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はじめての監査役(業務の全体像をつかむ)

先月から、はじめての監査役に就任しました。しかも2社。とりあえず、取締役会に参加することくらいは知ってますが、正直、具体的に何をするのかあまりわかってないという、、、

とりあえず全体像を掴みたいと思い、手にとったのがこちら↓

分量の割に、、、とか言ってると怒られてしまいますが、チェックリストや書式が豊富なので、役に立つと思います。また、前半部分に基本的なことがよくまとまっていますので、以下要約です。カッコ内は私の感想です。

<監査役監査の位置づけ>

・三様監査とは、①監査役監査、②内部監査、③会計監査人監査のことをいう。③は会計に関する監査だが、①②は会計に特化するものではなく法令・定款違反全般に及ぶ。①と②の違いは、こんな感じ↓

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・会社機関設計の相違により、監査役の職務遂行実務に違いが生じる。特に、会計監査人設置の有無によってやることが大きく変わってくる。設置されている場合は、会計監査に関する監査は、会計監査人に一時的に任せたうえで、監査役は、会計監査人の監査の相当性を判断する。設置されてない場合は、監査役が自ら会計監査を行わなければならない。

(会社の子会社の監査役は、財務部門から選出されることが多いと思いますが、これは、の会計監査人を設置していない会社の監査役の主要業務が会計監査だからってわけですね)

<監査役監査の年間スケジュール>

・事業年度における監査方針・計画からはじまり、期中監査活動、期末監査活動を経て、その結果を監査役(会)報告として株主に開示する。あらかじめ年間スケジュールを作成すると便利であり、その中には、実査などの具体的活動や会計監査人との会合の日程などを盛り込んでおく。

(監査役が年間を通じて活動した後の成果物は監査役報告ですが、たいていの場合、「法令違反はありません」などと記載された雛形を使うことになります。ですので、こういった活動の履歴を残していく作業は、適正に監査業務を遂行したことの証跡を残すという意味でも重要だと思います。)

・年間スケジュールの起点は、監査役が選任される定時株主総会を起点とする場合と、事業年度の開始時点(3月決算であれば翌月の4月)とする場合がある。

(私が監査役をしている会社はどちらも事業年度に揃えています。会計、予算、事業目標といった会社のあらゆるものが事業年度で区切られていることからすると、監査役監査期間だけ3ヶ月後ろ倒しにするというのは違和感があるので、これがいいのかなと思っています。ただ、就任のタイミングがからして途中から参加する感は結構あります。)

<監査計画>

・会社法上、監査役会の職務として「監査の方針」等の決定を定めている(390条2項3号)。監査役会を設置していない会社の監査役も、直接の義務はないもの監査の基本方針(①)を定めるべきである。また、監査は必然的に資料の準備、会議の確保等を伴うため、あらかじめ監査の調査方法(③)を明示しておくことがのぞましい。一般に、①、監査項目(②)、③を含めたものを監査計画とよばれている。

・監査役は独任制であるものの、監査の実効性・効率性の観点から、監査役が複数人就任している場合、監査計画の一環として、監査役の分担をあらかじめ決定しておくことが考えられる。もちろん、この分担は、任務懈怠責任を免れるものではない。

・監査計画の周知は、単にe-mailで送付するだけでもよいが、周知徹底する必要性の高いことから、取締役会などの場で報告することも考えられる。また、会計監査人やグループ会社の監査役へ説明したいところである。

(実務感覚からしても、監査をより実効性あるものにするためには、取締役会での報告及び各関係者への説明はmustかなという気がします。)

<期中監査>

・取締役が、法令・定款違反なくその職務を適正に執行しているか否かを確認することが、監査役としての中心的業務であり、この業務のために、監査役は、取締役会等への出席、重要書類等の閲覧、監査対象部署からの報告徴収及び監査調書の作成等をおこなう。

・監査役には取締役会への出席義務があり(会社法383条1項)、出席した監査役は、特に付議事項について、法令・定款違反等はないか、必要なデュープロセスを経て意思決定がなされたか、意思決定が取締役個人の利益や第三者の利益でなく、会社の利益に基づくものであるかなどについて注意を払う。また、意見陳述義務もあることから、これらの疑い等がある場合には、取締役会で発言し、かつ、そのことを議事録に記載しておくことが必要である。

・取締役会は審議時間が不十分であったり、実質的に追認の場になっていることもある。そこで、監査役は、取締役会の下位の会議体(経営会議等)への参加も検討すべきでありる。参加が難しい場合でも、事前に付議の案件を把握し、法的な問題の有無、リスクに対する対応が万全か、社内手続きを踏襲しているかなどを確認すべき。

(ここまでやっている監査役は少数派なのではないかと思いますが、取締役会の頻度、付議事項の数、参加者の数などから、取締役会だけでは十分かつ適切な監査ができない場合には積極的に検討したいところです。)

<期末監査>

(これが、あんまり馴染みがなくて、1回やるまでなかなかイメージ沸かないかもしれません)

・期末監査は、事業年度終了後から監査報告作成日までの約2ヶ月弱の間に行われる監査であり、①定時株主総会に至るまでの監査日程とその手続の適法性、②事業報告とその附属明細書の監査(会社法436条1項,2項2号)、③期末決算の監査(計算書類及びその附属明細書の記載内容の監査等)(会社法436条1項,2項1号)があり、会計監査人設置会社の場合は、これに④会計監査人の監査の方法と結果の相当性判断(会算規127条2号,128条2項2号)が加わる。

<監査報告>

・監査役は、事業報告や計算関係書類を受領したときは、監査報告を作成しなければならない(会施規129条1項、会算規127条)。監査報告作成の手順は、①取締役から監査役に事業報告、取締役から監査役と会計監査人に計算書類及びその附属明細書を提出、②会計監査人から会計監査報告を取締役及び監査役に提出、③監査役(会)監査報告を取締役及び会計監査人に提出、である。


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