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【温故知新】創業者の遺した言葉を咀嚼・吸収してみる♪(8/30)

縁あってこの会社に入って、創業者が遺した多くの(多すぎるかも 🤔)言葉に触れた。私自身はそうでもないが、社員の多くの方はその言葉に心から共感していて驚いた。
折角なので、これらの言葉を私なりに&今の時代に照らすとどういう事なのかを考えてみる。それは私がずっと日系企業かついわゆる大企業と仕事をしている理由かも知れないが、日本はもともと創業者含めイノベーティブな起業家や企業が多く存在し、世界の生活を豊かにすることでさらに成長してきたのに今はそうできていないのはなぜか?もっとできるのではないか?に挑戦し続けているから。

ネタはここから。では、8つ目。

「ものをつくる前に人をつくる」
私は、ずっと以前でしたか、当時の若き社員に、得意先から「松下電器は何をつくるところか」と尋ねられたならば、「松下電器は人をつくるところでございます。あわせて電気製品もつくっております。」と、こういうことを申せと言ったことがあります。
その当時、私は事業は人にあり、人をまず養成しなければならない、人間として成長しない人を持つ事業は成功するものではない、ということを感じており、ついそういう言葉が出たわけですが、そういう空気は当時の社員に浸透し、それが技術、資力、信用の貧弱さにもかかわらず、どこよりも会社を力強く進展させる大きな原動力になったと思うのです。

松下幸之助 30の言葉


これも松下幸之助の遺した言葉の中で割とよく知られたものですかね。言葉自体がかなり直接的で分かりやすいので、創業者がどういう思いや経緯でこの言葉を遺したかを知りませんでしたが、ここに書かれている事をそのまま理解すると、「咄嗟に出た言葉が思った以上に効果をあげた」みたいですね(笑)

昨今、人的資本経営の重要性などが言われていますが、経産省によると
「人的資本経営とは、人材を「資本」として捉え、その価値を最大限引き出すことで、中長期的な企業価値向上につなげる経営のあり方です」
と説明されています。
創業者がいつこの言葉を遺したかは分かりませんが、当時はおそらく人材=人的資源と見てそれを消費して生み出す事業的価値、それは技術であり、製品であり、事業であり、それらの成果に重きが置かれていたでしょう。その中でこの人を資本として考え、この言葉を遺し、またその言葉が実際に会社の成長を果たす原動力になったという経験・実績は特筆すべきものだったのではないでしょうか。

概ね事業が大きく成長し、安定期に入ると(下図S字カーブの右半分)その事業の状況を良くしようとする力が働き、人やモノ・カネを消費してその事業の成果に変える事を是とする経営に変わりがちです。いわゆるPL思考経営ですね。それも必要な時期があると思うのですが、それをあまりに長くやりすぎて、かつ新たな事業の成長(次の事業の黎明期)を得られない場合、人は消費財のようになり、さらに今の事業を存続させる事のみに注力していく。

企業成長のS字カーブ

創業者の言葉の中でポイントは、
「技術、資力、信用の貧弱さにもかかわらず、どこよりも会社を力強く進展させる大きな原動力になった」
なのかなと思いますね。
技術や資力、信用などのその事業における優位性を持てていない時こそ、それを生み出す、創り出す人に投資をし、その成長が生み出す結果に期待する。これは多分みんな分かってるけど、実際の経営や意思決定において実践するのは結構難しいのではないでしょうか?それこそ技術や資力、信用が足りない状況においては、人を消費財として使ってそれらの足りない要素を補強・補完したくなるのではないですかね。

今日は1つ私自身の経験からくるお話を紹介しようと思います。
それは人や組織のマネジメントにおける考え方みたいなもので、特に誰かに教わったものではないですが、私が大事にしている事なのですが、「ルールベースマネジメントとプリンシプルベースマネジメント」です。これってググると金融関係のガバナンスの時に使われてるみたいですけど、私はその辺は全くの無知なので別物と思ってください(笑)。ただ、考え方は近くて、
ルールベース:
人々の行動や判断、組織としての行動や判断をルールで規定する。結果として、人の解釈に依存する曖昧性を低減できて、徹底しやすい。一方でルールの更新を忘れると現実と乖離して、副作用や悪影響を及ぼす。
プリンシプルベース:
仮にルールが存在していたとしても、なぜそのルールが必要になったか?といった背景や根拠、文脈みたいなものを源として共有し、ルールよりもプリンシプルを軸として人々の行動や判断、組織としての行動や判断が行われる。
って感じです。私は過去に産業用ロボットの事業部でソリューションソフトウェア開発Teamのマネジメントをしていた時は完全にルールベースマネジメントでしたが、新事業開発、多国籍チームマネジメント、スタートアップ投資などにシフトしてからは完全にプリンシプルベースマネジメントに変わりました。前者は言ってみれば「高精細の三次元地図で、リアルタイムの交通・事故情報がある状態」なので、目的地をしっかりと定め、計画通りの時間・コストでそこに到達する事が最重要であるとして、ルールを細かく決めて、計画から逸脱しないようなマネジメントをします。極端な話、その為には人が消耗・消費してもいいと。後者は「地図がない状態」なので、まずは慎重かつ大胆に探索して自らの地図を作るところから始めます。その際に細かくルールを設定する事は難しいです。何があるか分からないのにルールを決めるという事になるからです。そこでプリンシプルベースのマネジメントになります。まだわからない事が多く、また変化も大きいと思われる状況下では何を大事にするべきか?といったものを共有し、各状況における判断は人に任せるという形ですね。この場合、価値を生むかどうかはまさにその人のプリンシプルの理解度、およびその人が持つ判断能力(経験・知見・知性など)によって結果は大きく変わります。
もう1つ大きく違ったなと振り返って思うのが、「人の成長速度」です。前者に比べて後者の方が圧倒的に速いです。当然と言えば当然かも知れませんが、後者では人は常に自ら状況を理解し、考え、判断する(責任を持つ)事になるからです。

多くの企業が人的資本経営にシフトしているのは、現業・現事業群が成熟・衰退期に入り、これまでの地図は使えなくなり、新たな地図創造へ舵を切っているからでしょうね。創業者はまだ事業が成長期にあるのにこの言葉を遺すような境地に立ったのだとすると、それはやはり凄い事なんでしょうね。

次回は「ガラス張り経営」を消化してみます。では、また〜♪

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