バカなフリ
私は道化師だった
彼等の中で、彼女達の中で、笑ったり、泣いたり、怒ったり、おどけたりみんなの為に、私の為に道化師になった
誰も気付いてくれなかった
本物の私なんて、私に本当なんて無いみたいに、クラウンの仮面に気づいていない素振りで私の笑い声で上機嫌そうに口笛を吹いて、そのまま私の透明な裸を踏み倒して歩いてあの夏みたいに過ぎていってしまう
そのままあたしの呼吸器官は有毒な彼等の息に侵されて溶けて現れて真っ白になるわ
笑いながら毒に犯されてみせるの
私は何も知らないから彼等の息が有毒なんて二度と気づかない
気づかない気づかない気づかない知らない知らない知らないフリ、フリをして
笑う 回る 廻る 囘る まわる まわるめぐる まわる ゆらぐ ゆらぐ______________
触れてもいいかな、毒だからって触れちゃいけない理由にどうしてなるの?
壊れそうなものはみんな触れたくなるものでしょ
壊したい 壊せない 壊しちゃダメ 理性が私を押さえ付けて、離さないこのまま
わたしを離さないで絶対に二度と私を離さないで離れないで
私と融合して 液体になって 透明になって川になって 海になって 昇華して 卵になって回る回る 廻る廻る 巡る巡る
どうして私を怖がるの
私は普通じゃないの
普通って言って他人の言い出した言葉みたいに言わないでよ、あなたの普通のくせに、世間が許してくれないとか言って、あなたが許してくれない癖に
どうせ私に興味なんて無いくせに
私という女じゃなくて女が好きなくせに
女の体が好きなだけのくせに
私の世界の片隅しか目に入れていない癖に
口癖を真似ないでよ
あなたは私になれないから
私は普通なんかになれないから
何も知らないまま標本になって透明のままなら私はあなたの隣にいられた?
あの夜を越えずにあの時に閉じ込められたまま、あなたの傍で泣いていられた?
泣くのが許されたあの空間が嬉しくて、でも時間は過ぎるのが苦しくて、離れて言って欲しくなくて、私の手で掴めないものが憎くて、あなたを愛していて、今日もあなた達のことを考えていて、今夜もあなたと溶け会えなくて、混じりあえなくて、まだラ・カンパネラは弾けなくて、まだこのこだわりから退けなくて、今日も燃えるように泣いて、身を焦がすように恋をしているの