Kindle本「海事代理士」改訂稿
現在kindle版で公開中(ペーパーバック版で販売中)の海の法律専門職「海事代理士」~国家資格と法定業務の概要~に船舶登記に関する記述を追加予定のため該当部分を先行公開いたします。
船舶登記
所有権等の法律上の権利・義務は、非常に重要なものですが目には見えません。そこで不動産等その資産価値の高いものについては登記制度を設け、登記することにより広く一般に公示してその権利・義務を保護するとともに、商取引の安全を図っています。
船舶は本来動産ですが一般的に高額であり、その資産的価値の重要性から総トン数20トン以上の船舶については不動産同様に登記の制度が設けられており、船舶法では日本船舶は登記をし、船舶原簿に登録した後でなければ航行させてはならないと規定していますので、船舶登記は義務的事項とされています。
船舶登記令
船舶法第34条を受け、船舶登記規則(明治32年勅令第270号)が制定され、その後船舶登記令(平成17年政令第11号)に改正されました。
【第三十四条 船舶ノ登記ニ関スル規程ハ勅令ヲ以テ之ヲ定ム】
船舶登記令では登記できる権利を船舶所有権、船舶賃借権、船舶抵当権のみとしており、不動産登記よりもその範囲を限定しています。
不動産登記法の準用
船舶登記令は登記の中でも船舶に特化した事項を規定していますので、登記制定全般の通則的な部分の多くで不動産登記法等が準用されています。(船舶登記令第35条)そのため船舶登記の実務を行う上では不動産登記法等の理解も求められることになります。
独占か共管か?
登記というと一般的には司法書士の業務と思われがちですが、船舶登記はれっきとした海事代理士の業務です。しかしながら司法書士が船舶登記を行うことを妨げるような規定はありませんので、独占業務とまではいえません。
また現実問題として、全国的に人数の少ない海事代理士の中でも登記に精通している海事代理士は更に少なく、海事代理士のみでは全国の船舶登記需要を充たすことができないのが実情です。
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