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自力で日本語講師試験に合格する方法②【受験対策編】

【はじめに】
こちらで紹介しているのは日本語講師になるために、「日本語教育能力検定試験」の合格を目指している方への受験対策をご紹介しています。あくまで私の経験上合格につながったと考えるものを書き連ねておりますので、自分にとっても良い方法は各自で模索していただければと思います。私の経験が何かしらの参考になれば幸いです。

日本語講師になるための方法は「日本語教育能力検定試験」に合格する以外にもあります。詳しくは『自力で日本語講師試験に合格する方法①【日本語講師 概要編】』で説明をしておりますので、そちらをご覧いただければと思います。

4か月で日本語教育能力検定試験に合格すると決めた

私が経営するマナー研修会社は、4月の新入社員研修が一年で一番忙しい時期です。コロナ禍になってからは実施が遅れる企業様もあり、2021年の新入社員研修が一段落したのは例年より遅い6月上旬でした。また、Newspicksのスクールで広告クリエイティブ講座を受講をしており、それが終了したのも6月中旬でした。

色々落ち着いてから10月実施の日本語教育能力検定試験に向けて、様々講座探しを始めました。そして通信講座の教材が届いて勉強をスタートしたのが6月25日です。試験日は10月24日。期間は4か月しかないという状況でした。

皆様の日本語講師の勉強のスタートはそれぞれだと思います。日本語講師になりたいという「目的」も人それぞれです。一番大切なことは、何のためにこの試験に合格する必要があるのかを明確にして勉強を始めないと、途中で自分に甘えが出てきてゴールを見失ってしまうと思いました。

そこで最初に、私が日本語教育能力検定試験を受験しようと思った背景をお話ししようと思います。少し長くなりますので、受験のノウハウをすぐに確認したい方は、次の見出しの『アルクの「NAFL日本語教師養成プログラム」を選んだわけ』に進んでください。

私は、FINEST株式会社というビジネスマナー・接客接遇マナー・対人対応力(コミュニケーション)などの指導している研修会社の代表を務めています。代表というと大げさに聞こえてしまうかもしれませんが、私も現役講師としてバリバリ指導しています。弊社の講師陣は私のANA時代の先輩、同期、後輩たちで、ANA時代のCA経験から、マナーや接客の指導を強みに活躍してくれています。

これまで講師として述べ10,000人超の受講者に指導してきました。そんな中で、もう少し指導を強化したいと思う項目がありました。それは言葉遣いです。日本人でありながら、実は皆様の悩みの多くが言葉遣いなのです。学校教育で学ぶ日本語のほとんどはビジネスを想定していません。ですからビジネスで使う日本語に不安を感じている人が多いのです。

そこで、社会人になって改めて弊社のようなマナー研修会社から「敬語」を学びなおすということが起こっています。

一方で弊社では「外国人のための日本のマナー研修」を提供しています。こちらは日本で働く外国人に人気の講座です。彼らは日本人とのビジネスのコミュニケーションにおいて、文化の違いによる勘違いや意思の疎通の難しさという悩みを抱えて受講されます。

FINESTでは、日本の地形や文化の説明から始まり、どういう背景でその言葉を選ぶのかを指導します。受講後彼らは、「日本に来てすぐにこれを知りたかった。」「今回の教えを知らなくて4年間日本で無駄な時間を過ごしていた。」などという方もいます。もっと早くに初期の日本語教育の段階でこのような指導があれば、彼らが悩むことも少なかったろうにと、常々感じていました。

日本人や外国人双方に対して、日本語を分かりやすく、豊富な知識で指導したいと考え、「日本語講師」資格を取得しようと考えました。結果として新たな学びも多く、本当に挑戦して良かったと感じています。

アルクの「NAFL日本語教師養成プログラム」を選んだわけ。

日本語講師になる方法を様々検索し検討した結果、私が選んだ通信講座は、アルクの「NAFL日本語教師養成プログラム(料金:税込103,400円)」です。なぜ通信講座という手段を選んだかという理由は、『自力で日本語講師試験に合格する方法①【日本語講師 概要編】』を読んでいただくとして、ここではなぜアルクにしたかということをお話します。

