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不透明に白い紙の中 
不器用に海を浮かべてみた
拙いまま揺蕩う船を見て
僕も迷った気になって

透明に透かす綿紗の上
着飾らないあなたを思い浮かべた
それでもあなたは充分に綺麗なまま
それ以上に僕は汚いまま

僕が描いたものは全て僕のはずで
それでも全て曖昧なままで
歌にも言葉にも出来ない癖して
思いとは裏腹に着飾ってしまうのだ

インクで滲む夜を唄うように
綺麗なあなたは不透明なまま
こんな覚束なくて頼りない僕も
いつかあなたの為になれたなら


不透明に白い紙の上
ただ広いだけの空を描いてみた
行先も分からず迷う白い鳥を見て
僕も何が本当か解らなくなって

インクで濁る心の中
あなたのことは描けぬまま
描こうとすれば輪郭が滲んでいって
僕は不甲斐なくなって

時間が経つほど大袈裟になって
どうしても近寄るほどに見えなくなっていって
それでもあなたとなら触れ合っていたいのだ

インクで濁る街を思う程に
徐々に視界は消えては掛かっていく
こんなに寂しくて冷たい夜も
あなたのそばに居れたらな


ありのままじゃ生きられないとしても
あなたが居るのなら

僕の声も 歪な形も
インクに溶けて黒を濁す
あなたの声も 柔らかい輪郭も
インクに溶けてあなたを汚す

触れ合っていても 離れていても
何者にもならない淡い黒の中
僕は何も言えないまま


【独白】
不甲斐ない絵描きの歌です。

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