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【温故知新】創業者の遺した言葉を咀嚼・吸収してみる♪(6/30)

縁あってこの会社に入って、創業者が遺した多くの(多すぎるかも 🤔)言葉に触れた。私自身はそうでもないが、社員の多くの方はその言葉に心から共感していて驚いた。
折角なので、これらの言葉を私なりに&今の時代に照らすとどういう事なのかを考えてみる。それは私がずっと日系企業かついわゆる大企業と仕事をしている理由かも知れないが、日本はもともと創業者含めイノベーティブな起業家や企業が多く存在し、世界の生活を豊かにすることでさらに成長してきたのに今はそうできていないのはなぜか?もっとできるのではないか?に挑戦し続けているから。

ネタはここから。では、6つ目。

「生産者の使命」
加工された水道の水は価値がある。今日、価値あるものを盗めばとがめられるのが常識だが、通行人が門口の水道の栓をひねって存分に飲んだとしても、とがめられたという話はきかない。直接、生命を維持する貴重な価値ある水でさえ、その量があまりに豊富であるがゆえに許されるということは、われわれに何を教えるか。
それは、すなわち生産者の使命は貴重なる生活物資を、水道の水の如く無尽蔵たらしめることである。いかに貴重なるものでも、量を多くして無代に等しい価格をもって提供することにある。
われわれの経営の真の使命は、まさにここにあると思うのである。

松下幸之助 30の言葉

これはいわゆる「水道哲学」ですね。
きれいで安全な水は我々が生きていく上で絶対必需のものであるが、近代的国家に住む人にとっては特に普段意識して確保しなければならないようなものではなく、常にそこにあり普段は特段の価値を感じないくらい“当たり前”になっている。生産者たるもの、その生産物に価値があり、多くの人の生活に貢献したいと思うなら、皆の“当たり前”になるのが使命である。
という感じでしょうか。

↑のように書くと「それはそうだ。」と思われる方も多いと思いますが、これって言い換えると「経営の真の使命は、その生産物を“コモディティ化”することである」とも言えますね。その価値を提供する生産物が色々な事業者によって提供可能になり、市場における競争がコスト(お客様が支払う対価)になる。これがさらにコストを押し下げ、一般化・普及するが事業としては厳しい環境になる。事業者としては、このコモディティ化を避ける為に色々な方策を打っているのが現状ではないでしょうか?いわゆる差別化戦略ですね。

モノの事業においては、
量的に普及する事で廉価にし、より行き渡り、多くの人の生活の当たり前になり、結果としてコモディティ化し、事業としては量に対する利益は低下するので、差別化戦略を常に試行する事で競争が継続する
という感じですね。

この“水道”に近い生活の必需品事例が近代では“インターネット”ですね。これをデータの通信インフラと考えた場合、今の単位データ量あたりの通信コストってそれこそもうほぼゼロなんじゃないですかね?もちろん月額で一定の額を支払っていたり、その通信料を他の事業者が広告や送客などの為に負担していたりと、実際にはそこに対価の支払いはあるのですが、通信のキャパシティがそれこそ“水道の水の如く無尽蔵”に感じられるほど大量になったので「xx放題」というサービスが生まれ、ユーザーとしてはデータ通信を行なうたびに支払いが発生しているという意識は持たなくなります。
では、インターネット産業はコモディティ化したんでしょうか?これは見方によるのかも知れませんが、私は
「狭義のインターネット産業はコモディティ化したが、それにより複数の新たな産業が生まれ、成長を続けているので、広義のインターネット産業はまだコモディティ化していない」
と思います。特に水道の水と異なるのが、水は物理空間に閉じた価値の循環であるのに対して、インターネットは物理空間とデジタル空間を跨いで価値を循環しうるという事ではないでしょうか?デジタル空間に提供された無尽蔵の容量、限界まで下がった通信コストがデータを情報に、情報を知識や知性、知能に変え、多くの価値を生んでいます。これらの価値の物理空間への効果的実装およびその普及はまだまだであり、多くの成長余地がありますね。

1つ1つの事業に関してはやはり水道哲学で言われる通り、生産者の真の使命は、
「多くの人がコストを意識せず生産物を入手・使用可能にする事で多くの人の生活の当たり前になる事」
だと思います。その新たに当たり前になった生産物がもたらす変化や機会をとらえて次の当たり前を創る事、これも水道哲学ではないでしょうか?そういう意味でデジタル(サイバー)から物理(フィジカル)への価値の実装・普及には大きな可能性を感じています。

参考)水道とインターネットの普及率

インターネット普及率
安全な飲料水へのアクセス率

次回は「自主責任経営」を消化してみます。では、また〜♪

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