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気づけば「好きな惣菜発表ドラゴン」を口ずさんでいたので考えたこと

 ネットの流行は目まぐるしく変化していて正直もうついていけないなぁとスマホの画面を虚しく眺める今日この頃です。「好きな惣菜発表ドラゴン」ちゃんもTwitterで見かけた当初はサムネイルのパロディ画像だったので、またなんかよくわからんのが流行っとるなぁ……程度の印象でした。YouTubeでたまたま楽曲を見つけたときも、あらかわいい曲ねと思ったくらいでした。(こちらの楽曲ですね。作詞作曲絵動画はンバヂさん、歌手は重音テトちゃんです。)

 なんですが、近頃なにか口ずさみたくなったときにふっとこのお歌が出てくるんです。理由を考えてみたところ、この曲のまとっている雰囲気が童謡だからかなと。(作曲されたンバヂさんの意図とはズレるのかもしれません。あくまでも私の印象です。)ドラゴンちゃんが好きなお惣菜を発表する様子を優しく見守りながら「きんぴらかな?」と手助けしてあげる様子はおうちの人に見守られながらすくすく育つ子どもを見ているようです。「おべんとうばこのうた」の現代版とでもいいますか。発表する者が子どもではなくて架空の存在であるドラゴンなのは、少子化で子どものほうが希少な存在となってきたことのあらわれ……と捉えるのはさすがに考えすぎですよね。
 ともかくやることに追われつつも失敗が許されないギスギスした現代社会です。人間には耐えられません。そんななかで自分が好きなものをにこにこしながら無邪気に「発表」して、優しく聞いてもらい「好き好き大好き」と歌う。そして「好きな惣菜がまた出てきたら発表したい」と締めくくる。こうしたゆるくあたたかい曲が生まれるのも道理なんでしょうね。なんとなくこのお歌を口ずさむと幼稚園や小学校で童謡を歌っていたあの頃に戻れるような気持ちになれます。なんとなく自分をいたわっている感じがあるのが不思議です。自分の気持ちを無邪気に話して優しく肯定されるドラゴンちゃんを追体験しているような、ドラゴンちゃんを優しく見守る大人になれているような、うまく言えませんがそういうあたたかな気持ちになれますね。
 また、2000年代に大学生をしていた私にとってこのお歌を歌っている重音テトちゃんはあくまでも「エイプリルフールの子」であり、少しずつキャラクターに肉付けされてはいたものの傍流のイメージでした。ホンモノではない、というか。その子がいつの間にかこんな優しい歌を歌えるまでに上達(技術の進化というと無粋ですよね)したのもなんだか嬉しいものだなぁと思いました。

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