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リーグ戦再開に向けて

セレサポの皆さん、お疲れ様です。

リーグ戦で3連敗を喫したまま長期中断期間に入ってしまいました。

しかし逆に考えるとセレッソはこの3週間を無敗で乗り切ったとも言えます。

そして、無敗を3週間維持した状態でリーグ戦再開を迎える、しかもシーズン最終盤の重要局面を迎えるってことで、少し展望のようなものを書きたいと思います。

3連勝からの3連敗

横浜FC、川崎フロンターレ、そして名古屋グランパスを相手に3連勝を飾り、いよいよ優勝争いに参加するまであと一歩と迫ったのが第26節終了時点の9/2。

その後、2週間の中断を経て迎えた第27節鹿島アントラーズ戦では、ビルドアップのミスを突かれて先制を許すと、その後退場者を出し10人となった相手を攻略できず0-1の敗戦。

第28節の首位ヴィッセル神戸戦では、点差以上に厳しさを感じてしまう内容で0-1の敗戦。
続く第29節、最下位に沈む湘南ベルマーレを相手にした一戦でも無得点に終わり0-2の敗戦。

3連敗、それもすべて無得点という、今季最も深い谷底に叩き落されたような3試合だった。

この3試合を個別に振り替えると、負けた理由や無得点に終わった理由はそれぞれあると思う。

でも、何か共通したものを見出せと言われたら、やはりビルドアップ面の課題ではないか。

セレッソは今季、ずっと思うようなビルドアップができすに苦労していて、シーズンの途中からは最終ラインからのビルドアップを試みる回数を減らし、早めに前線のレオセアラに蹴っていくという戦法を取っていた。

これは個人的な意見だけど、サッカーに正解はないと思うので、確かに今の流行りなのはビルドアップやらポジショナルプレーやらではあるが絶対的な正解ではないし、出来ないなら他の方法を模索するのは全然おかしくないと思っている。

ただ一方で、立ち位置で優位性を作れたり、最終ラインから再現性高くボールを運べた方が試合を有利に運びやすくなる、というのも事実といえば事実なので(出来るか出来ないかで言えば、そりゃ出来るほうがいいだろうという話)、小菊監督としても「出来ないなら他の方法を探る、でもやっぱり出来たほうがいい」という、非常に難しい状況だったのではないかと推測する。

先述のグランパス戦後、リーグ戦の中断期間にTMを行ったセレッソだったが、そこではまた最終ラインからのビルドアップに再チャレンジしている様子が伝わってきた。

しかし、再開初戦となったアントラーズ戦では、そのビルドアップのミスから失点を喫してしまう。

ヴィッセル戦でも、相手の前プレに苦戦してしまいなかなかボールは運べなかった。レオセアラも相手CBにほぼ完封される格好となってしまい、0-1というスコア以上に厳しい試合内容。ほとんど良い形の攻撃を見せることは出来なかった。

ということを受けてか、ベルマーレ戦ではジンヒョン・奥埜の両ベテランが負傷から復帰後初スタメンを飾る。各所でも言われていたように、やはりビルドアップ面を改善すべくこの二人を起用するに至ったのだと思う。

奥埜はまだコンディション的に仕上がり途上なのかなと感じたが、ジンヒョンに関してはさすがの技術でビルドアップに貢献してくれる場面が多々あった。だが、それもあくまで個人の技術でその場面を打破してくれていた、というような感じで、決してビルドアップにおいて何か根本的に改善されたものがあるわけではないように思う。

具体的に何が出来ていないのかというと、相手の前線に背中でボランチを消されたときに一気にボールが運べなくなる。今のセレッソは如何にボランチの位置に入る香川真司にボールを送り届けるか、そして真司の展開力によって状況を打破してもらうかっていうところに比重を置いているので、相手としてはボランチを監視してCBやGKにはボールを持たせてくる。
持たせたうえで、背中でボランチを消しながらプレスに来られると、セレッソは苦しくなる。

ベルマーレ戦のジンヒョン起用は、こういった場合に一旦GKに下げて、ジンヒョンのフィード力によって相手のプレッシャーを掻い潜ろうという狙いがあったかもしれない。(これはハンビンには難しくてもジンヒョンには出来ることで、要はどちらを選ぶかという中で今回はジンヒョンが出来ることに頼る決断をしただけの事であって、決してどちらが良いか悪いかという話ではないだろう。)

