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「We Are The World」の合唱で”最高の宝物”を作ろう!コロナ禍で蘇った小学6年生の記憶

 

 コロナ禍の中、今まで当たり前であった人と人との直接的な触れ合いが制限される日々が続いています。そこで、私達はオンライン上で他者と繋がることをこれまで以上に求めるようになりました。食事をしたり、楽器のセッションをしたり、そして歌を歌ったり。もしかしたら、人は本質的に他者と繋がり、心を通わせたいと思うものなのかもしれません。

 私は小学校6年生の時、クラスで”We Are The World"の合唱を披露する企画リーダーを担当しました。合唱、英語の曲、人前で披露すること、それぞれ苦手に思う子もいました。しかし、私を含めクラスメート達は合唱を通じて他者と繋がり成長していきました。この記事では私の小学校時代のエピソードを紹介し、人と繋がる意義について考えていきます。


 ー時を越えて繋がるー 


 私は幼い頃からアメリカのエンターテイナー、マイケルジャクソンさんの曲に親しんできました。そして小学生の時、アルバムの中で”We Are The World"(1985)という曲に出会いました。エチオピア難民救済のチャリティーソングとしてライオネル・リッチーさんと共作された曲です。

 当時関心を持ち、インターネットで調べていたところ、この曲の背景を綴った絵本を見つけました。

https://www.amazon.co.jp/%E6%AD%8C%E3%81%8C%E4%B8%96%E7%95%8C%E3%82%92%E5%8B%95%E3%81%8B%E3%81%97%E3%81%9F-%E5%8C%97%E6%9D%91-%E5%BE%97%E5%A4%AB/dp/4892942685

 アメリカの歌手ハリー・ベラフォンテさんがアフリカの飢えに苦しむ人々をアーティストとして救いたい旨を友人の歌手に伝えると、共感の輪が広がり、最終的に45人のアーティストが無償で参加するプロジェクトが発足したというのです。

 ”歌こそメッセージを伝える最大の武器だ。心の中に直接入り込める平和の武器なんだ、そして誰もそれを邪魔することは出来ないはずだ” 

       ライオネル・リッチー(『歌が世界を動かした!』より抜粋)


 2012年12月。当時小学6年生だった私は、学級委員の1人としてクラスをまとめる存在でした。クラスの目標は”最高の宝物”。熱血な担任の先生の元、大繩跳びで県内ランキングに乗るということを大きな1年のゴールとし春から取り組んできました。しかし、12月になってもあまりクラスはまとまらず、先生に怒られることもしばしば。3か月後に卒業を控えた私達が最高の宝物を得るために、この歌が使えるかもしれない…。そんな思いを心に秘めつつ担任のY先生に絵本を紹介してみました。すると、後押しをして下さり、クラスでこの歌を歌うことが決まりました。

 

 Y先生はわざわざ総合の時間を取って下さり、みんなで”We Are The World"のビデオと絵本を見て戦争や貧困について考える機会を得ました。嬉しいことに、多くのクラスメートがこの歌に感動してくれて、英語ながらこの歌に挑戦してみよう!ということになりました。6年生になって初めて同じクラスになった女の子が企画のサポートをしたいと言ってくれた時は本当に嬉しかったです。

 早速、歌詞を配り、毎日帰りのホームルームで歌うようにしました。ブルース・スプリングスティーンやシンディ・ローパーなど、当時を代表するアーティスト達の特徴的な歌声に興味津々。楽しく真似をすることでクラスメート達は次第に歌詞を見ないで歌えるようになっていきました。苦手な子がいても、周りが補ってあげられる。次第に大繩をするときと同じ、仲間意識の高まりを感じました。

 私のクラスの中で、諸事情であまり学校に来れない子や家庭に問題を抱えている子もいました。当時の私はよく分かっていませんでしたが、先生が園子達が家で練習しているそうだよと本当に嬉しそうに教えてくれたことをよく覚えています。


ー国境を越えて繋がるー

 年が明け、企画チームはこの歌をどのように発表するのかを考えるようになりました。手をつないだり、手を振ったり、かつらを被ったり…色々考えました。そして1月17日。初めて外部の人に発表するチャンスがやってきました。国際理解教室というイベントです。体育館の中で10か国近くもの外国人のお客さんがブースを作り異文化を体験します。

「”We Are The World"、海外の方たちに聞いてもらう以上に素晴らしい機会は無い‼」

 イベント後、慌てて先生に相談し、海外の皆さんが休憩している図書室にサプライズで6年2組のみんなが登場することが急遽決まりました。皆で歌っていると、体をゆらしてくれたり、一緒に歌ってくれた方もいて、本当に嬉しかったです。歌い終わった後には大きな拍手やお褒めの言葉を頂きました。

 国は忘れてしまったのですが、あるおじさんが「CDにしてもいいくらいですよ!」と褒めて下さり、「大切な曲で私も好きです。」とWe Are The Worldの目的についてお話して下さいました。きっとその方もこの歌によって救われたのだろうと思います。この方の為にも頑張ってもっといい発表をクラスで作ろうと心に決めた瞬間でした。

ー気の知れた仲間と繋がるー


 この経験で自信を付け、授業参観や見学に来ている他校の先生方の前でも発表しました。その度に、涙を流している姿を多くみかけました。しかし、当時の私は何故泣いているのか、感動しているのかよく分かりませんでした。

 最後の発表した機会は、6年生を祝う会でのクラス発表の時間でした。他のクラスがダンスや歌で盛り上げる中、私達2組は合唱と大縄の記録更新を狙った最後の挑戦をしました。練習時間を多く取ることはできませんでしたが、ずっと練習してきた2つ。1番クラスの雰囲気を出せるものだと思いました。

 会場の体育館のステージ上に、イエ~イ!!と手を叩きながら登場し、楽しく最後の合唱を終えました。そして大縄は最高記録まではいかなかったものの、記録がクラスのリーダーの誕生日と同じ数字になったのが良い思い出です。




”We Are The World”をクラスで合唱する価値

 最後に、当時は気付けなかった”We Are The World"を歌った意義について改めて考えます。

 歌う私達、それを見る人たち。その歌に何を感じるかは人それぞれです。ですが、共通するものがあると思います。わが子が友達と仲良しそうに歌っている。日本人の子供たちが英語の歌を歌っている。遠い国の貧困に苦しむ人々に思いを馳せている…。誰もが”繋がり”を感じたのです。歌はそれを楽しむ全ての人の為にあり、繋がることでまた新たな価値が生み出されるのです。それは時代、国籍を越えます。

 あれから8年以上経った今も、この出来事を思い出すたび心が温かくなります。素晴らしいメッセージを届けてくれたこの曲をこれからも大切にしていきたいです。次は何と繋げてくれるでしょうか。


https://youtu.be/9AjkUyX0rVw

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