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【温故知新】創業者の遺した言葉を咀嚼・吸収してみる♪(5/30)

縁あってこの会社に入って、創業者が遺した多くの(多すぎるかも 🤔)言葉に触れた。私自身はそうでもないが、社員の多くの方はその言葉に心から共感していて驚いた。
折角なので、これらの言葉を私なりに&今の時代に照らすとどういう事なのかを考えてみる。それは私がずっと日系企業かついわゆる大企業と仕事をしている理由かも知れないが、日本はもともと創業者含めイノベーティブな起業家や企業が多く存在し、世界の生活を豊かにすることでさらに成長してきたのに今はそうできていないのはなぜか?もっとできるのではないか?に挑戦し続けているから。

ネタはここから。では、5つ目。

「企業は社会の公器」
一般に企業の目的は利益の追求にあると言われる。たしかに利益は健全な事業経営を行う上で欠かすことができない。しかし、それ自体が究極の目的かというと、そうではない。根本はその事業を通じて共同生活の向上をはかることであって、その根本の使命を遂行していく上で利益が大切になってくるのである。
そういう意味で、事業経営は本質的には私の事ではなく、公事であり、企業は社会の公器なのである。
だから、たとえ個人企業であろうと、私の立場で考えるのではなく、常に共同生活にプラスになるかマイナスになるかという観点からものを考え、判断しなければならないと思う。

松下幸之助 30の言葉

企業は社会の公器であるというフレーズはよく聞きますよね。それが松下幸之助由来だとは知りませんでした(笑)。前半部、ここは目的と手段を整理していますね。企業の目的は何なのか?それは「事業を通じて共同生活の向上をはかる」事であると。そして、その目的に向かう事業、すなわち手段を遂行する為に「利益」が必要である。
ここで少し引っ掛かるのが「共同生活の向上」という言葉です。創業者が「共同生活」という言葉で指している世界観は我々の理解とは少し違いそうなので、ここに参考になるサイトを貼っておきます。端的にまとめている言葉は、

人間道に基づく生活共同体としての国家像とは、「物心ともに調和のとれた文化国家」であり、『自由があること』『秩序があること』『生成発展していること』という三つの柱からなるものといえる。このことは、単に国家にのみあてはまる基準ではなく、家庭・会社・団体など、およそ共同生活と考えられるもの全てにあてはまる

松下政経塾サイト

つまり、ただ単に複数の人が空間やリソースを共有し、共同で暮らしているとかではないんですね。なので、ここは「国家」とか「社会」と言った方が今の我々にはしっくりきそうです。この「国家」や「社会」の向上が目的の場合、事業や利益が果たす役割は何だったのか?日々の暮らしに量的に多くの困難や不便、不快適があった時代、その事業はまさにものづくり事業であり、それを廉価に安全・安心な品質を持って広くお客様にお届けし続けるには、設備投資や工場投資、技術革新などへの投資が必要であり、その為には利益が必要だというのは理解しやすいですね。
一方でものが溢れている現在において、より質的な多様な価値の提供が事業として重視される中、また過去の我々の事業における生産活動が、意図せず、無意識に他者(含 地球)に過度な負担を強いてきた、つまり共同生活の向上になっていない部分があった事を直視する時代に来ています。一方で未だに色々な評価指標=人の行動や判断の元となる指標は「利益」を軸にしたものが多く存在しており、結果としてCSRやCSV、SDGsなどを声高に言わないといけない状況を作っているのではないでしょうか。言い換えると、財務的な「利益」以外の「公益」や「社会善」を測定する客観的かつ標準的な指標がない事が課題なのかも知れませんね。
「共同生活の向上」が事業の目的であり、その目的に照らしてものの判断を行い、結果としての利益なのだとしたら、株式会社の株主もそれを理解している人たちでなければならないと思うんですが、そうなってますかね?利益がもたらす配当、株価上昇がもたらすキャピタルゲインが主たるドライバーになっていて、その方達の支持を得る為の経営になっている部分が大きいかも。もちろん、単純化してお客様が喜べばもっと売れるし利益も上がるので、結局はお客様の為に価値を創り届けるってことになるのですが。ポイントはお客様を喜ばせる為に他者は悲しませていいか?って事だと思います。全員幸せになる仕組みとか仕掛けは幻想かも知れません。そんなのは現実的には存在し得ないのかも。それでもそれを常に追求する事が経営であり、企業を社会の公器たらんとする事ではないでしょうか?
私自身が深く関わった企業の創業時にもいわゆる利他的な文言が遺されていますね。利他が社会の公器たる為には重要な要素ではないかと私は思っていて、その信念で今の仕事をしています。

山葉寅楠
「自分は品物を販売するに掛引をせぬ。生産費を控除して対価を定め決して暴利を貪らぬ、而して品質には絶対的責任を負ぶるを信条として、社会の信用を博する覚悟である」

Wikipedia

豊田創業一族
母の織り仕事を少しでも楽にしたいという思いから織機を作ろうと決めたという創業逸話をはじめとして、色々な言葉がありますが、2021年の豊田章男社長の入社式でのスピーチがそれを表しているように思いますね。
「静観ではなく、行動を
 沈黙ではなく、発言を
 説得ではなく、共感を
 利己ではなく、利他を」

2021年4月入社式豊田社長あいさつ全文

豊田章男
「他の誰かの幸せの為に」

トヨタイムズ

我々は資本主義ベースの経済活動と環境や他者にケアできる社会・生活、利己と利他、個人と社会など兎角対立・トレードオフ(二律背反)な関係に捉えがちです。そういう関係性で世の中に実装されているものが多いですからね。ゲーム理論、囚人のジレンマなどは有名な話ですね。こういった長く我々がいいと思いながらも実現できなかった事、例えば「利己と利他の両立、相乗」も大きな社会的イノベーションだと思うんですよね。で、その実現の時は来た!と思ってます。

今回はちょっと熱意入りすぎました(笑)
次回は、「生産者の使命」を消化してみます♪では、また〜

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