小菊監督はベルマーレ戦の直前のインタビューで「新たな競争が始まっている」と言っていたので、おそらくだが怪我人が返ってきたこと含めて今のチームの課題を解決するために必要な選手はだれか・・・という
観点から、スタメン構成を見直していたのかもしれない。

で、昨年からよく言われている「大事なところで勝てない」というのは、個人的には違うかなと思っている。
twitter(X)でも書いたけど、フロンターレ戦やグランパス戦に勝たなければ、アントラーズ戦やヴィッセル戦が優勝争い参戦へ向けての重要な試合ですらなかったわけで、そう考えたらフロンターレ戦やグランパス戦だって「ここで負けたら本当に終わる」というくらい大事な試合だったはずだ。

それに、たとえば前半戦のヴィッセル戦などは当時そのタイミングでは大事な試合という位置づけだったし、そこで勝つことも出来ている。

なので個人的には「大事な試合を迎えて、緊張からか普段の試合が出来ないまま敗れた」という感覚はない。単に、たまたまこのタイミングで相手に上回られた試合が3つ続いただけだと思っている。

繰り返したくない失速

とはいっても、この時期に失速するのは2年続けての事なので、そこは現チームの課題であることは事実だと思う。

というよりも、同じことを繰り返しているのは「秋の失速」だけではない。

まずは開幕期。ここはなかなかチームとしての戦い方が定まらず試行錯誤の時期となる。これがだいたい10試合前後は続く。
10試合目を過ぎたあたりで最適解というか、その時のベストと思われるものが見つかり、15試合目くらいでそれが完成する。

このあたりの、10試合目から25試合目くらいの約15試合が、最も勢いに乗る時期。つまり夏場だ。セレッソはここ2年とも夏場までは調子がいい。

これは昨季も今期も全く同じだ。そこに至るまでの試合数に違いはあっても、たどる過程としては同じ。

しかし昨年は残り10試合を切ったくらいで、息切れのようになってしまい、今年も残り10試合を切ったタイミングで今季最悪の3連敗を喫してしまった。
この先、昨季のようにしりすぼみのような形で失速したままシーズンを終えるのは避けたい。

ここで、1年のリーグ戦34試合を開幕してから初めの10試合、最後の10試合、それ以外の真ん中の14試合で分けて考えてみる。(単に最初と最後を10試合、真ん中をその20試合以外の14試合で区切っただけで、特に意味はない)ざっくりと序盤・中盤・終盤という感じ。

2022年
最初の10試合  3勝4分3敗 勝ち点13 1試合あたりの平均勝ち点1.3
真ん中の14試合 8勝4分2敗 勝ち点28 1試合あたりの平均勝ち点2
最後の10試合  2勝4分4敗 勝ち点10 1試合あたりの平均勝ち点1

2023年(29試合終了時点)
最初の10試合  4勝2分4敗 勝ち点14 1試合あたりの平均勝ち点1.4
真ん中の14試合 8勝1分5敗 勝ち点25 1試合あたりの平均勝ち点1.78
最後の5試合    2勝3敗    勝ち点6   1試合あたりの平均勝ち点1.2

こうしてみてみると、やはりイメージ通りか。
序盤は苦しみながらも五分五分で乗り切り、10試合を過ぎたあたりからエンジンが掛かる。しかし終盤になると失速してしまう。

昨季なら、11節で毎熊が初スタメンを飾った。鳥海がスタメンに定着したのは14節以降。その14節から16節まで3連勝。
この辺の時期で、シーズン始まって3試合目から導入していた保持時433システムが成熟し、勝ち点を積み重ねていく。(ちなみに昨季は開幕戦は442、2戦目は4231だった)
途中、18節で清武が負傷離脱してしまい433システムの継続が難しくなると、すぐさま442によるハイプレス戦術へと舵を切り、19節から6試合負けなし。
戦い方は変わったが勢いは継続するという、ちょっと不思議な感じだったがチームが好調は続いた。

