サウロ・ヒベイロ『柔術大学』-補論-サブミッション・エスケープ

1 本稿では『柔術大学』の解説記事では触れることが出来なかった「サブミッション・エスケープ」について、補論としてまとめておこう。
 「足関節からサバイブする」の記事でも述べたが、私はサブミッションに対しては、1にタップ、2にタップ、3、4がサブミットされる手前で相手を止める、つまり悪いポジションを取られないようにする、そして、5でようやくサブミッション・エスケープだと考えている。
 だが、サブミッションのやり方を紹介したYOUTUBE動画や教則は山のようにあるのに、そこからのエスケープ法についての解説がほとんどなされていない現状を見ると、特にBJJの練習を始めたばかりで、相手のサブミッションにどう対処していいか分からず苦しんでいる方々にとって、本稿が少しでもお役に立てば幸いである。
 以下、『柔術大学』で紹介されているサブミッション・エスケープについて同書の順に即して解説し(UPしている動画は『柔術大学』で紹介されているテクニックと同じものもあるが、類似の動画で代用している場合もある)、それ以外にいくつかの代表的なサブミッション・エスケープについても紹介したい。

2-1 まず、アームバーからのエスケープである。最初に「クローズドガードからのアームバー」に対するエスケープを紹介する。
 サウロのやり方は次の動画を参照して欲しい。


 一般に「クローズドガードからのアームバー」に対しては、スタック(担ぎ)を使ったエスケープが使用される事が多い。


 このスタックを使ったエスケープについて、サウロは「スタックを使ったディフェンスも有効だが、アングル(角度)を付けてうまく体重を相手に乗せる事が出来ないとスイープされてアームバーを喰らう危険がある(から、自分のやり方の方がいい)」(同書p79)。要するにスタックで潰せなければ、下から(相手の頭に)近い方の足を掬われてスイープされ、そのままアームバーに行かれてしまうという事である。状況は少し異なるが、イメージとしては次の動画を見て頂けば理解の助けになろう。


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