小手を返す

1 海外には10年以上「ブラジリアン柔術」を続けている人が大勢いると書いたが、「ブラジリアン柔術」と並行して他の武術を嗜んでいる人が多いのも日本と海外との大きな違いだと思う。
 私が古流柔術の稽古に励んでいた頃の話になるが、年に2~3回海外から各国の支部長が門下生を引き連れて出稽古に来ていた。
 彼らに話を聞くと、古流柔術以外にも「空手」や「テコンドー」を並行して稽古しているという人が何人もいたので驚いた記憶がある。
 オーストラリアの支部長をしていたある会員などは、「ブラジリアン柔術」を古流と並行して稽古して、今(と言っても何年も昔の事である)自分は茶帯を持っていると教えてくれた。古流柔術の段位は私の方が上だったから、彼は私を先輩として立ててくれたが、もし彼と「喧嘩」になったら当時の私は全く歯が立たなかったに違いない。
 BJJと他の格闘技を並行して稽古するという事は、彼らの余暇に充てられる時間を考えると(日本人と大差はないが、北欧の支部ではフレックスタイム制が普及しているおかげで、就業前と仕事帰りの1日2回稽古するのが普通だそうである。羨ましい話だ)、彼らが公式試合で勝てるだけの練習量をこなせていたとは思えない。
 むしろ、BJJとそれ以外の武術という事なる複数のコミュニティに属する事で、彼らは人生をより豊かなものにしようとしていたのではないだろうか。
 そうしたBJJと他の武術を並行して稽古するという海外の流れの中からいずれ出てくるだろうとは思っていたが、最近はBJJに他の武術で使われている技術を応用しようという動画をYOUTUBEでもちらほら見かけるようになった。

 本稿では、この動画で紹介されている「小手返」について、その理合を解説しつつ、「ブラジリアン柔術」への応用可能性について考えてみたい。

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