フレームディフェンス

1 「フレームディフェンス」という考え方がある。日本のBJJ村ではこの考え方はほとんど無視されているが、アメリカの柔術・グラップリングシーンではごく当たり前に取り入れられているようなので、本稿では「フレームディフェンス」について紹介しようと思う。
 私が「フレームディフェンス」という考え方を初めて知ったのは次の教則を見た時である。



 この教則の中で、シャンジ・ヒベイロは「ダイヤモンド・コンセプト」という彼独自の言葉(注1)を使って、「フレーミング」について詳しく解説している(この教則の内容については、2以下で再度触れる)。
 その後、トム・デブラスの「フレームディフェンス」に関する教則(注2)を見、ジョン・ダナハーも「フレーミング」について当たり前のように語っている事を知ると、「フレームディフェンス」という発想は柔術を稽古する上で不可欠なのではないだろうか?と思うようになった。
 この点、「フレームディフェンス」という言葉について、グレイシー(ヘンリー・エイキンス等)はそれとして用いていない所を見ると、「フレームディフェンス」という考え方はグレイシー由来のモノではなく、アメリカの柔術・グラップリングシーンの中で生まれたモノなのかもしれない(注3)。

注1)地面に仰向けになった状態で片膝を立てて(他方の足は伸ばす)身体を半身にし、脇を閉じたまま両腕を交差させるように胸の前で組む姿勢が最も強いフレームの形であり、それがダイヤモンドのように「硬く」「美しい」からだそうである。「美しい」かはさておき、確かにその姿勢は非常に硬い。
注2)

注3)本稿を書くにあたって、いくつかのサイトを確認してみたが、グレイシー系のチャンネルで「フレーミング」という言葉を用いていたのは、次の動画くらいだった。                

2 では実際に「フレームディフェンス」について見てみよう。数あるYOUTUBE動画の中で「フレームディフェンス」という考え方をもっとも分かりやすく解説してくれているのが次の動画である。

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