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とあるマンション管理組合がEV充電器を導入する物語 第11話

これは、とあるマンション管理組合がEV充電器を導入するまでの、まちがいだらけの物語です。
なお、この物語はフィクションであり、実在する個人や団体とは一切関係ありません。あくまでエンタメの範囲でお楽しみください。
物語のプロローグはこちら。
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トアールコミュニティの従業員、有田は続けた。
「ということですので、現場調査のご依頼をお待ちしています。」

D号棟理事の角田が再び口を開いた。
「これって、修理が必要ってなったら、修理代金ってどうなるんですか?誰が出すんですか?」
「えー、管理組合の規約では、理事会に一任されていますので、修繕積立金から支出することになります。」
有田が答えた。
「でもですよ、例えばこれで、あっちもこっちも具合悪いってなったら、全部を修理するだけのお金が今、あるんですか?」
「全体での修繕積立金は、資料の10ページをご覧いただけると、先日の総会の資料が入っています。そこの、修繕積立金の繰越金をご覧ください。」
「これ、金額は書いてますけど、これをいくらまでなら使っていいとか、そういうのどうなんですか?どの修理だったら使っていいとか決まってないんですか?」
「管理組合の規約上では、共用部分の必要な修繕を行う、という文言だけあります。」

A号棟理事の相沢の目に光が戻った。
「え、じゃあ、例えば、建物の壁の塗装なんかもはがれて来てるところがあるんだけど、そういうのも建物全体を修理してほしいって言ったら、できるってことですか?」
「え、建物全体ですか?そうなると金額的にも内容的にも、普通の修繕の範囲を超えてくると思います。大規模修繕としてやった方が良いと思います。」
「え、どういうことですか?大規模修繕と普通の修繕って何が違うんですか?」
「普通の修繕というのは、故障したり不具合が発生した箇所を、ピンポイントで修理することを言います。これに対して、大規模修繕というのは、読んで字のごとしで、大規模に、建物をまるごと修繕するものになります。例えば、建物の屋根の防水を全部やり替えたり、外壁の塗装を1棟丸ごと塗り直したり、あとは、配管なんかをやり替えることも多いですね。」

「じゃあ、それをやってくれればいいんじゃないの?だって、もう相当古いんだもの。」
「相沢さん。大規模修繕は、大規模なだけあって、修繕費もバカにならないんですよ。」
「いくらくらいかかるんですか?」
「それは、何をどの程度修繕や改修するかによって、お見積りを作成することになります。」
「じゃあ、それを出してくれたらいいじゃない。」
「ご依頼をいただければ、お見積りはいつでもお作りしますよ。」
「ちょっと待ってください、その大規模をやるんだとしたら、さっきの修繕が必要な所を調べるっていうのはどうなるんですか?」と、角田。

「大規模修繕をするのか、小規模にピンポイントで済ませるのかは、管理組合の皆さんのお考え次第です。私どもの方からどちらにしてください、というようなことをお願いするものではないんです。」
「なるほど。じゃあ、調べてきたところの見積りと、大規模の見積りを両方出してもらって考えるっていうことですか。」
「それがいいと思います。皆さんのご検討のための調査や見積りはいくらでもお出ししますので。」

☞マンション管理組合理事会のチェックポイント
・管理組合の規約に沿って、修繕が行われます。
・規約に記載がないことは、都度、承認が必要です。
・通常の修繕と、経年劣化に対する大規模修繕は分けて計画しましょう。

つづきは、こちらから >>> 第12話を読む

(マンション管理組合についてはこちら

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