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「アンパンマン」を見るたびに思い悩み続けてきたこと

20年以上、考え続けていることがあります。四半世紀弱しか生きていないひよっこが何を言っているんだと思われるかもしれませんが、実際にそのぐらいの年月ずっと抱え続けてきた疑問です。

アンパンマンの分け与える顔の破片についてです。作画によって結構ブレがありますが、彼が差し出すそれは多くの場合半球に近い形をしています。これが不思議なのです。

アンパンマンの顔は、言ってみれば巨大な球体です。その中から彼が差し出すのは、外側から片手でむしり取った分だけで、顔の体積全体の5%未満なのではないでしょうか。そうであるにもかかわらず、その欠片がお椀型をしているのって不思議じゃありませんか。

薄茶色の外皮にきちんと餡子を乗せた状態で、かつそれをお椀型にして相手に渡すには、まず外側から圧力をかけて皮を破る際にしっかりと中まで手を差し込んで餡子を拭い取り、それを綺麗な円形に切り取った外皮で上手に包み込まないといけません。そんな芸当を毎回行っているような様子はありませんし、もしそれをやっていたとしても、外皮にひだが生じてしまって綺麗なお椀型にはなりません。

むしり取った跡を見てみても、なんだか随分となだらかなので胸騒ぎがするのです。だって、彼が手に持っている欠片をあのなだらかな断面に戻したとしたら、コブができたみたいな格好になるはずじゃないですか。あの部分に、元は今彼が持っている欠片があって、巨大な球体の一部を構成していただなんて信じられません。

というようなことを、物心がつき始めた頃からずっと思っていました。もっとも物心つき始めの当時は、以上の疑問を言語化することができませんでしたが。大人に対して説明を試みたことがあるのですが、結局伝わらなくて諦めました。

でも二十歳超えて、文系とはいえ高等教育まで終えた私が当時の自分の素朴な疑問に答えられないなんて、悔しい限りです。私はあの子の疑問を代弁できるようにはなったけれども、今でもあの子と一緒に、アンパンマンの画をみては歯痒い思いを抱えています。
この無念が解消される日は、いつかやって来るのでしょうか。


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