Web3、メタバース、NFTについて今更ながら解説してみるよ!

こんにちは。Fintertech デジタルアセットグループの大島(@takuji0807)です。

普段は『KASSAI』という、誰でもかんたんに投げ銭サイトを作成できるサービスの事業責任者兼PdMをやっていますが、今日は昨今世の中をにぎわしている「Web3」「メタバース」「NFT」について自分なりの解釈を綴っていこうと思います。

※本記事はWeb3 Conference Tokyoに参加して感じたことを多く含んでおります
※少し前にも関連する記事を書いていますので、こちらもご覧ください

0.はじめに

去年ぐらいから急に聞くようになったこれらのワードですが、それぞれ定義がまだ定まっていないように思います。またこれらが一緒くたに語られていることもあり、ここらで一旦整理してみようぜ的なお話です。(技術としてのNFTはNon-fungible Tokenの略称であり定義は割と明確に存在しますが、位置づけ的なお話しということで)

それぞれ整理すると下記のイメージです。

Web3 :概念、哲学、コミュニティのあり方
メタバース :Web上に存在する場所、世界(または空間)
NFT :権利証明書

ということで、上記の3つは相性はいいですがそれぞれ独立したもの、かつ異なるレイヤーにある単語であり、すべて同一のものとして語ると混乱します。

1.Web3について

まずWeb3からですが、これは元々ETHの生みの親の一人であるギャビン・ウッドが2014年に提唱した、新しいインターネットの概念のことを指します。

静的なコンテンツが相互リンクという形で緩やかにつながっていた時代を指すのがWeb1。ホームページビルダーとかキリ番踏み逃げ禁止とか懐かしいですね…画面上をすべて選択すると1ピクセルだけ色が変わっていて隠しリンクがあるとかね。当時は検索エンジンなんてものはありませんでしたから、URL直打ちが当たり前でした。何もかも懐かしい。

プラットフォーマーが登場し、そのうえでコンテンツが多くアップされるようになったWeb2。Googleの検索により様々なコンテンツへの往来が可能となり、SNSの登場でネット上のコミュニケーションが爆増しました。個人的にはmixiがSNSの入口でした。日記は今でも残していますが、残らず非公開にしています。探さないでください。

そしてWeb2のカウンターカルチャー(脱プラットフォーマー)として生まれた、”非中央集権的な組織によりサービス運営がなされるインターネットの世界”を指すのがWeb3です。
このWeb3の根幹たる非中央集権的な組織を組成可能としたのがブロックチェーンという技術です。ブロックチェーンはWeb上に価値の流通、保存を可能としたのがその革命的なポイントの一つで、これによってコミュニティが大きく育つことが可能になりました。つまり、サービス開発に携わる人やユーザーへも金銭的価値の配布が可能になったということで、DAO(Decentralized Autonomous Organization=自律分散型組織)の組成が可能になったということです。
代表的なところで言えばBTCやETHがまさしくそれにあたり、DeFiはこのDAOによって運営されるFintechサービスを指します。

このようにWeb1~Web3という言葉は概念、哲学、コミュニティの在り方を表し、Web2は封建主義、Web3は民主主義などと例えられることもあります。

また、個人的にはWeb3およびDAOは攻殻機動隊におけるStand Alone Complexにも似た現象でもあるかと思っていますが、この辺説明しだすと長くなるので今日のところは割愛します。

2.メタバースについて

さて、多分この言葉が最も定義が揺れていると思います。我らがWikipediaによれば

『コンピュータやコンピュータネットワークの中に構築された、現実世界とは異なる3次元の仮想空間やそのサービスのことを指す』
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%82%BF%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B9

とありますね。
ただ、個人的には『3次元の仮想空間』とは限らないと思っていて、例えば匿名で運営しているTwitterの趣味垢の集まりなどもメタバースの一種と捉えています。

つまり、”現実世界とは切り離されたアカウントやアバターでコミュニケーションをとることができるWeb上の空間”がメタバースであり、例えるならWeb上に生まれた村や集落、あるいは国とも言えそうです。


