【Tree of Savior M】命中・貫通・クリティカルの計算―2024年6月版
オンラインRPG「Tree of Savior M」の攻略記事です。ですが、このゲームをやっていない、もしくはもうやっていないという方にも、ちょっとしたゲーム追体験のひとときになってくれたら幸いです(*´ω`)
今回の内容は、以前に投稿させていただいた記事、
の改訂版、もしくは別解釈版(?)です。
内容を一言で言うと、
「『命中』のほうが『貫通』よりも優先されると思っていたものが、実際にはその逆で、『貫通』のほうが『命中』よりも優先される、ということが示唆された。そのため、その場合の計算を行ってみた」
というものです。
一言じゃなくて二文になってしまいましたね(*ノ>ᴗ<)
ただ、本当に「貫通のほうが命中に優先される」のか、私の中では疑念が払拭しきれないという部分もあったりします。いや実際に自分の目で目撃したのですが・・・。バグかもしれないという疑念がどうも払拭しきれません
( ̄▽ ̄;)
まあ、少なくとも確実に言えるのは、「もしも本当に貫通のほうが命中よりも優先されるならば、この記事で紹介する計算が参考になりそう」ということです。
「命中」、「貫通」、「クリティカル」というのは、一般的なRPGにおける「クリティカルヒット」や「会心の一撃」に相当するものです。一定の確率で、普段よりも大きいダメージが出ます。このゲームの場合、それが「命中」、「貫通」、「クリティカル」の3種類あるのです。
「命中」というのはちょっと紛らわしい名前なのですが、自分の攻撃が相手に命中することではなく、いわば「命中攻撃」とでも言うべき特殊な攻撃が生じることです。戦闘画面では「CleanHit」と表示されます。普段のダメージ(の平均値)の約1.25倍のダメージが出ます。
それらの詳しい仕様については上掲の記事をご参照ください。そこの「1. 各種仕様の確認」のところです。
私が書き魔なせいでちょっと文章が長くなってしまっていますが、太文字のところだけざっと読んだり、画像のところだけざっと見たりするだけでも、大体の内容は把握していただけるのではないかと思います。
でも、面倒な場合は無理にご参照いただかなくても多分大丈夫です。本記事でも必要に応じて要点をご説明します。
本記事の結論に対して重要な疑問がわいたときにのみ、それらに目を通して詳しく確認してみる、というのでも良いかなと思います。
これまでの記事と同様、本記事でも、お時間のない方は、太文字のところだけを目で追っていく、という風にしても大体の内容は分かるように書いてみました。そうしていって、気になったところがあったらその前後の文章も少し読んでみる、というのでもよいかと思います。
本記事がご参考になれば幸いです🌷
1.この記事の執筆に至った経緯
まず、この記事の執筆に至った経緯についてざっとご説明します。興味のない方はスキップしていただいてよいと思います。
本記事の内容は、冒頭でも述べたように、「以前は『命中』のほうが『貫通』よりも優先されると思っていたものが、実際にはその逆で、『貫通』のほうが『命中』よりも優先される、ということが示唆された。そのため計算式を修正した」というものです。
その中で、
①なぜ以前は『命中』のほうが『貫通』よりも優先されると思っていたのか、
そして、
②なぜ実際にはその逆であること、つまり『貫通』のほうが『命中』よりも優先される、ということが示唆されたのか、
についてを、ここでざっとご説明します。
まず①についてですが、一言で言ってしまえば、「そういう風に思わせる運営からの返答文があったから」です。
それは、あるプレイヤーの方が、運営から受け取ったメールとしてある掲示板に掲載したものです。まとめサイトとしては、
https://2ysokuhou.com/tosm/3560
があります。その返答文というのは、
というものです。
(これが実はこの投稿者の方の創作であって本当の運営チームからの返答文ではない、という可能性もありますが、それはひとまず頭の隅に押しやっておくことにします。文面自体はもっともらしい文面ですし、創作にしては無駄が多いように思います。掲示板でも、皆さんひとまずこれを本物として受け取ってみることにしたようです。)
そこの5〜6行目が問題の文章です。「命中及び貫通のステータスが高いキャラクターが攻撃する場合、CleanHitを優先判定されます」というものです。