今季は昨季に比べると全体的に少し遅れて、同じような時期がやってきた。
クルークスがスタメンに定着したのが13節。同じく毎熊がSBに定着したのも13節。この13節から、433を断念し442へと移行した。そして、13節から3連勝。
カピシャーバは16節から、喜田と舩木は17節からスタメンに定着。この17節ではヴィッセルを撃破した。
今、我々がパッと頭に思い浮かべるセレッソのベストメンバーは、おそらくこの17節以降のメンバーをベースにしたものだと思う。

しかし、昨季も今季も一度見つかった「コレだ!」という戦い方で作った勢いが、どうしても最後の最後で途切れてしまうのは、このチームの悪い癖なのかもしれない。
原因はいろいろあるとは思うが、少し戦い方を固めすぎかなという感じはある。ガッチリ固める分、上手くいかないときや対策されたときに、次の一手がない。選手の入れ替えもしにくくなる。その11人用の戦術を決めてしまっているからだ。
かといって、シーズンも終盤に入って、今更チームを作り替えるわけにもいかない。だから、とりあえず突っ走るしかない。

って書くとすごく悪い言い方になってしまうけど、でも序盤の波に乗り切れない時期を五分五分で乗り切っている点などは素直に凄いとも思う。悪いととことん沈むチームを、いくつも見てきたから。
だから一概に良い悪いの判断は、僕には出来ない。

ただ、もう一つ上に行くなら・・・という視点で考えたとき、終盤の失速は繰り返してはいけないだろう。個人的な意見だけど、むしろ開幕期の試行錯誤期はあってもあまり気にはしていない。最初から最後まで好調なチームなんて、世界中探しても存在しないだろうし。

個人昇格の難しさ

今季のセレッソはシーズン中に主力が抜け、その穴埋めを下位カテゴリーからの補強で試みた。
ここではJ2からの補強となった柴山昌也と、渡邉りょうについて少し。

大前提の話、個人昇格というのはすごく難しいと思う。
新たなカテゴリーに順応するのは時間の掛かることだし、それがシーズン中となればなおさらだろう。

今や日本代表に定着しつつある毎熊も、(怪我等あったとはいえ)先述の通りセレッソへ移籍後のリーグ戦の初スタメンは第11節だった。
今や欠かせない鳥海だって最初の一年は公式戦立った8試合にしか出ていない。為田だって4試合だけだ。鈴木徳真も最初の半年は出場機会を掴めなかった。カテゴリーアップというのはそれほどまでに大変なことなんだと想像がつく。

開幕戦から無双状態だった坂元達裕が、別次元なだけかもしれない。

だから柴山や渡邊も、時間が掛かって当然だと思っている。
加えて、彼らの立ち位置の難しさには同情してしまうところもある。

まず彼らのポジションには絶対的な外国人選手がいる。
柴山のところにはクルークス、渡邉のところにはレオセアラ。
となると、必然的にスーパーサブ的な役割を任されることが増える。
つまり1試合当たりの出場時間が限られてくる。

という一方で、言い方を変えれば彼らはそのポジションにおける2番手でもある。
1試合あたりの出場時間は限られてくるが、(怪我や体調不良さえなければ)それなりに出番は回ってくる。
ということは、結果も求められる。
特にビハインドの状況において、途中出場の前線の選手が求められるものといえば引いた相手を攻略しての同点あるいは逆転のゴール、それに繋がるアシストだろう。これはレギュラーの選手ですら難しいことだ。

出場機会は限られるが、その中でコンスタントに短い時間での出場機会は回ってきて、結果は求められるし、シーズン中に上位カテゴリーへの適応もしていかないといけないし、チームメイトとの連携も深めないといけない。
これを、ほぼ毎週試合があるなかで熟していかなくちゃいけない。
大変な労力を要すると思う。

特に柴山も渡邉も、周りとの連携の中でチャンスを作っていくタイプの選手だろうし、なおさら時間は掛かってしまう。

問題は、彼らを2番手として使わざるを得ないチーム編成にあるかもしれない。そんな彼らも、どんどん試合に使わざるを得ない。

たとえばヴィッセル戦で1点ビハインドの状況で途中出場した柴山が、彼のポジショニングのマズさからチームがボールを失いピンチを招いたシーンがあった。
元々ポジショニングはかなりフリーダムな選手なので、そことチームの規律をどう擦り合わせていくかという作業を、本来はもっと突き詰めてから試合に使いたいところだと思う。
けれども、チーム編成がそれを許せる状況ではない。
ポジション的にも柴山はクルークスの2番手なので、毎試合ベンチにいてもらわないと困るし、試合に出てもらわないと困る。

