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蝉の一生についてちょっとだけ考える【KOZUKA 513 shop paper vol40 2022/08】

昨日(9月8日)は大変だった。台風13号。一日中降り続く雨。避難指示や河川の氾濫の危険を知らせる防災無線。いったん雨が止んだ隙に側溝に詰まった枯葉を除去して流れを良くしたり、生ごみを捨てに行ったり。
夕方にはいったん小康状態になって安心したのもつかの間、深夜には雷鳴が轟き稲妻が走りものすごい雨・・・
2019年の二つの台風での被害が頭をよぎり、ただただ「停電にだけはなるんじゃない」と枕元に懐中電灯を置いて祈っていた。当然眠れるわけもなく、ようやくうとうとしたのは明け方ごろ。
幸い停電もなく、大きな被害も免れたけれど、ニュースでは鴨川市が大きな被害を受けていることを全国に向けて発信している。友人・知人からは安否を問うメールやメッセージが次々に入る。返信する中で、「これは田舎の親族もさぞ心配しているだろう」と思い至り、無事の一報を入れる。
いやはや、台風も地震もとにかく自然災害は恐ろしい。

今日の夜は全く静かなもので、秋の虫がにぎやかに鳴いている。にぎやかなのに静か・・・この感覚も面白いな。

そういえば、今日は蝉の声を聞かなかったような気がする。いや、鳴いていたのかな。もしかしたら当たり前になりすぎて鳴いていてもそうと意識しなかっただけなのか。でも、聞いていないような気がする。


2022年の8月号は、蝉について。
槇原敬之の「Cicade」をちょっと拝借。

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まっくらな土の中 何年も過ごしながら
まだ見ぬ太陽の光を 蝉たちは信じてる
辛さから逃げることで自分を騙しながら生きることが幸せなら
僕らはいないはずだと
伝えたい事があるから君の住む町にきたよ
忘れないでほしいからうるさく鳴いてみせるよ
打ちつける夕立の拍手が鳴りやむころ
我先にと羽根をこすり蝉たちはうたう
(「Cicade」槇原敬之)
 
今年のアブラゼミの鳴き始めは7月の20日頃
ヒグラシはもう少し早く12日頃から
なぜだか毎年
アブラゼミの鳴き始めを金束からもう少し東に行った吉尾辺りで気付く
ほんの数キロだけれど 高度差・温度差があるのか
そんな自然の不思議はともあれ 金束にも蝉の鳴く季節はやってきた
 
蝉の一生について初めて知ったときは かなり衝撃的だった
卵から幼虫になり蛹に至るまで 7年もの間を地中で過ごす
地上に出て羽化し成虫になった蝉は 1~2週間しか生きられない
「理不尽」という言葉をそのまま具現したような そんな蝉の一生
でもそれは勝手な感傷で 蝉にとっては大きなお世話なのだろう
夏が来れば 蝉は盛大に鳴き 蝉は蝉の命を全うする
 
都会に住んでいた頃
街灯の灯りなのか人々の家々の灯りなのかビルの蓄熱なのか
夜中まで鳴き止まない蝉に閉口していた
ゆがんだ夏を生み出したのは人間なのに
ここ金束では アブラゼミやミンミンゼミは気温の上昇とともに鳴き始め
気温が下がれば鳴き止む 代わってヒグラシが涼しく鳴き始める
当たり前の自然の心地よさ
ヒグラシの声を聴きながら一日の終わりのビールをあおる 夏
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