晴れるとメタファー

こんにちは!今日のお天気は快晴!

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2020/6/20 10:21

今日は積雲がもくもくしていますね。
綿あめみたいだなぁと子供のころ、車窓から眺めたのはまさに積雲!
晴れた日中に発達する雲で、綿雲、積み雲とも呼ばれます。(デジタル大辞泉)


というわけで、テーマは「『晴れる』とメタファー」!(なんか明るい感じが良き!笑)
文系らしいテーマをやっていきます。

「メタファー」という言葉、国語の授業でなんとなく覚えてる方もいらっしゃいますか。


日本語では「隠喩」ですね。
隠された「比喩」という名前の通り、「…のようだ。」「…のごとし」などの形を用いずに、そのものの特徴を直接他のもので表現する方法のことを指します。(デジタル大辞泉より)

日本語には感情や状況、行為などを気象に例えて語ることがよくある(松井)と言います。

少し学術的な説明をお借りすると

身体的経験豊かな具体的な起点領域(Source domain)から身体的経験があまりない抽象的な目標領域(Target domain)への概念領域間の体系的な写像関係は概念メタファーと呼ばれる(松浦)

例えば、「心が晴れた」、「不安が晴れた」、「疑惑が晴れた」...
というのもメタファー表現です。

はれる【晴れる】の一義的な意味は
1⃣ア)雲や霧などが消えてなくなる。
 イ)雨や雪がふりやむ。(デジタル大辞泉)

「晴れる」という言葉の一義的な意味としては、気象の様子を表していて、心との関係はないはず。つまり「晴れる」という動詞は「身体的経験があまりない」と言える言葉と言えます。

ですので、上記の例文と全く同じ意味の文章を「晴れる」を使わずに作ると

「心の状態が(雲が空から消えるかのように)さっぱりした。」
「長年抱き続けてきた不安が(雨や雪が降り止むかのように)消えた。」
「有力な証言者の出現により、A氏の疑惑が(霧が消えるかのように)無くなった。」
という感じになるでしょうか。

これを「晴れる」という言葉の中に()で表されるような意味を含ませて、文に具体性をスマートに持たせられる。これこそメタファーのなせる業のではないでしょうか。

今の自分の気持ちと空の様子に類似性を見出してみては?
読んで下さり有難うございました。

参照:
1)松浦光.気象現象とメタファーの一考察 : 精神における「晴れる」を中心に.言葉と文化.2013,14巻.p113‐127
2)松井真人.英語と日本語における気象に関するメタファー.山形県立米沢女子短期大学紀要.2017,53巻.p13-27

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