見出し画像

直火に心も身体も癒される そんな冬を迎えようとしている12月【KOZUKA 513 shop paper vol56 2023/12】

長い都会のマンション暮らしの中で、寒い季節の暖房と言えばエアコンとタワー型の電気ストーブ、そして電気カーペットだった。併用すればかなり暖かく過ごせはするのだけれど、何しろ電気代はかかるし室内は見事に乾燥する。それは仕方のないことだ。気密性の高い現代のマンションや戸建ての室内では、直火は中毒の危険性しかないからね。

昔々、直火は当たり前だった。
自分が幼少の頃(記憶はないけれど)、炊飯は七輪だったというし(昭和30年代頃のとある地方都市の裕福ではない家庭だったからだと思う)、しょっちゅう近所で焚火をしていたし、父親の実家は囲炉裏炬燵だった。

囲炉裏炬燵というのは厄介なもので、囲炉裏の上にやぐらを置いて布団を掛けるだけだから、その中心には真っ赤に燃え盛る練炭(?)がある。ちょっと油断して足を延ばすとあっという間に靴下に穴が開く。
靴下に穴が開いても新しい物を買ってもらえる道理もないから、針と糸で穴を塞ぎどんどんつま先が窮屈になる靴下を相当長い間履かされていた。
そんな囲炉裏炬燵からも、猫は飛び出してくる。(これも記憶にないけれど)囲炉裏炬燵から出た猫が、自分が手に持ってかじっていたスルメを奪おうとしたけど、自分も必死に抵抗したそうだ。
このエピソード、二重の意味で?で、「猫は一酸化炭素中毒にならないのか」と「猫はスルメを食っても平気なのか」なのだけれど・・・

七輪のある家から独立した両親(と自分たち兄弟)は、市営のアパートに移り住んだのだ。暖房器具は「Aladdinのストーブ」だった。なんで貧乏暮らしだったはずの家でそんなものが買えたのだろう。今では垂涎の的でしかないけど、昔は安かったのだろうか。
鍵っ子だったので点火・消火の仕方は教え込まれたが、今の暖房器具に比べたら七面倒くさかった。よく小学生に扱わせたな。
そのアラジンも引っ越しする中でどこに行ったのか不明。アラジンの価値もよくわからなかった時代、便利な反射式ストーブに買い替えたんだろうな。


田舎→都会→田舎とVターンした今は、思う存分直火を楽しむことにした。
店内では灯油ストーブを赤々と燃やす。薬缶で蒸気も供給する。STAUBかルクルーゼの鍋がかけてあったら、たぶんおでんか角煮をこっそり仕込んでいるかもしれない。
落ち葉を焚く。燃やし終える頃に気づく、「芋を焼くんだった・・・」薩摩芋はもちろんだけど、けっこうじゃがいもがいける。もちろんバターと塩辛をのっけて。
七論パーティーは仲間が集うときの定番。みんな焼きたいものを持ち寄るから、海鮮から肉から何でもありだけど、締めの焼きおにぎりは自分が欠かさず用意しておく。
火鉢に火を起こし鉄瓶で湯を沸かす。その湯でコーヒーを淹れるのがこれからの楽しみ。


**********
このまま1年を終えてしまっていいのか?
でも 焦る心とは裏腹に「まだ時間はある」と構えてもいる そんな12月
 
今年はいつまでも暑かった そんな印象
と思ったら 11月の後半には 北海道や東北では
「この季節に…?」という大雪
もしかしたら日本は 猛暑・湿気の夏と極寒・乾燥の冬の
「二季」になってしまうのか?それは嫌だなぁ と本気で思う
 
ここ金束は「鴨川のチベット」とも言うらしい
いよいよ本格的な寒さが来る
移住してきてから 「直火」の威力や楽しさを存分に味わっている
古民家の改築は極寒の冬をまたいだけれど
現場で端材を燃やした一斗缶ストーブはものすごく暖かく
冬のさなかの作業で冷えた身体を温めてくれた
七輪も都会ではなかなか活用できないけれど 秋刀魚や焼肉 焼きおにぎりを堪能した
この冬はいよいよ「火鉢」がデビューする 古民家に残されていた物
「囲炉裏」もいずれは と考えもするけれど
まずは火鉢用に炭や鉄瓶を整えた
そう言えば
灯油ストーブも気密性の高いマンションや都会の住宅で使えない物の一つ
ここKOZUKA 513では普通に使っているけどね 
どれも昭和の時代にはあたりまえに家庭の暖房であり
調理器具であり照明であったもの
昔の生活に戻ることが全ていいという訳ではないけれど
スイッチ一つではなく自分の手で 火を起こすこと 米や野菜を育てること 自然の恵みを収穫すること
そんなことの豊かさを 来る年にはもっともっと味わいたいなと思うのだ
**********


ようやく購入した念願の鉄瓶

**********
火鉢に鉄瓶

古民家をリノベーションするときに囲炉裏を切っておいた
囲炉裏で炭起こして鍋をかけたり魚を焼いたり…
ただ クロス張の室内ではそういう訳にもいかないので
ちょうど古民家に残されていた火鉢に備長炭の火を起こすぐらいなら と
そうしたらやっぱり鉄瓶にちんちんと湯が沸いている情景が欲しいかと
鉄瓶を用意した
鉄瓶で沸かした湯でコーヒーを淹れたら美味しいだろうな
**********



どれも愛着があって手放すのは惜しいのだけれど
ちょっとたまり過ぎてはいるので・・・

**********
陶器を販売しています
2023年12月~2024年1月(無くなり次第終了)
この陶器は 店内のディスプレイやHP用の料理画像の撮影に使用したもの
数はそれほど多くないけれど お気に入りのほとんどは1点もの
**********

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?