私たちは日本語に関しては日常難なく話せていますから、いわば日本語のプロとも言えます。しかし、この日本を体系立てて指導するには話すこととは別なスキルを要します。アルクは私が英語という語学の勉強で今まで多くの参考書に触れてきた実績があり、日本語という語学を学ぶ際にも多くのノウハウを持っているに違いないと考えました。

しかし、いざ10万円を超える通信講座を申し込むとなると不安がなかったというと嘘になります。そこで、私と同じように悩んでいる皆様に私の経験を少しでも参考にしていただければと思い、この記事を書いています。

アルクのNAFL日本語教師養成プログラムは、アルクのHPで紹介されている以外の情報が少なかったのは事実です。しかしその時は、悩んでいる時間がなかったということが幸いしました。自分で信じたものをやると決め、早速始めないと間に合わない時期でしたので、思い切って申し込みをしました。それが大正解でした。

教材は24冊で1冊終了ごとにオンラインでの確認テストがあります(24回)。基準に達していないと再テストになります。その他記述問題の提出と添削が2回分あり、これらをすべて提出することでアルクの講座の修了証をいただけます。この修了証は対外的に効力を発するものではありませんが、自分への達成のご褒美的な効果がありました。

教材が到着したときはそのカラーグラデーションの美しさにモチベーションが上がると同時に、全部やり切れるのか不安になる量でもありました。下記の画像が24冊の教材です。付箋は、受験後自社の研修で使える項目だと思うところに貼ってあり、後々役に立ちそうな知識がたくさんあります。

最初に学習計画を立てる際に、1冊分の本の厚み(ページ数)を考えずに頭割りで予定してしまい、後から厚いテキストの回では大慌てになりました。8月中にすべての教材と一回読み終え、9月以降は復習と問題集に取り組むという学習計画を立てました。

教材all

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アルクの日本語教師養成プログラムの有難い点①「テストコ」

アルクでは「テストコ」という受講生専用サイトがあり、事前に学習計画を入力するとメールでリマインドしてくれるというサービスがあります。私の場合24冊を10週弱で終了する計画なので、1週間で2冊半ほど学習し確認テストをクリアしなければなりません。学習テストの結果もテストコに表示され、すべて合格でなければ修了とみなされません。

仕事をしながらの学習は時間を取ることが難しいのですが、テスト実施日が近づくとリマインドや実施遅れの催促のアラームがあるので、とても鼓舞されました。いつしかアラームで指摘される前に、早め早めに学習する習慣が身につきました。

まず最初にテストコで学習計画を立てたことで、どこかぼんやりしていた試験日までの学習の進め方に青写真を描くことができました。以下は私の最初の計画です。後日かなり甘い計画だったことに気付き変更することになるのですが、その変更点もご紹介します。

【学習計画(最初の予定)】
●6月25日~8月31日 NAFL日本語教師養成プログラム(24冊)テキスト、記述問題終了
●9月1日~9月30日 NAFL日本語教師養成プログラム(24冊)再復習
●10月1日~10月23日 過去問

アルクの日本語教師養成プログラムの有難い点②「過去問動画解説セミナー」

アルクの教材学習は8月最終週まで計画通り順調に進んでいました。24冊の教材を終え、記述のテストを提出しようかという8月25日。テストコの「講座からのお知らせ」欄にこんな記載がありました。

「令和2年度 日本語教育能力検定試験 解説セミナー」開催決定!