CleanHitというのは、本記事冒頭でも触れたように、「命中」(「命中攻撃」)のことです。
画像を見ていただくと、黄色や白のダメージ数字の上に緑の文字で「CleanHit」と付されているものがありますね。これが「命中」(命中攻撃、CleanHit)です。
その一方で、このゲームには「貫通」というものもあります。これもやはりキャラクターのステータスに依存して一定の確率で発生し、普段よりも大きいダメージを与えるというものです。ゲーム内説明によれば、「相手の防御力を20%無視したダメージ」です。
上の画像を見ていただくと、黄色や白のダメージ数字の上に青い文字で「Pierce」と付されたものがありますね。これが「貫通」(貫通攻撃、Pierce)です。
で、上記のメールは、それ以前からユーザー間で議論されていた問題、すなわち「命中(CleanHit)と貫通(Pierce)が同時に発生することはないっぽい」という問題への公式回答として注目されたのでした。
単純な確率論で言えば、両者は同時に発生しうるはずです。つまり、例えば「命中」が確率50%で、「貫通」が確率40%で発生するとしたら、0.5×0.4=0.2すなわち20%の確率で「命中かつ貫通」という攻撃が発生するはずなのです。
しかし実際のゲーム内でCleanHitとPierceの文字が両方とも付されたダメージが出てくることはありません。誰もそれを目撃した人はいません。
そして、ゲーム内ではそれについて一切説明がなかったのです。
そこで、「確率判定のときに命中と貫通が同時に有効判定されたらどうなるんだ?」という疑問がプレイヤー間でわきおこっていたのでした。
例えるならば、サイコロAで偶数の目が出たら「命中」、サイコロBで偶数の目が出たら「貫通」というルールで遊んでいるときに、両方のサイコロで偶数が出たらどうするんだ、ということですね。
上述の「運営からの返答メール」を紹介した人は、この点について運営チームに問い合わせたのだと思います。そしてそれに対する運営チームからの返答が、そのメールだったのだと思います。
そこに、「命中及び貫通のステータスが高いキャラクターが攻撃する場合、CleanHitを優先判定されます」と書かれていたのでした。
これを素直に読み取るならば、「サイコロAでもBでも偶数が出た場合は『命中』ということにする」、ということである、て思っちゃいますよね?
(-_-;)
まあ、あらためて疑いの目をもって問題の返答文を吟味してみると、様々な解釈の可能性が浮上してくるわけですが・・・。ぐだぐだ言ってもしょうがないのでそれはやめておきましょう( ̄▽ ̄;)
とにかく結果として生じたことは、この「返答文」を見た多くの人が「命中が貫通に優先される」(命中と貫通が同時に発生しそうになったときは命中だけが発生し貫通は発生しない)と解釈した、ということだと思います。私もその一人です。
あと、上掲のまとめサイトを見ると、「(レベル90ぐらいで)命中95%貫通95%の人が、貫通ばかり出ると言っていた」という伝聞が報告されているのですが、そのようなトンデモステータスを持った人はなかなかいないので、他所からそのような報告が次々に上がるということがなく、またそれを自分の目で確かめることもできないため、その伝聞については多くの人が判断を保留していたのではないかと思います。
しかし、少なくとも2024年6月現在、実際には「貫通」のほうが「命中」より優先されているようです。つまり、命中と貫通が同時に発生しそうになった時、貫通だけが発生して命中が発生しない、ということです。
私がそれに気づいたきっかけは(そして多くのプレイヤーの方が今すぐにでもご自身の目でそれを確認できる方法は)、レベル1のキャラクターを作成したことでした。ちょうど6月5日に新クラス「マスケッティア」が実装されたので、それを少しやってみたいと思い、そのクラスで新しくキャラクターを作成したのです。
すると、このゲームにおける特殊な仕様の関係上、そのキャラクターの「命中」発生確率と「貫通」発生確率が両方とも上限値の95%になっていたのです。
その「特殊な仕様」というのがどういうものなのか、についての説明は、ここでは割愛します。書き始めたら意外に長文になってしまったためです。まあ、とにかくそういうものなのだと思ってください。
