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眺める、の日。
2023 4.15
いちにち、雨の予報の日。
午後から、雨脚は強くなる
と、あったので、
午前中、合羽を着て
花殻摘みなど、1時間半ほど、
作業をした。
合羽越しとはいえ、
雨にあたり、冷えたので
温かいお茶を飲んでから、
再び、庭に出て、
雨に濡れる可憐な花たちを
傘をさしながら、眺める。
昨年、初冬に種を蒔いた
パンジーさん。
ゆっくり育って、おっとり咲いた。
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来週あたりには咲きそうな
可憐な蕾たちも眺める。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103160188/picture_pc_9e6e010b5f03ca4e20ff0b5c3a706aee.jpg?width=800)
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見たことない花、だから
楽しみでならない。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103160191/picture_pc_ec4b3ef0e83c645a54af473dbe68b951.jpg?width=800)
もう、芯が黄色い。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103209186/picture_pc_fa857d875e2f0383b528c3f7870baf1f.jpg?width=800)
どこに蕾をつけるのかしら、と観察。
雨が本降りとなり、
すごすごと、部屋へ。
電子マネーとか、
AIアナウンサーとか
刻々と、世は変わるが、
雨に対して、は、
古き世から変わらない。
わたしたちは《濡れて》しまう。
濡れないように、
傘をさしたり、
合羽を着たり
雨靴を履いたり、する。
そして、雨の日は仕方ない、と
或いは、雨の日だからこそ、と
いつもの部屋を、
巣のように感じて、
雨音に包まれながら、
安心して、うたた寝をしたり、
編みものをしたり、シチューを煮込んだり
本を読んだり、する。
わたしも、庭を
窓硝子越しに眺めながら、
旅をハジメル、かのように
長編小説を読みはじめた。
壁がある街と、夢読みと
金色の毛がある、単角の獣と
死にゆく影の、ハナシ。
ページを繰りながら、
ときどき、庭を眺める。
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ふと、黒と白の鳥が来て、
ジギタリスとペンステモンの
足元に敷いている藁を2、3本
くちばしに咥えて
飛び立つのを、見る。
巣作りは
待ったなし、だものね
と、わたしはうなずく。
敷いた藁を、
巣作りに使ってもらえる
のは、光栄だ、とも思う。
コーヒーを淹れ直し、
本のなかへと、戻る。
16時過ぎ、風呂に湯を張る。
湯が溜まるまで、しばし、と、
傘を差し、庭へ、出る。
雨粒の重みに耐えかねて
八重のチューリップの花茎が
折れていた。
可哀想に、と
猫の仔を拾うように、
部屋へと、連れてくる。
台所の窓辺へ、挿す。
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ゆっくりと湯に浸かり、
髪を乾かして、
昏くなったころ、
本を持ち、
傘を差して、
庭の近くのrestaurantへ。
客は、テイクアウトを待つ
軽そうな黒フレームの眼鏡をかけた
青年しか、いなかった。
わたしが、ビールと
前菜盛り合わせを頼めば、
彼は、料理を受け取り、
にこやかにレストランを出て行った。
そこからは、わたし独りで
雨の夜のレストランで、
雨粒に煙る窓を見ながら
本のなかを、旅した。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/103209004/picture_pc_2ea469b98dd55502f7ef7d73a9399213.png?width=800)
ワインとスパゲティを追加で頼んだ。
部屋に戻るときも、
雨は降っていた。
傘をさして、わたしは
レストランの脇の
いつのまにか、満開となっていた
ハナミズキの白花を眺め、
なんと良い、春の雨ノ夜だろう
と、思った。
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