負けられない一戦で、未知数な選手を起用せざるを得ない。

この辺のやりくりは、小菊監督にとっても相当難しいものだと思う。

フロンターレ戦のように、こちらがリードしている局面なら相手が前に出てきて後方にスペースがあって、途中出場の選手たちで試合を決めきることも出来ると思うんだけど・・・。

この先どう戦うべきか


最後に、この先をどう戦うべきかということを、個人的な視点ながら書いていきたいと思う。(こうすべきだ!ではなく、僕はこう思う、ってだけ)

個人的には、このタイミングで今から新しい何かを生み出すことは不可能だ
と思うので、今季はこのまま突っ走るしかないかもしれないと感じている。

一時期より調子が落ちたのは事実だが、そこまで崩壊しているわけではない。
去年と同じことを繰り返すつもりか?と言われるかもしれないけど、こういうチーム作りをしている以上、避けては通れない壁だと思う。

もちろん、微調整はあるだろう。
特に3週間空いたこのタイミングで、しかも3連敗中ってことで、何かしらの調整は必ずしてくる。
ただ、今までもそうだったように、どうしても付け焼刃というか対処療法感が否めないことが多いので、大きな手は加えられないだろう。

かといって今からチームを大きく動かしてまた新たな問題が出てきては今度こそ対処する時間がないと思うので、そういう意味でも「今季はある程度このままで行った方が・・・」と思ってしまう。
それで流れを取り戻せたらベストだし、ダメであってもそれが今季の限界だったということ。

今季の残り試合はそう思うが、じゃあ来季は?と聞かれると、このままじゃダメだとは思う。

ただシーズン中に来季はどうだとか話すのも失礼だと思うので、ここでは一点だけ。

やはり再現性高くビルドアップからボールを運べるようになることが、今のチームが最も身に付けるべきことだと思う。

今のビルドアップ面での課題を挙げるなら(Twitter上でも似たようなニュアンスの事を言っておられる方がいたが)、もう少しポジショニングにこだわったほうがいいかもしれない。

誰が、どういう状況のときに、どこに立つのか。(なぜそこに立つのかも含めて)
そしてどこへ動き、どこを空けて、どこにボールを届けるのか。

もちろんそれは保持時に限らず、失った瞬間にも適切なポジションでなくちゃいけない。

こういうのは事前に何パターンものケースを想定して、準備して、それを試合の中で選手がピッチ上で使い分けるという、非常に高度なもの。
Jリーグでもこれが出来るチームはそれほど多くない。

でも、だからこそ、ここにチャレンジしてほしいと思っている。チャレンジすべきというか、この辺の仕組みを導入できる体制を作ってほしい。
良くも悪くも中位から脱しきれないセレッソが、もう一つ上に行くには、周りが出来ていないことをやるしかない、と個人的には思っている。

セレッソのビルドアップは、ポジショニングを決めたらそこから動かないから相手も動かせない、逆に決めなければ動きすぎてどうしたらいいかよく分からなくなるという2パターンが多いような気がする。

いまはどちらかというと誰がどこにいるべきか曖昧になってしまっている。だから相手から詰められて、出しどころがなくなる。出したいところ、いてほしいところに味方がいないケース、あるいは味方はそこにいるけど自分のポジショニングが良くないが故にそこへ出せないというケースはよく見られる。

繰り返すが、この辺の整備が出来たら本当に一つ上のレベルに行くことが出来ると思っている。
小菊監督も、だからこそボール保持の整備に取り組んでいたんじゃないかと。

正直、今の外国人アタッカーに頼り切るサッカーは、遅かれ早かれ壁にぶつかるだろうなとは思っていた。でも現状のベストがこれだという結論に達してこの戦い方になったのなら、あとはこれで突っ走るしかない。

残り5試合、まだ大事な大阪ダービーも残っている。
トップ3の可能性も完全に消えたわけじゃない。

昨季と同じ、失速したままシーズンを終えないためにも、もうひと踏ん張りが欲しい。

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