一歩間違えると死ぬような
この夏、3回登山に行った。
登山のたびに、僕は、面白そうな岩に登って、立ったり座ったり、片足になったりする。
純粋に楽しいというのもあるが、今まさに死ぬかもしれないという切迫感、死に直面している緊張感がおもしろい。
普段の喧騒から外れて、自然の中で癒やされると同時に、自然の中では簡単に死ぬのだという命の儚さを感じる。
その感覚が最も研ぎ澄まされるのが、岩に立ったときである。足を滑らせれば落っこちて、必ず死ぬ。
突風が吹けば、同じく命はない。
そんな生と死の境に立つことが、うまく言葉にはできないが、人生を丁寧に生きようと心から思えるようになる手がかりではないか。
頭でっかちではなく、体で直に生死を感じる。
それは、自然と向き合うことで得られるのではないだろうか。