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キャミソールって何色だっけ?ショートストーリーなのかも分かりません。

「私達、どう言う関係?これ以上にはなれないの?」
ベランダで煙を吸っていたらキャミソール姿の彼女から投げつけられた。
その問いに回答することに罪悪感を感じて何も言えなかった。
目線も合わせると苦しくさせるだけだと思い逸らした。ただ、目の前が白くなっていった。
しばらくすると彼女は僕が買って来た黒胡麻プリンを食べ始めた。 2人分食べた。
きっと今、彼女は怒っている。
馬鹿でも分かる。
空になった容器を捨てに行った隙に部屋に入り込んで、戻って来た彼女は僕の腰に手を回して背中に顔をつけてきた。
「臭いで、いつも嫌がってるやん。」
「今はいいの。」
そう言って5分くらいそのままで居た。
絨毯についたコーヒーのシミを眺めては、お互いにこの後どうなるか察していたんだ。
「初めは私も割り切った関係で、都合のいい関係で良いと思ったの。」
「うん。」
「でも、やっぱり情は出るもんだね。会う度に惹かれて、魅力を感じて、本気で好きになった。駄目なのにね。」
大人びてるはずの彼女から僕の背中に伝ったものを受け止めきれない。
何も言えないから、何も出来ないから拭えない。
「もう、終わりだね。」
白々言ってきた。
「うん。」
こう言う場面で優しい言葉をかけれない。

僕は散らばった衣類や日用品をバックに詰め込んで玄関に向かった。
彼女は何も言わずに手を出した。
「ん?」
「鍵。」
「あぁ、」
大馬鹿もんだ。彼女が手を出した時繋ぐと思った。
今までの癖が染み付いていた。

家路は少し長く坂道を上る様に感じられた。

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