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【温故知新】創業者の遺した言葉を咀嚼・吸収してみる♪(4/30)

縁あってこの会社に入って、創業者が遺した多くの(多すぎるかも 🤔)言葉に触れた。私自身はそうでもないが、社員の多くの方はその言葉に心から共感していて驚いた。
折角なので、これらの言葉を私なりに&今の時代に照らすとどういう事なのかを考えてみる。それは私がずっと日系企業かついわゆる大企業と仕事をしている理由かも知れないが、日本はもともと創業者含めイノベーティブな起業家や企業が多く存在し、世界の生活を豊かにすることでさらに成長してきたのに今はそうできていないのはなぜか?もっとできるのではないか?に挑戦し続けているから。

ネタはここから。では、4つ目。

事業は人なり
“事業は人なり“といわれるが、それはまったくそのとおりである。どんな経営でも適切な人を得てはじめて発展していくものである。
いかに立派な歴史、伝統をもつ企業でも、その伝統を正しく受け継いでいく人を得なければ、だんだんに衰微していってしまう。経営の組織とか手法とかももちろん大切であるが、それを生かすのはやはり人である。どんなに完備した組織をつくり、新しい手法を導入してみても、それを生かす人を得なければ、成果もあがらず、したがって企業の使命も果たしていくことができない。
企業が社会に貢献しつつ、みずからも隆々と発展していけるかどうかは、一にかかって人にあるとも言える。

松下幸之助 30の言葉

これはどストレートというか、多くの人が大きく首肯する言葉でしょうね。
日本企業は欧米企業に比較して様々な変化・機会に触れて自らを変革するスピードが遅く、その事を揶揄される事が多い印象ですが、この“人”中心の経営は多くの日本企業が持っていた矜持ではないでしょうか?家族的(メンバーシップ型)経営、社員教育、終身雇用など。これらはセットで効果を発揮していたと思うんですよね。会社の理念やミッションに対する忠誠心が家族のように強い結束を促し、家族の能力上昇のために教育へ投資する事で会社の成長にも寄与する。フライホイールですね。

一方で欧米企業は、事業をシステム・アーキテクチャとして合理的に整理して、そのシステム・アーキテクチャが設計通りに動いて成果を出すための作業員としての人という考え方を取り入れてきたように思います。なので、システム・アーキテクチャにより要件が決まるJD(職務定義書)に記載のスキルや経験を持つ人を採用できれば全体に与える影響は軽微です。これが人材の流動性を生みます。会社や事業が構造的に属人的でないので、人もより自分にとって意義ある機会獲得のハードルが下がります。「私が辞めたら会社が困る(私はそれは幻想だと思いますけどw)ので、辞められないんだよねー」って人がいる(いた)のが日本ですね。人材の流動性が高い事を特長として、企業活動や経営の近代化を進めたのが欧米企業、特にハイテク企業かなと思います。結果として、多様な経験を持つ人が非常に大きな人的ネットワークを構築する事になり、変化の速い、不確実な価値の創造に好適なコミュニティ・エコシステム形成に成功したのではないでしょうか?

翻って日本企業ですが、事業が成熟し自社既存事業の衰退・競争激化による事業収益の悪化などにより伝家の宝刀であった人中心経営フライホイールの効果が鈍化しました。欧米企業は新しい価値の創造、特に日本企業にとっては脅威でしかない変化の速い(でも不確実な)機会の獲得・活用を通じて、成長を遂げます。それに倣えとばかり、欧米企業のやり方を取り入れ始めました。成果報酬制、終身雇用の廃止、ジョブ型採用などなど。セットであった日本型人材経営の一部を変えた事で臨んだ効果の獲得どころか、至る所に皺寄せ、不協和が起きたケースも多いのではないでしょうか?人はそんなに簡単に変われないですよね。

これからの経営において、「事業は人なり」はさらに重要になると思いますね。日本のメンバーシップ型経営も欧米のジョブ型もどっちがいいとかではなく、事業の型によって使い分ける必要があると思います。キーとなるドライバーは、1つは価値の実装がサイバーからフィジカルへ、もう1つはAIの進化に伴う人の役割の変化です。
過去10〜20年多くのイノベーションや新たな価値の創造がサイバー空間を中心に生まれました。人々の日々の行動や思考の選択にこれほどSNS上の情報が影響する世界を誰が想像できたでしょう?良くも悪くも我々は日々の生活における様々な判断をSNSおよびインターネット上の情報に触れながら実施しています。が、一方でその情報の真贋の判断は人依存です。情報が溢れる時代、その情報をどう使うか、解釈するか?その結果としての行動がフィジカル空間で起きる。AIの進化は解を求める事、その能力をコモディティ化します。一方で解くべき問いを立てる事の重要性は増し、それが成熟していくことで我々は自らの人生により多くの選択肢を得られるようになるはずです。一方でそれらは道具なので、使い方によっては残念な結果を生み出す事もあります。
なので、これまでに以上に人に投資し、非常に強力な道具をどう使うか?の判断能力を高める必要がありますね。Human ResourceからHuman Capitalへ。

次は「企業は社会の公器」を消化します。では、また〜♪


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