バグや不具合ではありません。一定期間このゲームをプレイしていて、そして主として「バラック」というシステムを普通に活用しているプレイヤーなら、大体誰でもそうなります。つまりその同じアカウント内にレベル1の新キャラクターを作ると、そのキャラクターは「命中発生率と貫通発生率がどちらも95%」という状態からスタートします。
このゲームの開発チームも運営チームも、それと知って意図的に設定している、このゲームの仕様のひとつです(そのはず( ̄▽ ̄;))。
いわゆる「強くてニューゲーム」の一種、という認識でよいと思います。
(ただし、その新規作成キャラクターをどんどんレベルアップさせていくと、それに伴って命中と貫通の発生率も「95%」という異常に強い数値から下がっていき、やがて各レベルごとの適切な値へと収束していきます。)
そして、そのキャラクターで適正レベルのモンスターを攻撃してみたら、なんとほとんどすべての攻撃が「貫通」になったのです(!)。ほとんどすべての攻撃が『貫通』で、たまに『命中』が出る、という感じでした。
おそらく、攻撃の95%が「貫通」になり、そこから外れた5%のうちの95%が「命中」になっていたのだと思います。つまり95%が貫通、0.05×0.95=0.0475つまり4.75%が命中、そして残り0.25%が普通の攻撃、ということですね。言い換えれば、400回中380回が貫通、19回が命中、1回が普通、ということです。
これは、命中と貫通が同時に発生しそうになった場合、貫通が優先される、つまり貫通だけが発生して命中は発生しない、ということを示唆します。
というわけで、上掲の「運営からの返答メール」の文面からは読み取り難いことですが、どうやら命中と貫通が同時発生しそうになったときは貫通が優先される、という仕様になっているらしいことが示唆されたのでした。
そのキャラクターのクラスである「マスケッティア」(長銃使い)の特徴なのかとも思いましたが、ゲーム内ではそのような説明は一切ありませんし、またそうする理由もあるようには思えません。
かつ、検証のために「クレリック」の新キャラクターも作ってみたら、上掲の画像のようにそこでもやはり同じ現象が観察されたのでした。
一時的なバグという可能性もありますが、今回のアップデートにおいて戦闘システムのその部分にメスを入れる必要があったようには見受けられません。なのでその可能性も低いと思います。
私は、無理からぬこととご寛恕いただけると秘かに期待しているのですが、上掲の「運営からの返答メール」の内容を、「命中が貫通に優先される」と素直に解釈し、その解釈に従って以前の記事(「命中・貫通・クリティカルの計算」)を自信満々に書き、計算結果をご紹介していたのでした。なので、「実際には貫通のほうが優先されるらしい」という今回の目撃結果はショックでした (T-T )( T-T)
でも、それに従って計算式を修正し再計算してみたら、なかなか興味深い面白い計算になりました☆(・ω<)
それを次にご紹介したいと思います✨
2.計算式と計算結果
2-1.概要
ここでは、「命中と貫通が同時発生しそうになったとき、貫通だけが発生し、命中は発生しない」とした場合に、命中や貫通やクリティカルの発生率を上げると与ダメージ期待値はどれだけ上がるのか、の計算式を示します。
ただし、この計算式は与ダメージ期待値そのものを与える式ではありません。というのも、攻撃側の「攻撃力」と防御側の「防御力」によって決まる基本ダメージ(命中も貫通もクリティカルも発生しなかったときのダメージ)については、その計算構造がまったく不明だからです。
ではここで示す計算式は何を計算しているのかというと、「一定の確率で「命中」や「貫通」や「クリティカル」が発生することを考慮したとき、与ダメージの期待値は基本ダメージ(の平均値)の何倍になるか」、です。
「与ダメージ期待倍率」とでも呼んだほうが適切かもしれませんね。以下では適宜その呼び方でも呼ぶことにします。
簡単な例で示すと次のようになります。例えば30%の確率で普段のダメージの2倍のダメージ、70%の確率で普段どおりのダメージが出る場合を考えてみましょう。この場合の与ダメージ期待値は、普段のダメージを$${x}$$とすると、
$$
0.3\times 2x+0.7\times x=1.3x,
$$
となります。この「1.3」にあたるものが、上で「与ダメージ期待倍率」と呼んだものです。そして以下の計算式で計算するものです。