このセミナーは、前年の試験内容を4名の専門分野の先生方が動画で解説してくれるというもので、受講料は13,200円(税込)です。オンディマンド動画の解説はトータル480分(8時間)あり、9月1日から試験日前日まで繰り返して視聴できます。

ちょうどこの頃テキストを24冊終えたところだったので、予定では過去問は10月から実施するはずでしたが、先ずは申し込んで9月1日に視聴してみました。すると、現状では自分が過去問で全く合格レベルに達していないことが分かりました。そして、先生方が当たり前のように「最低限覚えておいてください」と繰り返して言う『日本語教育能力検定試験に合格するための用語集』という参考書の存在を初めて知ったのでした!

日本語教育能力検定試験合格に【必須】の参考書

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過去問の解説セミナー動画を視聴し、9月はテキストを復習することでは知識が全く追いついていないことが分かり、慌てて学習計画を修正しました。

【学習計画(9月変更)】
●9月15日まで 『日本語教育能力検定試験に合格するための用語集』を徹底的に読み込む。
●9月16日~30日 問題集を解きながら『日本語教育能力検定試験に合格するための用語集』に必要事項を書き込む。

これは非常に効果的な勉強法でした。最低限抑えるべきだと言われたこの『日本語教育能力検定試験に合格するための用語集』(以後用語集)は、日本語教育能力検定試験の1~5の区分に合わせて章立てがしてあり、試験に出題される内容のイメージを持つことができました。8月までに24冊のテキストをざっと読み込んだだけだった知識を一気に整理することができました。

因みに、アルクのテキストの中に『重要キーワード集300』という冊子もついてくるのですが、この内容だけでは到底知識不足で、この冊子に時間をかけるなら『用語集』をしっかりやることをお勧めします。

『用語集』が手元に届いたところで、「令和2年度 日本語教育能力検定試験 解説セミナー」の動画をもう一度見直しました。このセミナーの素晴らしい点は、先生方がオリジナルで作成してくださったハンドアウト(配布資料)が神!なのです。この「用語集」には書かれていない内容も多く、関連ページにハンドアウトから切り取って貼り付けました。

最終的にこの『用語集』は、5回は読み直したと思います。そして時間がないので、知識はこの1冊に集中しようと決め、問題集でてきた新しい知識もすべてこの『用語集』に書き込みました。

ちょっと汚いですが、下記のような感じです。

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9月に使用した問題集は下記の通りです。

・令和2年度 日本語教育能力検定試験 試験問題(にほんごの凡人社)↑
・日本語教育能力検定試験 合格するための問題集(アルク)↓
・2020年 日本語教育能力検定試験合格するための本(アルク)↓

問題集

『日本語教育能力検定試験合格するための本(アルク)』は解説がとても丁寧で、試験の傾向やデータの記載がある他、試験日当日の行動までイラスト付きで解説があり、初めて受験する人にとても丁寧な一冊でした。こちらは最新版の令和3年版もあって購入するかどうか悩みましたが、練習問題にもっと挑戦したいと思い、kindleの電子書籍で購入してみました。

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このkindleでの購入が大正解でした。試験当日は朝9:50~16:40までの一日がかりで試験Ⅰ~試験Ⅲまで3種類の試験があるので、あれもこれも参考書を持っていきたくなります。kindleですとスマホなどで(私はipad miniにしました)見れるので、試験当日に持ち歩くには荷物を減らすことができました。そして様々掲載されている最新のデータは試験にも出てくる可能性もあり、試験直前までそれらを目に焼き付けることができました。

日本語教育能力検定試験には【無くても大丈夫】な参考書

試験前は心配になってあれこれ参考書や問題集を購入してしまいましたが、結局受験を終えてみて、試験対策には必ずしも必要なかったな~と思う本がいくつかありますのでご紹介します。先ずはこちらです。

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前年度の過去問解説セミナー受講後、私には基礎知識が足りない!と思って『用語集』と一緒に買った日本語教育能力検定試験に合格するためシリーズですが、『基礎知識』は通信教育の24冊の教材を簡略化したようなもので、私の場合(多分他のテキストがある方であれば)特には必要ありませんでした。

