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2022年6月3日は3周年だったのだ【KOZUKA 513 shop paper vol38 2022/06(特別号)】

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サーフトリップの終着地 そこは 鴨川だった

湘南でサーフィンを始めたのだけれど、いつの頃からかどのポイントも混み始めてきて、それなら千葉へ、と年に数回九十九里へサーフトリップするようになった。
九十九里からポイントをたどって南下し、最後は鴨川・前原のサンセットを眺めながら波をつかまえる。そしてビジネスホテルに泊まり、お気に入りの店で美味しいビールを飲む。至福のサーフトリップ。
翌日は館山のポイントで海に入って帰宅の途につく。でも「もしここに住んでいて、疲れた体で運転して帰らなくていいのなら。このまま飲んでゆっくり眠れるのなら」そんなことを考えてもいた。

大山千枚田と出会った そして移住を決意

本当に偶然に「大山千枚田」を知り、行ってみることにした。
思っていたよりも断然、棚田というものは凄いものだった。こんな景色を眺めながら暮らせたら。
実際、そんな生活をしている方のことも知った。
 さっそく大山千枚田保存会について調べ、オーナー制度に参加した。鴨川市の移住支援についても調べ、ふるさと回帰支援センターにコンタクトをとり農業セミナーにも参加した。
心の中ではすっかり鴨川への移住を決意。
 鴨川の里山の風景に囲まれて、カフェとゲストハウスをする、その夢を叶えたいと思った。場所探し そして古民家と出会った
場所探しは思いのほか大変だった。空き家はちらほら見かけるが、売り物件はなかなかない。相談した地元の不動産屋さんは「まずは自分たちのイメージに合った場所や空き家を探してみたら」と言うので、鴨川市の住宅地図(高い…)を買い込み、大山千枚田を中心に1枚の大きな地図を作り上げ、とにかくあちこち歩き回った。空き家と思われる家、ここはいいなと思った空き地、使われなくなった牛舎…気になった所を地図に記していったら、20か所以上にもなった。でも、直接持ち主さんに聞いたり不動産屋さんに調べてもらったりした結果どれも×。古い牛舎は使えると思ったけど、建物的には無理だということもわかった。
そんなとき、不動産屋さんが、売りに出る古民家の情報をくれた。それがここ、金束513番地。

古民家の改築 住居の新築

ここに決めたのは、大山千枚田や大山不動尊に近いこと。長狭街道から1本旧道に入っていること。旧道と新道の間の空き地も借りられて駐車場やいろいろなことに活用できること。畑が付いていること。
でも、建物の築年数が100年を超えているらしく相当の手入れが必要。古民家部分は店舗と宿泊施設にしたかったから自分の住居は別に必要。なんだか想像以上に大事になってきて怯んだ。けど、とにかく「やりたいことをやるしかないでしょ」と腹をくくって金策し、ここから車で5分ぐらいの家に仮住まいしながら店づくりを進めた。
いろいろ想定外なことや大変なことがあったけど、2019年5月、店舗も住居も完成。6月にようやく開業。

台風 停電

開業して4カ月、房総半島を2度にわたって台風が直撃した。9月の台風では10日間の停電。まだ暑い季節。冷蔵庫や冷凍庫の食材がダメになる前に近所の方と物々交換したり、水道は止まらなかったから洗い桶で洗濯したり水浴びしたり、明るくなったら起きて暗くなったら寝る生活。10月の5日間の停電のときは寒さも増してきたけど、グランドホテルや青少年センターがお風呂を無料開放してくれたり公民館で充電させてもらったり。初めて本格的「被災者」になったけれど、なんだか不思議と温かい思い出になっている。

新型コロナ  そして3周年

台風の被害も少しずつ癒えて、ようやく日常に戻るのかなと思った2020年、新型コロナ。視野に入れていたインバウンドはおろか、国内の移動も制限されて、何が何だか…それでもなんとか今日までやってきた。気が付けばこの6月で3周年。
右の画像は、大山不動尊のいつもの盛大な祭りの代わりに地元の方々が去年開催してくれた花火大会の時のお囃子と、それを真似る地元の子供たち。何よりもこの風景がいとおしい、と思っている4年目。
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お囃子の青年団とそれを真似る子供
これが「伝統」とか「継承」ってことなのか



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