「期待値」の概念についてのより詳しい説明は、以前の記事「命中・貫通・クリティカルについての計算」における「2. 計算式」の冒頭なども参照してみてください。
簡単に言ってしまえば平均値です。「期待される平均値」です。(もう一歩踏み込んで言えば、「確率の定義から期待される平均値」ですかね。)
2-2.命中・貫通・クリティカルの仕様(要約)
次に、命中・貫通・クリティカルの仕様について簡単に箇条書きで示しておきます。
内容は以前の記事(「命中・貫通・クリティカルの計算」)とほとんど一緒です。以前の記事との重要な違いはただ一点、「命中ではなく貫通のほうが優先される」という点だけです。
それ以外の点については特に目新しいことはないと思いますので、既に知っているという方は、ここは読み飛ばして次の「2-3.計算式」もしくは「2-4.計算結果」に進んでしまって良いかと思います。
また、そうでなくても、細かい仕様は気にしない、という方も、読み飛ばしてしまってよいかと思います。
ここでわざわざそれを示す理由は、一言で言えば「参照の便のため」です。
より詳しく言えば、次節で示す計算式の成り立ちを理解したいという方にとって、ここで仕様が列挙されていることは便利であろうと思ったからです。
さて、命中と貫通とクリティカルそれぞれの仕様を列挙すると次のようになります。
命中(CleanHit)
一定の確率にしたがって発生する(ステータス画面の「命中」のところの%のほうの数値)
発生すると普段のダメージ(白文字ダメージ)の平均値の約1.25倍のダメージが出る。
回避されない。しかしブロックはされる。
貫通と同時に発生しそうになったとき、貫通が優先され、命中は発生しない。
ここで「回避」というのは一般的なRPGにおける「回避」と同じです。一定の確率で相手からのダメージを0にするというものです。そして「ブロック」というのはその亜種で、一定の確率で相手からのダメージを75%カットするというものです。つまり被ダメージが25%になるというものです。
命中がブロックされると、「ブロックされた命中」が出ます。ダメージの数字に「CleanHit」の文字が付いているのに、やけに低いなあと思うダメージが出ます。それがブロックされたCleanHitです。
貫通(Pierce)
一定の確率にしたがって発生する(ステータス画面の「貫通」のところの%のほうの数値)
発生すると「相手の防御力を20%無視したダメージ」を与える。実用上の目安としては、普段のダメージ(白文字ダメージ)の約1.2倍のダメージが出る。
さらに、発生した後3秒間、すべての攻撃が「相手の防御力を20%無視したダメージ」になる。つまり3秒間、貫通以外のすべてのダメージも約1.2倍になる。
ブロックされない。しかし回避はされる。
命中と同時に発生しそうになったとき、こちらが優先される。つまり命中は発生せずに貫通だけが発生する。
「3.」について補足すると、そこで述べられている「すべての攻撃」には、当然ながら(?)命中攻撃も含まれます。つまり、その期間に命中(CleanHit)が発生すると、そのダメージは約1.25×1.2=1.5倍になります。
「倍率ドン!さらに倍」みたいなやつですね👓
簡単に言えば、「相手の防御力を20%無視する」というバフ効果を3秒間自分に付与する、という感じです。
クリティカル
一定の確率にしたがって発生する(ステータス画面の「クリティカル」のところの%のほうの数値)。ただし実際の戦闘では、相手の「クリティカル抵抗」の数値によってその発生率が抑制される。
発生すると、一定量の固定ダメージが普段のダメージ(白文字ダメージ)に加算される。そのとき、ダメージの数字は黄色で表示される。固定ダメージはステータス画面の「クリティカルダメージ」の数値に依存して変わる(大体、その0.5~2倍程度)。スキル攻撃の場合は、その追加ダメージも倍増される。
回避もブロックもされる。
命中もしくは貫通と同時発生しうる。つまり、「命中かつクリティカル」もしくは「貫通かつクリティカル」というものが存在する。
「2.」の「スキル攻撃の場合は」のところについて補足すると、例えば「通常攻撃の2倍のダメージを与える」スキルがクリティカルになった場合、そこで加算される固定ダメージも2倍になるということです。