『記述問題40』は、先に必須の参考書に挙げた『日本語教育能力検定試験 合格するための問題集』や『日本語教育能力検定試験合格するための本』の中にいくつか記述問題があるので、こちらのアドバイス通りに実施すれば、やはり必要なかったな~と感じました。

『日本語教育能力検定試験 合格するための問題集』によると、記述問題は時流に合った内容が出題されるとアドバイスがありました。そして今回は、コロナ禍でオンライン授業が増えたことが出題されるのでは?と予想してみたら、ドンピシャ出題されました!!今、日本語教育の現場で何が起こっているか情報を得ておくことも必要ですね。

そして・・・・下記の参考書は、もし専門的にもっと知識を増やしたい方は手元にあっても良いかもしれませんが、受験対策と言う目的であれば購入の必要はないと思います。結局私は一度目を通しただけで、そのあと手に取ることはありませんでした。他の参考書の画像に比べてきれいですね(笑)。

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アルクの日本語教師養成プログラムの有難い点③「メルマガ」

アルクでは受講中の方全員に、日本語教育に関するニュースやイベント情報、学習のヒントなどを届けてくれるメルマガのサービスがあります。テストコのお知らせで見つけた「令和2年度 日本語教育能力検定試験 解説セミナー」もメルマガで案内がありました。もしテストコで見落としていても、2重のサポートがあります。

また「講座別よくあるご質問」なども紹介してくれて、その解説もとても参考になりました。私は知識不足のため、その解説さえもよくわからなかったので、メールで質問をしたら丁寧に補足説明のメールがありました。

合格してからも、「NAFL就職サポートセミナー」の案内も送っていただきました。参加してみると、合格してから日本語講師として活躍している方の紹介や、日本語講師の就職面接のアドバイスまでしてくれていました。

まとめとして、私が合格できた決めては下記2点だったと思います。

①前年度の日本語教育能力検定試験 解説セミナーで自分の実力と不足点の気付きがあったこと。
②『用語集』と『日本語教育能力検定試験 合格するための問題集』をすべて理解すれば、合格ラインには達すること。

合格ラインは正解率70%以上と言われているようです。②をしっかりしていれば、このラインはクリアできると感じました。その他全く予想もしない問題も出ますが、そこは点数を取りに行かなくても合格ラインに至ると思います。

あくまで私の合格体験記ですが、皆さんに一番合致するやり方で、自分を信じて合格されることを祈っております!

日本語教育能力検定試験 3部構成

日本語教育能力検定試験は試験Ⅰ~試験Ⅲまで3種類の試験があるとお伝えしましたが、構成は下記の通りです。

【試験Ⅰ】基礎的問題 90分100点(マークシート100問)

【試験Ⅱ】聴解問題 30分40点(マークシート40問)

【試験Ⅲ】総合問題 120分100点(マークシート80問、記述400文字程度 手書き)

尚、記述問題は試験Ⅰ~試験Ⅲのマークシートの得点が上位6割に入った人のみ採点対象とのことです。

●時間配分●

記述には30分は取っておきたいので、80問を90分で回答しておく時間配分だと良いと思います。関係ないとは思いますが、読みやすいきれいな字の方が好印象に違いないと思い、私は丁寧に書いてので結構時間がかかり30分時間を取っておいてよかったと思いました。

最初に過去問を解いた時は「時間が足りない~!!」と焦りましたが、何度も練習問題や過去問を解いていく中で時間感覚がつかめると思います。

●確認すべきサイト・データ●

文化庁や、文部科学省、厚生労働省、公益社団法人日本国際教育支援協会(JEES)などの日本語学習者数や、日本語講師数、在留資格と%(割合)などは必ず最新のものをチェックしておきましょう。とはいえ、10月試験なので9月発表の最新データなどは試験に反映されないと思いますので、7月くらいまでのチェックで大丈夫だと思います。

(次回)聴解問題対策

またまた長くなってしまったので、試験Ⅱの聴解問題対策は『自力で日本語講師試験に合格する方法③【聴解問題対策編】』でご紹介します。



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