『銀平町シネマブルース』を観ました

こんにちは。
鴨井奨平です。

『銀平町シネマブルース』を観ました。
私は城定秀夫さんの監督作品が好きで、これまでもいくつか観てきたのですが、この作品はタイミングが合わずに劇場で観ること能わずでした。
そしてこの作品をWOWOWオンデマンドで見つけたので、「これは観なくては」と観た次第です。

城定秀夫さんといえばピンク映画のイメージが強いですが、ここ最近しきりに公開されている「非ピンク」の作品も大変素晴らしいですよね。
むしろ私は、城定秀夫さんの監督作品では『アルプススタンドのはしの方』が一番好きですし。

今回とりあげる作品、『銀平町シネマブルース』は、『アルプススタンドのはしの方』に連なる作品であると私は考えています。
どちらの作品も、「周縁の人々」を描いているからです。『アルプススタンドのはしの方』なんかは露骨に「中心の人々」をカメラに映していませんが、『銀平町シネマブルース』もそういった視座によって作られています。
そして城定秀夫さんは「周縁の人々」を描くのがとても上手いんですね。名人芸と言ってもいいと思います。
彼・彼女らが纏っている悲壮感の描き方が秀逸なんです。彼・彼女らは決して満ち足りた状況にはおらず、それを目の当たりにして観客の心は痛むのだけど、スクリーンに映る人々には一抹の明るさがある。それによって作品や観客の心が暗部に転がり落ちることなく、「楽しく」映画を観ることができる。そしてその塩梅が絶妙で、綱渡りのように「陰」と「陽」どちらにも転げ落ちそうな危うさも表現されている。
これは中々できるものではありません。100本以上の作品を監督してきた城定秀夫さんの確かな実力と、「周縁の人々」に対する「愛」がなければなし得ないと私は思います。城定秀夫さんは、日々悩みながら苦悩している「周縁の人々」のためにこういった映画を作っているのではないかと感ぜられます。ここまで「周縁の人々」に優しく寄りそってくれる映画はきわめて稀有です。
『銀平町シネマブルース』や『アルプススタンドのはしの方』を観終わった後には、「人生はひょっとしたら捨てたもんじゃないかもしれない」と思える。

私もそのような映画を作るのが目標だから、『銀平町シネマブルース』や『アルプススタンドのはしの方』は私にとって理想型のような作品です。
どちらの作品も、観終えた後に泣きました。

こんな映画、俺も撮りたいなぁ。

今回はこのへんで筆を擱きます。

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