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オランダのマダム ヨーコの話

2005年~2006年までの約1年間、オランダ南東部のナイメーヘンという街に滞在していました。

滞在先は、大学に紹介してもらった下宿先で、ヨーコというマダムが住む一軒家の2階の1室を借りることになりました。
ヨーコはボブが似合うおしゃれでスタイルのいい女性でした。おそらく60歳前後だったと思います。
離婚していて、独り身、子供は独立しているから部屋が余っていてそこを学生に貸していました。
私が到着したころ、2階のもう一つの部屋はパキスタン人の男の子が住んでいました。(夜に友達を連れてきて騒いでしまい、後にヨーコに追い出された)

洗濯は、したいときにヨーコに声をかけてお金を払い(1回2ユーロくらいだった)洗剤を入れてもらって洗濯機を回してもらうルールでした。
シャワーとトイレもヨーコと私たちは別々で、私たちが使用する2Fのトイレはなぜか便座がありませんでした。
今思えば自分のために買えばよかったのだけど、あまり不便とも思わずに1年間空気椅子状態で用を足していました。(若かった私は脚力にも自信あり!?)

キッチンは一つなので3人で共用、私たち2人は21時までの使用と決められていたので、学校で勉強していて遅くなる時は、大学の食堂で夕食を済ませて帰っていました。
朝や週末は料理時間が一緒になることもあり、ヨーコとおしゃべりすることもありました。
オランダ人なのにヨーコという名前だったのが不思議だったのだけど、本名なのかどうなのか、由来を本人に聞いたのかさえも覚えていません。幼い頃に南米に住んでいたそう。
ただ、おしゃべりをしても一緒に食事をすることはなく、1階のリビングはヨーコが使用する場所で、私たち下宿人は自分の分の食事ができたら各自の部屋で食べていました。

ヨーコはいつも1階のリビングにいて、時々娘さんとお出かけするくらい。でもいつも身なりをきちんとしていて、凛としていて1人だけど毎日楽しそうに過ごしていた。不思議な魅力のあるマダムだったなぁ。
フレンドリーなんだけど、ベタベタしない。慣れ慣れしさとは一線を画すスタイルに、当時まだ若かった私には少し寂しいものがありました。
オランダは、一人ひとりが自立していて、依存しあわない、でも助けてほしい時は助けるよ、そういう国でした。

当時20代前半の私は、ここでは長く暮らせないなぁと思ったものですが、
40代の今ならもっとしっくりくる気がする。機会があればまた滞在したい。

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