ブンデス開幕節 ドルトムントについて語る
お疲れ様です。
普段はセレッソに関するnoteを書いているのですが、最近全く書けていません、、、
代わりと言っては何ですが、開幕戦を迎えたドルトムントについて書いていきたいと思います。
移籍市場の動き
軽く、夏の移籍市場の振り返り。
今夏、最も大きな動きだったのはベリンガムの移籍。さらにラファエル・ゲレイロがバイエルンへフリー移籍。
ここの穴埋めが今市場における課題だったことは明白。
結果、ベリンガムが抜けた中盤にはフェリックス・ヌメチャ(←ヴォルフスブルク)、マルセル・ザビッツァー(←バイエルン)を獲得し、ひとまず穴埋めには成功したイメージ。
もちろんベリンガムほどのスーパーな選手の穴埋めは簡単ではないけど、ヌメチャとザビッツァーを獲得出来たのであれば一旦は文句のつけようはないと思う。
左SBにはボルシアMGからラミ・ベンゼバイニを獲得。こちらも、ゲレイロとはタイプこそ違うものの実力者の確保に成功したとは思う。
まだまだ右SBやストライカーの層(アレは今季アフリカネイションズカップを控える)など不安要素はあるものの、メガクラブのようにあれもこれも…という補強は出来ないので、とりあえずはまずまずの結果といったところか。
開幕戦を振り返る
ここからは開幕戦となったケルンとの試合を振り返る。
スタメンはご覧の通り。
基本的には昨季からの継続路線で、退団した選手のところに新加入選手がそのまま入る形の4231。昨季終盤はアンカーを置いた433も用いていたが、新シーズン開幕戦は4231で挑んできた。(後半から433へ移行したが)
プレシーズンマッチを何試合か見てもそうだったし、この試合の印象も全く同じなんだけど、基本的には「良くも悪くも昨季と変わってない」というのが今季のドルトムントの第一印象。
基本的にはボールを保持するドルトムント、引いて守ってカウンター狙いというケルンという構図。そして保持するもチャンスを作れないドルトムント、コンパクトなブロックから効果的なカウンターを繰り出し決定機を作るケルン、という展開。
ケルンのコンパクトな442ブロックに苦戦し、どうしてもボールが外回りになり、全く効果的な攻撃が繰り出せなかったドルトムント。
あれだけコンパクトなブロックだと崩すのはそう簡単ではないが、それにしてもドルトムントの前線に全く動きがなかったし、縦パスも入らない、テンポも上がらない、ブロックを揺さぶることも出来ない、要は何も出来ない苦しい展開だった。
ケルンの2トップはCBを放置しボランチを消すところからスタート。残る4-4のブロックは非常に近い距離感で、ドルトムントの前線に時間もスペースも与えない。
結果、ボールは高い位置を取るSBを経由することしか出来ず、ここで圧縮されボールを失う。
ドルトムントはSBが高い位置を取り、ボランチも積極的に前へと出て行くので、失った瞬間は背後がガラ空き。危険な形でカウンターを浴びてしまう。
ちなみにこれは決して目新しいことではなく、昨季からずっと抱えていた課題。
つまりテルジッチとしてはこれを問題と考えていない(要はリスクを持って高い位置を取ることを良しとする)か、問題だとは分かっているけど解決策がいまだに見出せていないかのどちらか。
個人的にはおそらく前者ではないかと考えている。
次にドルトムントの非保持、ケルンの保持から見ていく。
試合展開的には、ボールを持つけど攻めきれない…という流れだったのでボール保持面に問題があるという見方が多いかもしれないけど、個人的には問題点は守備にも大いにあると思っている。
これはテルジッチ就任後ずっとそうだが、守備面の決まりごとがとにかく曖昧。
まず最前線のプレスが甘く、CBに圧力をかけるわけでもなく、ボランチを背中で消すわけでもなく、相手の攻撃方向を限定するわけでもなく、ただそこに立っているだけ。
となると相手のボランチが空いてしまうので、ジャンとザビッツァーがそこに出て行く。
しかし、最終ラインがそれに連動せずラインを押し上げられない。となるとライン間を使われる。前半からケルンのカインツやゼルケにボールが入る場面が多く、ドルトムントの守備面の不安が露呈していた。
ちなみに前からプレスに出ることも何度かあったが、その場合に関しても強度はあまりないし制限も掛けられず、上手く交わされてピンチを招く結果になっていた。
で、個人的には前から行くのも後ろで構えるのもどちらでもいいとは思ってるんだが、どちらを取るにせよしっかりと徹底しなくちゃいけないとは思う。
例えば前から追うなら、相手の攻撃方向をどちらに限定するか、誰には持たせて誰には持たせない、どこで奪うのか、そういったことをもっと徹底しないといけない。ドルトムントの非保持時の振る舞いからは、そういったことを全く感じない。一番やってはいけないのは、何となく前から追うこと。