次に「4.」について補足すると、「命中かつクリティカル」というのは、命中攻撃のダメージに「クリティカル」の固定ダメージが加算されたものです。そして「貫通かつクリティカル」というのは、貫通攻撃のダメージに「クリティカル」の固定ダメージが加算されたものです。
2-3.計算式
さて、前節に示したような「命中」、「貫通」、「クリティカル」の 無駄に 複雑な仕様が組み合わさった結果、計算式は以下のようになります。
数学が苦手な方や、数式の成り立ちに興味のない方は、ここは読み飛ばして次の「2-4.計算結果」に進んでしまって良いかと思います。
まず、計算に用いる各種の数値(いわゆる独立変数)を列挙すると、次のようになります。
命中発生確率 $${h}$$
貫通発生確率 $${p}$$
クリティカル発生確率 $${c}$$
命中発生時の基本ダメージ増加倍率 $${H=1.25}$$
貫通状態時の基本ダメージ増加倍率 $${\cal P}$$
クリティカル発生時の基本ダメージ増加倍率 $${\cal C}$$
3秒間ダメージ回数 $${N}$$
相手が回避する確率 $${a}$$
相手がブロックする確率 $${b}$$
相手のクリティカル抵抗 $${c_r}$$
ここで各種確率は、確率論の慣例に従い%ではなく0から1の間の数字で表すことにします。例えば命中発生確率が25%ならば$${h=0.25}$$、50%ならば$${h=0.50}$$です。
「貫通状態時の基本ダメージ増加倍率」$${\cal P}$$とは、貫通攻撃が発生してそこから3秒間「相手の防御力を20%無視する」という状態になったときの、基本ダメージ増加倍率です。その具体的な計算式は不明なので、私は実際に観測した結果から推定することにしています。2024年6月現在のエンドコンテンツ群では大体$${{\cal P}=1.2}$$になります。
「クリティカル発生時の基本ダメージ増加倍率」$${\cal C}$$とは、文字通りクリティカルが発生したときの基本ダメージ増加倍率です。実際にはクリティカルは基本ダメージを◯◯倍にするものではなく、一定量の固定ダメージを加算するものなので、厳密に言うとこれは正しい扱いではありません。ですが、私の経験上、近似的に「◯◯倍」とみなし、その倍率を観測から推定して用いるのが実用においては便利です。2024年6月現在のエンドコンテンツ群では大体$${{\cal C}=1.8}$$前後になります。
そして「3秒間ダメージ回数$${N}$$」とは、3秒間に何回ダメージを出すかの回数です。ただし、「持続ダメージ」によるダメージは、$${\bm N}$$にカウントしません。
「持続ダメージ」とは、「毒」や「出血」によるダメージのことです。戦闘中、画面の上部に相手のHPバーが表示されますが、そのときにそのHPバーの下にいわゆる「状態異常アイコン」が表示されることがあると思います。それをクリック(タップ)するとそれがどんな状態異常なのかポップアップ表示されます。そこに「ダメージを受ける」という語が含まれていたら、それが持続ダメージです。
ちなみに、持続ダメージには命中も貫通もクリティカルも発生しません。その代わり、回避もブロックもされません。なので結局のところ、持続ダメージについては本記事で計算する「与ダメージ期待倍率」はまったく関係しません。
さて、これらを用いて計算式を立てますが、そのままだと式が煩雑になってしまいます。そこで上のいくつかの変数から得られる副次的な変数として、
「貫通失敗確率」 $${p'=1-(1-a)p}$$
「被回避効果」 $${a'=1-a}$$
「被ブロック効果」 $${b'=(1-b)+0.25b=1-0.75b}$$
「実クリティカル発生確率」 $${c_t=c-c_r}$$ もしくは $${c_t=c(1-c_r)}$$
を定義します。最後の「実クリティカル発生確率」には2種類の式が候補として示されていますが、そのどちらなのかは現在不明です。私は個人的には適当に$${c_t=c-0.05}$$を、PvE(対モンスター戦)を考えるときの実クリティカル発生確率推定値として用いています。
以上の準備のもとに、「与ダメージの期待値は普通のダメージ(白文字ダメージ)の平均値の何倍になるか」の値$${\bm E}$$を求める計算式を書き下します。それは次のようになります。
$$
