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口腔機能発達不全症

口腔機能発達不全症とは

食べる・話す・呼吸などの機能が十分に発達していない、もしくは正常な機能を獲得できていない状態

をいいます。

2018年に制定され、15歳未満を対象に公的医療保険が認められるようになりました。

では、口腔機能発達不全症とは具体的にどういった状態のことなのでしょうか?



チェック項目

☐ 口をぽかんと開けている
☐ 口呼吸
☐ いびきをかく
☐ 舌突出癖
☐ 目に力がなく、口がへの字、顔に締まりがない
☐ 活舌がよくない
☐ 口を閉じると顎先に皺(シワ)ができる

これらの中で一つでも当てはまるものがあった場合、口腔機能発達不全症の可能性が高いです。


習癖動画で確認

小児矯正のカウンセリングをしていて、「うちの子は口開いていないと思うんですよね」と、よく耳にします。

私が勤めている歯科医院では小学生を対象に習癖検査といって、
・質問をして答える様子
・お水を飲みこむところ
を動画に収め、癖を確認しています。

▶質問をして答える様子
「好きな色を3つ教えて」「赤色の食べ物3つ教えて」というように、簡単だけど少し考えなければいけないような質問をする。
唇の力が弱い子だと、答えを考えている時に少しずつ唇が開いきます。

▶お水を飲み込むところ
少量のお水をお口にふくんでもらい、ごっくんと飲み込んでもらう。
舌がうまく使えていないと、唇や頬に力が入ります。

カウンセリング前に習癖動画を確認してみると、実に多くのお子さんに習癖が認められます。(体感8割近い)

そうなんです。
癖というのは本人含め、周りの大人たちも気づいていないことが多いんです。

なぜかというと、「完全に発達していない」わけではなく、「少し気になるな」という程度なので、見逃してしまうことが多いからなんです。


起こりうるリスク

・歯並びが悪くなる

歯並びの遺伝は約3割と言われており、多くが口腔機能発達不全症から影響するといわれています。

・風邪をひきやすくなる

鼻呼吸をすることで空気が暖められたりウイルスを除去してくれるが、口呼吸の場合、冷たい空気が取り込まれ肺に負担がかかりますしハイダイレクトにウイルスが取り込まれてしまいます。

・呼吸障害(無呼吸症候群・いびき)

低位舌(舌の位置が下に下がっていること)により、寝ている間に気道の通りを悪くしてしまい、呼吸障害に繋がります。

・姿勢が悪くなる

低位舌などによって舌が気道や鼻腔の通りを悪くしてしまい、呼吸がしずらくなるため、呼吸をしやすくするために姿勢が悪くなります。


このようにお口の機能が発達していないと、体の成長を阻害してしまう恐れがあります。

じゃあ、「口を閉じるように口うるさく言えばいいのか」というと、日常生活でそれをお子さんに意識させるのはなかなか難しいところです。

家では意識出来ていても、学校生活では元に戻ってしまうかもしれませんし、お互いにストレスになる可能性があります。

ではどうするのか?


歯科医院にて指導を受ける

口唇圧などの検査をし、口腔機能発達不全症の診断が下った場合、保険診療を利用して指導や管理を受けることができます。(耳鼻科でも行っているクリニックがあるようです。)

例1 あいうべ体操

お口をおきく「あー、いー、うー、べー」と動かすことで口回り・舌の力を鍛えます。

例2 ぽっぴんぐ

いわゆる舌打ちを繰り返すことで、舌の力を鍛えます。


例3 ガムトレーニング

舌でガムをボール状に丸めたり、上あごに押し当てて薄く伸ばしたり、上顎に押し付けている状態で唾を飲み込むことで舌・口回りの筋肉を鍛えます。


お子さんによって提案されるトレーニングが異なりますので、通院される歯科医院に従いましょう。


注意

冒頭でもあげた通り、15歳未満が対象となります。
それは成長期であることが大きな理由で、体の発育が止まってしまうと改善が難しいといわれているからだそうです。


最後に

私たち人間は年齢を重ねていくと、どんどんお口の機能は低下していきます。
幼い頃からすでに機能の発達が不十分だと、通常よりも早い段階でさまざまな影響を与える恐れがあります。

すべてが完璧に改善するとは限りませんが、お子さんの口腔機能が少しでも改善し、正しく成長してもらえるよう、歯科医院では精いっぱいサポートしています!

一度、トレーニングを行っている歯科医院を検索してみてください。


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