とあるマンション管理組合がEV充電器を導入する物語 第19話
これは、とあるマンション管理組合がEV充電器を導入するまでの、まちがいだらけの物語です。
なお、この物語はフィクションであり、実在する個人や団体とは一切関係ありません。あくまでエンタメの範囲でお楽しみください。
物語のプロローグはこちら。
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そして、次の月の理事会の日がやってきた。
トアールマンション管理組合の従業員、有田は、今日も気が重かった。
(あぁ、またこの日が来たよ。)
そう思いながらも、わずかに期待もあった。
(先月、ちゃんと話聞いてきてってお願いしたから、みんな聞いてきてくれてるといいんだけどな・・・。でも、期待が裏切られたら辛いから、期待はしない!だって、あの人たちだもんな。)
定刻を迎え、トアールマンション管理組合の月例理事会が始まった。
「では、出席を確認します。」
「白石さん。」
「白石さん?どなたか、白石さんからご連絡を受けている方はいらっしゃいますか?」
(やっぱり、今日も来てない。会議を無断欠席するくらいなら、理事を引き受けなきゃいいのに。もう、待たないでおこう。)
「では、時間になりましたので、始めます。今日こそは、時間内で終われるよう、皆さん、ご協力をお願いします。では、まず最初に、議長の樋口さん、一言、ご挨拶をお願いします。」
「え、あ?わし?」
「はい。お願いします。」
「あー、えーっと、皆さんお忙しい中をありがとうございます。修理やら何やらと、話し合わなければならないことがありますが、協力して進めていきましょう。」
「ありがとうございます。では、先週、みなさんにお願いしていた件ですが、各棟で、住民の方や区分所有者の方とお話し合いはされましたか?」
理事たちは、うんうんとうなずく。
(なんということだ。まさか、みんながちゃんとやって来たなんて。)
有田は感動で胸が熱くなるのを感じた。
各理事が、棟ごとに不具合箇所を報告していった。
「皆さま、ありがとうございます。それでは、今、いただいた箇所については、来週、現場担当者がお伺いして、修理の見積りをお出しします。各理事には、担当者が直接ご連絡しますので、よろしくお願いします。」
なんと、スムーズなのだろう。みんなが順番に話ができるって、素晴らしい!
「では、続きまして、先月、F号棟からご依頼のあった件について、修繕見積りを作成いたしました。資料の8ページをご覧ください。」
一同は資料をめくる。
「では、この金額で修理をご依頼いただくことに賛成の方は挙手をお願いしま」
「ちょっと、待って!話が違うじゃない!」
A号棟 理事の相沢愛子が突如かみついてきた。
「え?は?え?何がです?」
有田は、意味が全く理解できなかった。
(なんでこの人はこんなに怒っているんだ・・・?)
「だって、私たちはまだ自分のところの見積りを出してもらってないわけ!なのに、なんでF棟だけ先に決めるんですか。そんなのおかしいでしょう!」
「は?何を言って」
「この前、みんなで決めたじゃないですか!一斉に具合の悪いところを調べて、見積りを取って、それで修繕を全体でやるかどうか決めるって言ったでしょ?そうですよねぇ?」
「それは、言いましたよ。」
「でしょう?なら、なぜF棟だけ先に決めるんですか!話が違いますよね?」
つづきは、こちらから >>> 第20話を読む。
(マンション管理組合についてはこちら)
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