後ろから守る場合でも同じで、どの高さからプレッシャーを掛けるのか、どこへ攻撃を誘導するか(最も多いのはサイドへ誘導するパターン)、そしてしっかりとブロックをコンパクトに保ち、ブロックの中を使われないことなど、徹底すべきことは山ほどある。これも、一番やってはいけないのは何となくそこに立つだけっていう守備。
ケルンの守備はすごく明確で、先ほども書いたようにドルトムントのCBは放置。2トップはボランチを消す位置に立つ。2トップがボランチを消してくれているから、4-4ブロックはドルトムントの前線を圧迫することに専念できる。
だからドルトムントとしては縦パスを差し込めないし、差し込んだとしても時間もスペースもないのですぐに奪われる。なのでブロックの外側で高い位置を取るSBを使わざるを得ない。となるとケルンはそこで同サイド圧縮を掛けて奪い切るか、奪えなくても下げさせればOK。ドルトムントがCBを経由して逆サイドへ運んだとしても、そのサイドでまた同じことをするだけ。
シンプルだがチーム全体で徹底できていた。
ドルトムントはまず2トップの守備が曖昧なので、ケルンのCBにプレッシャーは掛からないがボランチもフリー。だからジャンとザビッツァーがボランチを見ざるを得ない。だが、ここで前へ出たジャンとザビッツァーに最終ラインはついてこれない。結果、ライン間が広く相手の攻撃に全く制限が掛からないし、何度も危険な攻撃を受けてしまう。
昨季終盤はこの問題に対処すべくアンカーにジャンを起用する433を採用していたが、それは配置で問題を隠しただけで根本的な解決にはなっていなかった。
それが早速、開幕戦で露呈してしまっただけのことだ。
この試合でも、後半開始からジャンがアンカー、ロイスとザビッツァーが同じ高さに並ぶ433へと移行した。どちらかといえば、433の方が前線に動きが出せて、相手ブロックを揺さぶれる可能性はあったとは思う。
ただそれも個人のアイデアやアドリブによるものでしかないので再現性はないし、確実性もない。
だから陣形だけで解決できるものではないと思う。
というわけで試合の流れとしては、やりたいことができていたのはケルン。ドルトムントは全く何もできない展開だった。コーベルの神セーブやフンメルス・ズーレが最後の最後で体を張ることで何とか踏みとどまってはいたが、どこからどう見てもドルトムントの負け試合、引き分けならラッキーだと、申し訳ないが試合中からそう考えてしまった。
だがサッカーとは不思議なもので、それでもこの試合に勝ったのはドルトムント。
前半30分、ブラントが蹴る右CKからニアでロイスがすらしてフンメルスが飛び込んだ場面。得点にこそ至らなかったが、CKにおいて何かを準備してる様子は感じられる場面だった。
この伏線が、後半43分に回収される。
またしてもブラントが蹴る右CKから、今度はヌメチャがニアで触ってファーサイドでマーレン。
シュートはミートしなかったが、ミートしなかったことが幸いして絶妙なコースに飛んだことが幸いした。土壇場で先制点が決まる。
シュートはミートしなかったものの、そこに至るまでの形は完璧。そして、こういう場面があったのはこの試合2度目。おそらくだがこれは準備していたものなんだと思う。
苦しい展開の最後の最後で、セットプレーがハマり先制に成功。
その後、やむを得ず前に出てくるケルンに応戦する形でドルトムントも行ったり来たりの展開に乗っかり、一気に試合は動き始めたが、そもそも先制したあとに行ったり来たりのオープンな展開に乗っかる必要性は全くなかったとは思う。
だが、やはりドルトムントの攻撃陣はスペースがあった方が怖い。今後、もし可能なら、出来るだけオープンで無秩序な試合に持ち込んだ方が得点は奪えるんじゃないかと感じさせられた。
もちろん、そうすると失点も増えるだろうけど、元々失点は多いのだからそこを気にしている場合ではないかもしれない。
最後に
試合としてはかなり苦しいもので、正直ポジティブな要素を見つける方が難しい試合だった。
開幕戦は勝つことが大事…だと言われることが多いが、個人的には開幕してすぐの時期こそ結果より内容。やりたいことが出来ているか否か。そこが重要だと思う。この試合に関しては、やりたいことは全く出来ていなかった。だからこそ問題。
ただ難しいのが、テルジッチにこれ以上の上積みは期待できないところ。だからひとまずは結果を残せたことを喜ぶべきなのかもしれない。
伸び代があるとすれば、昨季のように選手個人が状態を上げていくこと。
このチームの強みは選手個々の爆発力。
一人一人が状態を上げて、新加入選手はしっかりと馴染んで、より自分の強みを試合の中で発揮できる回数を増やすこと。
それを続けるしかない。
多難な船出にはなったけど、出来ることを考えるとすれば、選手個々の爆発力に期待していくことだと思う。
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