3.NFTについて

NFTは(Non-fungible Token)の略称で、非代替性トークンとも略されます。その性質から「デジタルデータにオリジナル性が付加できるようになった」とよく言われますが、さらに発展して「コピーができない」とまで言われると、厳密にいえばこれは嘘です

そもそもブロックチェーンというのは「AさんからBさんにCが渡った」という取引履歴の蓄積です。さらにこの”C”の一つ一つにナンバリングをして区別できるようにしたのがNFTの正体で、かつこの”C”も例えば画像データそのものがブロックチェーンに保存されているわけではなく、識別子にすぎません。
ですので、その識別子の先にある画像データはブロックチェーンの外にあるどこかのDBに保存されているものであり、そちらは今まで通りコピー可能です。

じゃあNFTの誕生で何が変わったかといえば「BさんがNo.1と書かれているCを持っている」という事実がWeb上でオープンな環境で証明可能になったということです。またブロックチェーンは誰でもアクセス可能なDBなので、ゲーム間のアイテムの移動やメタバース上でのデジタルアイテムの所有権(2022年2月現在、日本においては所有権は有体物に限られるので便宜的にこう表現しています)の証明といった文脈で語られることが多いです。
また「Aさんからもらった」という事実も残されているので、保有している画像がオリジナルなのかコピー品なのかが証明できる、ということです。

現在は”デジタルデータのオリジナル性の証明”という特徴からアートなどの分野で盛り上がりを見せていますが、これはまだまだ始まりであり、個人的には「何かしらの権利の証明と当該権利の自動執行」こそがNFTの真骨頂だと考えています。

例えば土地の権利書や何かしらの会員権がそれにあたり、持っていることで何かしらのベネフィットが自動的に執行される、というタイプのものに適性があると踏んでいます。

ただし、運営組織を別とするサービスをまたいだ権利の移転を無しとするならば、これらの実現のためにブロックチェーンを使うメリットはあまりないように思えます。恐らく一般的なDBを使ったほうが開発も運用も楽ですし、”購入したユーザーだけ電子透かしなしで画像が見れる”という手法でも良い気がします。

とまぁこういうものであり、NFTは”運営組織が同一でないサービスをまたいで流通可能な権利証明書”的な理解でいるとよさそうです。

4.それぞれをまとめてみると

そんなWeb3、メタバース、NFTですので、それぞれ相性がいいということは理解いただけましたでしょうか。逆に、必ずしも「Web3だからメタバース!」「メタバースだからNFT!」ということにはならないことも理解いただけたかと思います。
Web2的なメタバースがあってもよいですし、NFTを利用していないメタバースがあってもよいわけです。例えばFortniteやVRChatなどは普通にプラットフォーム型ビジネスであり、プラットフォームをまたいだアイテムの流通なども存在しません。それでも十分面白く、または便利なサービスとして多くの人に使われています。

今までの流れを踏まえてWebXを例えるとこんな感じでしょうか。

Web1.0:集落が生まれ、集落同士で限定的な交流が存在
Web2.0:プラットフォーマーいう名の封建的な大国が生まれ、集落を飲み込み、多くの人が大国の中に自分の家を作っていった(GAFA的な世界)。ただし大国同士の往来や貿易は限定的。
Web3.0:民主国家の誕生。自由貿易、自由な往来が可能となりそう。
Web4.0:??。Web上における人格の統合、分離が発生?人類補完計画がついに始まる?
※最後のWeb4はおまけです。妄想ということで。

これは身もふたもない話になりますが、ユーザーはサービスの主体がどういった組織なのか、つまり株式会社なのかDAOなのかで利用は判別せず、あくまで便利だったり面白かったりするサービスを選びます
ですので、今後Web3の世界になっていくかどうかは、結局はプラットフォーマーの提供するサービスに比べて便利だったり面白かったりすることが重要と考えている派です。

ただ、世の中には「止められない流れ」というのもあると思っていて、往々にして行ったり来たりするものなので、遅かれ早かれWeb3の時代は来ると確信しています。

ということで、次回はKASSAIをWeb3的なサービスにするなら?みたいな話を考察していきたいと思います。お楽しみに!


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