HIDDEN JIU JITSU -RNC(裸締)-

1 本稿では、公開されている動画に基づいて、ヘンリー・エイキンスが「Rear Naked Choke(裸締)」について語っている話を中心に書いていきたい。
 そもそも「Rear Naked Choke(裸締)」とは何か?を知らない方のために、まずはイメージ喚起のために次の動画を見て頂こう。

 BJJのスパーリングや試合では日常的によく使われるテクニックだし、柔術未経験者の方でも「MMAの試合で見たような記憶がある」という人もいるだろう。
 ちなみに、「裸締」という名前の技は、柔道は勿論(注1)、大東流にもあるくらいだから、後ろから相手の首に自分の両手を巻き付けて「締める」というシンプルな形を考えると、有史以前から徒手格闘技術として存在していたのではないかと推察される。

注1)

 今「裸締」は「相手の首を絞める」と書いたが、相手の何処を「締める」のだろうか?「裸締」については、素人でもすぐ真似できるくらい形がシンプルな反面、実際にそれを「締め」として機能させるための理合をきちんと理解して使っている人は少ないと私は感じている。
 柔術・MMAを問わず、入会したばかりの人に「裸締」を掛けさせると、まず「締め」は入らない。むしろ、首が痛い。実際に「裸締」を「頸椎締め」だと誤解している人もかなり多い。
 「裸締」を「頸椎締め」と考えても、タップは取れるだろう。だが、相手の首に巻き付けた両手を使って力ずくで締めても、相手がタップしてくれなければこちらが疲れるだけだし、相手の頸椎を傷めてしまう可能性がある事を考えると、安全面を考えて「頸椎締め」としての「裸締」は練習では使用禁止にした方がいいかもしれない。
 「裸締」は相手の何処を「締める」のか?という問いに帰ろう。まず、この点についてのヘンリーの回答を先に挙げておく。

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