでもモンゴルという国に興味を持たれ、ひいてはそのモンゴルへの投資機会を提供する当社のFunvest「未来をわかちあう投資」のサービス内容を知りたいと感じて頂ければ幸いです。

 

※本記事は金融商品取引の勧誘を目的とするものではございません。また、記事やコメントにおける投資情報は内容の正確性を保証するものではありません。

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