E=\{c_t{\cal C}+(1-c_t)\}E_{hp},
$$
$$
E_{hp}=\big\{(1-p'^N){\cal P}+p'^N\big\}\big\{H(1-p)hb'+(1-h)(1-p)a'b'\big\}+{\cal P}pa'
$$
です。
この計算式の導出に関しては、前回の記事を執筆した際に作成した以下のPDFファイル(DmgExp.pdf)を参照してください。
そこで導いた式は当時の認識のもとでの式、すなわち「命中が貫通に優先される」場合の式ですが、考え方はまったく一緒です。そこの$${p'}$$を上述の$${p'=1-(1-a)p}$$に置き換え、そして「事象列挙」の表における全ての$${h}$$(ただし$${1-h}$$の中の$${h}$$は除く)を$${(1-p)h}$$に置き換え、かつ全ての$${(1-h)p}$$を$${p}$$に置き換えれば、ここでの式と同じ式が導かれます(きっと🌟)。
2-4.計算結果(グラフ)
ここでは、上記の計算式を(つまり、現在得られている限りの情報に基づいた計算式を)用い、命中発生率$${\bm h}$$や貫通発生率$${\bm p}$$が具体的に色々な値をとったときの、与ダメージ期待倍率の基幹部分$${\bm E_{hp}}$$を計算した結果を、グラフでお示しします。
各パラメータは、以前の記事(「ちょい測報」、「無一文啓示者ちゃんのギリギリ救済旅―EP15編」)でご紹介した測定結果などを用い、次のように設定しました。
まず命中または貫通が生じたときのダメージ増加倍率をそれぞれ$${H=1.25}$$、$${\cal P=1.2}$$としました。
また「3秒間攻撃回数」$${N}$$を$${N=5}$$としました。
そして相手の回避確率$${a}$$とブロック確率$${b}$$については、ひとまずPvEを想定して両方ともゼロにしました。
クリティカルまで含めた最終的な$${E}$$ではなく、いわばその前段階の$${E_{hp}}$$だけを計算した理由は、無駄な複雑化や不確定要素を排し、目下最大の関心事に注意を向けるためです。
その「目下最大の関心事」とは、
「命中と貫通どちらを優先して上げればいいのか?」
というものです。
「両方上げればいいじゃん」と思われるかもしれませんが、実際にこのゲームを進めてみると、「命中を上げるか貫通を上げるか、どちらか1つを選べ」という選択にせまられる場面が結構あります。
実際私もその選択をつきつけられて煩悶し、とにかく何か指針をひとつ得たい、と思ったのが、以前の記事や今回の記事のような計算を行ったきっかけでした。
そして地味に重要なこととして、$${\bm E_{hp}}$$はクリティカル関連のパラメータとは独立に(無関係に)決まります。なので、クリティカルのことは一時的に忘れることにしてしまっても、上記の問いに関する研究は十分にできるのです。
クリティカル関連のパラメータを考慮に入れる場合は、単純にこの$${E_{hp}}$$が◯◯倍されるだけです。例えばクリティカル発生時のダメージ増加倍率$${\cal C}$$を$${\cal C=1.8}$$とした場合、実クリティカル発生率$${c_t}$$が$${c_t=0}$$ならば$${E=E_{hp}}$$、$${c_t=0.5}$$ならば$${E=0.9E_{hp}}$$、$${c_t=1}$$ならば$${E=1.8E_{hp}}$$になる、という感じです(このゲームではクリティカル発生率の上限が「95%」と定められているので、$${c_t=1}$$すなわち100%の確率でクリティカル、ということはないのですが)。
さて、それでは計算結果のグラフです。個人的にはなかなか興味深い結果になりました。
グラフはまともに描くと三次元グラフになるのですが、ちょっと実用のためには使いづらい気がしたので、2枚の二次元グラフに表してみました。
これらのグラフから読み取れる重要な内容は次の2点です。
命中発生率は、上げれば上げるだけどんどん与ダメージ期待値が伸びていく。
貫通発生率は、$${{\bm p=0.3}}$$や$${{\bm p=0.4}}$$のときが最も与ダメージ期待値が高くなる。ただし、それ以上に$${\bm p}$$を上げるとかえって与ダメージ期待値は下がっていく。
個人的に衝撃的だったのは、「2.」のほうでしたΣ(・ω・ノ)ノ!
