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『前作から大躍進』ふたりはプリキュア MaxHeart詳細レビュー

どうもこんにちは。今回はふたりはプリキュア MaxHeart(以下MH)をレビューします。本作は前作キャラを続投させたうえで新キャラと戦うという作品です。

前作レビューに関してはかなり批判的な見解を示しましたが、今作に関してはかなり楽しめました。前作で見られたよくわからないキャラ描写に関しても、改善が見られどういう価値観を重視しているかわかるようになっています。

論点

・キャラ描写が前作に比べ地に足付き、かつ納得できるものになっている。
・新規の仲間であるひかりが癖の強いキャラクターを中和している。
・戦闘シーンに関しては前作とあまり変わらず。
・話の構成は前作の1-25話のほうがハイスピードで面白い


キャラ描写

22/30点

前作の意味不明さから一転、日常を重んじる価値観を大事にしていると伝わりました。

演出

16/20点

歴代と比べて肉弾戦が多く、見ごたえがあります。特に最後の戦闘は手汗がでました(笑)

話の構成

16/30点

基本的に話はほとんど進みません。ですが、日常を重んじていることを考慮すれば、致し方なしと思うためこの点数。

個人評価点

14/20点

なぎさとほのかの感情的なシーンが心に響きました。個人的にはひかりちゃんがもっと活躍してほしかったです。

総合得点

68/100点 佳作

キャラ描写

前作で散々批判したキャラ描写ですが、今作は非常に良くなっています。具体的に二つ挙げましょう。

・なぎさとほのかの泥臭い描写
・新キャラひかりの存在

先ほども述べた通り、今作は日常を断ち切ってくる敵と戦う物語になります。

プリキュアたちが部活に一生懸命取り組んでいる所や、家族と一緒に楽しんでいる中、敵が襲い掛かってくる。誰かのためではなく、自分のために戦う。これこそがプリキュアでしょう。

特に印象に残っているのは、なぎさとほのかの部活の回。大会のために一生懸命努力した中、敵キャラが台無しにしてきます。だからこそ、プリキュアたちが感情的になるわけです。

最初から誰かのために戦うわけではなく、自分のために戦う方が私としては共感できます。だからこそ、頑張ってきたものを邪魔してきた敵に対し感情的になるというのはとても人間臭く、納得できました。

他にも人間らしい描写があります。
例えば二人とも部長になりますが、その時にどうすれば部員をまとめられるか不安になるシーンが多く存在します。

例を挙げるときりがありませんが、前作のようによくわからないものに共感し怒るというシーンは少なくなっています。
(少ないだけで残念ながらありますが)

お次はひかりちゃんの存在について。
基本的に前作のクセ強キャラクターは相変わらずですが、それをうまくひかりちゃんが中和しています。

彼女は特殊で、光の女王でしたがそれが転生?してひかりという命が生まれました。その状態では人格等も形成されていません。その中でなぎさとほのかと一緒に日常を過ごしていきます。

その中で彼女の中にも大事にしたいものが出てきます。それが、日常の大切さ。一緒に過ごしていく中で日常がどれだけ楽しいかを実感し、守りたいと思うわけです。

そこから、他の人にも日常があり大切なものがあると学びます。その経験から、自らの意思で敵と戦うことを決意していきます。その過程が描かれているからこそ、戦う理由に納得いきます。

総じて、非常に丁寧に描かれている作品かと思います。

演出

素直に良かったと言えます。
前作同様しょぼい戦闘シーンもなくはないですが、最初だけでその後は手に汗握る肉弾戦のシーンが目立ちます。

でかい敵が現れても、その敵をビームや小道具なしに拳やキックで倒す姿は必見です。

話の構成

こちらは正直、出来はあまり良いとは言えないかと……。
その原因が、話が一見進んでいるように見えないからです。

具体的には、敵幹部も一切変わらず、味方の関係性もひかりちゃんが様々なことを学ぶという部分以外はほとんど変わりません。良くも悪くも前作からなぎさとほのかの関係性や人間性に変化はないのです。

とはいえ、女児向けアニメに価値観の転換が起こるような話というのは不向きでしょうし、そこらへんは好みと言えます。次回作スプラッシュスター(以下SS)も、細やかな描写から生命賛歌という価値観に切り替わったので、それと似たようなパターンと言えるでしょう。

後、個人的に感じたのは五話までが空虚なところです。ひかりちゃんが加入するまでの話があまりにもトロい。不思議なキャラなんだ……というのを五話かけて行うのがくどいです。

一話(というか、初登場時)ですでに不思議なキャラというのを感じ取れるので、二話で加入でもよかったかと。ただ、女児先輩からすると丁寧な方が良かったといわれるとそれまでなので、好みの問題と言えるでしょう。

個人的に感じたこと

二期制について

そもそも私は初代→MHの流れに関して、疑問を感じています。同じ登場人物を二年続けて登場させることに意味があるのかについてです。

MHは初代がひどすぎたので意味がありましたが、それは出来が悪いことを前提としています。逆にいえば、出来が良い作品の続編を作る意味は乏しいと感じます。

その根拠として、なぎさとほのかの関係についてこれ以上描かれることがなかったため、ほとんど進展がなかったわけです。そういう中にひかりちゃんを入れたとしても、彼女も困ることでしょう。

ひかりについて

そのひかりちゃんについても、いまいち立ち位置がわかりません。シャイニールミナスとして変身して戦いますが、その割にはあまり活躍しません。あくまでなぎさとほのかの必殺技援助枠の立ち位置で終わります。

5gogoのミルキーローズは5と独立して戦っていましたし、活躍も見えていました。しかし、シャイニールミナスに関しては敵と相対しても恐れたり、後ろで子供を助けるなど表立った活躍があまりありません。

ある種なぎさとほのかの異常性が対比して描かれていると言えなくもないですが、せっかく戦わせるならもっと活躍してほしかったと思います。これは映画にも引き継がれてしまいます。

映画でも、MHの映画なのになぎさとほのかが主人公で二人が衝突したり活躍するシーンばかりです。本当におつまみレベル。

総評

いろいろ気になる点が多い作品ですが、現代プリキュアという観点からMHを俯瞰すると、本作が歴史的に重要な一作になったことは想像に難くありません。

前作はヒーローとしてなぎさとほのかを描いていました。それは弱きを助け、そこに相対する邪悪を倒すというわかりやすい勧善懲悪で、そこに至る過程が雑でも大丈夫やろ……というストーリーです。

しかし本作はその方向性を変え、なぎさとほのかにも大切にしたいものがあるという点を強調し、戦うヒロインという要素に強くフィーチャーした作品です。

もちろん前作にも大事にしたいものについて描写されていました。しかし、本作ほど感情的になる理由が乏しいというのが私の感想です。

その結果、さらにシリーズが盛り上がり長寿コンテンツにつながったと思われます。そして、今作のような人間描写をより深める方向性はSSや5にも引き継がれ、プリキュアの完成形が垣間見えるようになります。

その点については、いずれSSと5について評価するときに語りたいと思います。

最終評価 68/100 佳作

表紙の引用:ふたりはプリキュア マックスハート オープニングテーマ 「DANZEN!ふたりはプリキュア(Ver. Max Heart)」より

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