そうなる理由は、この仕様における理想的な最高火力状態というのが、「3秒に1回だけ『貫通』が出て、あとは全て『命中』が出る」という状態だからです。
上述したように、「命中」が発生するとその攻撃のダメージが普段のダメージの平均値の約1.25倍になります。そしてそれは、「貫通」発生後の3秒間の自己バフ状態、つまり「相手の防御力を20%無視する」状態(いわば「貫通状態」)で発生した場合、そこからさらに約1.2倍になります。つまり約1.25×1.2=1.5倍になります。クリティカルを除外した場合、これが最高ダメージです。
しかし、繰り返し述べてきたように、「命中と貫通が同時発生しそうになった場合、貫通だけが発生し命中は発生しない」という仕様になっているようです。なので、貫通発生率が高すぎると、貫通攻撃すなわち普段の約1.2倍のダメージばかりが出続けてしまい、上記の「貫通状態下の命中攻撃」すなわち普段の約1.5倍のダメージが全然出なくなってしまいます。
したがって理想的な最高火力状態というのは、いかに貫通攻撃を必要最低限の頻度におさえつつ命中攻撃を出し続けるか、にかかっています。それがすなわち、「3秒に1回だけ『貫通』が出て、あとは全て『命中』が出る」という状態である、というわけです。
面白いですね✨
なお、以上は相手の回避率やブロック率が低い場合の話です。現状、多くのモンスターがそれに該当し、ボスモンスターもほとんどがそうだと思います。
でも対人戦だと、相手の回避率やブロック率が高い、ということは大いにありそうですね。その場合は話が少し違ってきます。
前回の記事で計算したことがそのままここでも成り立ちます。すなわち、「回避率が高い相手にはひたすら命中を上げて臨み、ブロック率が高い相手にはひたすら貫通を上げて臨むのが良い」となります。
理由は、命中攻撃は相手の回避を無視し、貫通攻撃は相手のブロックを無視するからです。
本記事での計算に用いたExcelファイル(命中貫通の効果2.xlsx)を以下に添付します。必要に応じて参照したり利用したりしていただければと思います♪
3.まとめ
本記事は、「命中と貫通が両方発生しそうになったとき、貫通が優先されるらしい。すなわちその場合、貫通だけが発生して命中が発生しない仕様になっているらしい」という最近の観察結果を踏まえて、それが真実であった場合、命中率や貫通率を上げていったときの与ダメージ期待値はどうなるか、を計算しご紹介したものです。
その結果、「命中と貫通どちらを上げればいいの?」という問いに対して、少なくとも対モンスター戦(すなわち回避もブロックも低い相手)では次のような案が示唆されることになりました。
「貫通は30〜40%ぐらいにとどめ、あとはひたすら命中を上げるのがいい。理想的には、3秒に1回だけ貫通が発生し、あとはひたすら命中が発生し続ける、という状態になるのがよさそうである。」
です。
ただし、回避率が高い相手やブロック率が高い相手の場合には、前回の記事で述べたのと同じことが言えます。つまり、回避率が高い相手に対しては命中を、ブロック率が高い相手に対しては貫通を、ひたすら上げて臨むのがよい、ということになりそうです。
ところで・・・
本当に「貫通が命中に優先される」んでしょうか (-_-;)
いや実際に私はこの目で見たのですが、やっぱり一時的なバグとかそういうものではないか、という疑念が頭を去りきらないのです( ̄▽ ̄;)
冒頭にご紹介した、「運営からの返答メール」を見ても、やっぱり素直に読めば「命中が貫通に優先される」になりそうですし・・・。
相変わらずゲーム内では一切何の説明もないですし・・・。
何しろ運営チーム・開発チームに対する不信感がぬぐえない状態です
( ̄▽ ̄;)
また、件の新キャラも、今はレベル35になっていて、もはや「命中95%貫通95%」にはなっていないのですが、ふとステータスを見てみたら、「命中」の数値が約8000、「貫通」の基礎数値が約4000となっており、その結果「命中」の発生率が80%、「貫通」の発生率が10%という、何やらきわめて「いびつ」なステータスになっていました Σ(・ω・ノ)ノ!
装備とかをつぶさにチェックしてみても、そんな「いびつ」な状況を招来しているようなものは何も見当たりません。そして、私のアカウント内の他のキャラクターを見てみても、そんな風に「命中」と「貫通」の数値がかけ離れているなどということはありません。
そこでふと浮上してきた疑惑が・・・「もしかしてこの新キャラ、『命中』のパラメータにバグが発生してる? その結果のひとつとして、レベル1で私が観察した時、『命中』が全然機能していなかった?」という疑惑です。
まあ、分かりません(笑)
でも、少なくとも確実に言えるのは、
「もしも命中が貫通に優先されるなら、以前の記事『命中・貫通・クリティカルの計算』の計算結果を使ってよさそう。したがって『命中を優先気味にしつつ、命中も貫通もまんべんなく上げる』感じにするのがよさそう。でも、もしも逆に貫通が命中に優先されるなら、この記事の計算結果を参考にして、『貫通は30%程度までにして、あとはひたすら命中を上げる』という感じにするのがよさそう。」
ということです。
本記事がご参考になれば幸いです🌷
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