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『ご飯は笑顔から一歩踏み込んだ快作』映画デリシャスパーティ♡プリキュア 夢みる♡お子さまランチ! レビュー

こんにちは。
今回は題名通り、映画デリシャスパーティプリキュアを見に行ったので、そのレビューを投稿したいと思います。

正直デパプリは筆者の中ではワースト3に入るくらいの出来だったので、不安が大きかったです。しかし、初めての映画プリキュアだったこと、そして構成に田中仁さんが携わっているということで期待半分、不安半分と言う感じでした。

ネタバレ有なので、見たくない人は今のうちにブラウザバックをどうぞ。































まず一言。めっちゃ面白かったです!

キャラ描写

28/30

敵キャラに関して、どうしてプリキュアと敵対するのか、その目的は何かと言う部分が明確に描かれています。そのうえでプリキュアは敵と向き合おうとするため、今までのデパプリとは大きく異なると感じました。

話の構成

25/30
ちょっと駆け足気味なところがありましたが、過不足ないといえるでしょう

個人的評価点

16/20
面白かったです。

総合得点

89/100 傑作

ポイント

  • 敵キャラのドラマの演出

  • 大人の言葉を禁じたうえで想いを伝えようとした(ゆいちゃんの深堀)

ぶっちゃけ本作を語るうえで、話の構成や演出は蛇足なので上二つだけ語ります。(構成については議論するだけの教養がない、演出は映画なので力入っていることから)

まず本編について少し語ります。本編の問題点として、

  • ゆいちゃんの深堀回が一話しかない

  • 喋ってもおばあちゃんbotになっている

  • 主人公の価値観がシンプルなため、結果的に対話が生まれない

と言った問題点が見受けられます。他にもブラぺ問題とかジェンダー論とかありますが、本題ではないので触れません。深堀回が少ないのは論外として、おばあちゃんbotになっているのはだいぶ厳しいところでございます。

というのも、味方キャラを励ます時や声をかけるとき、大体が「おばあちゃん言ってた!」と言ってしまうわけです。これが全てを台無しにしてしまっています。

そして、敵キャラの描写もきついものがあります。なぜならいつものパターンでは、レシピッピを奪われたせいで変な味がする、あるいは思い出を奪われるというもの。だから戦うというシンプルなものです。

敵側からすれば、ごはんをくだらないと思っているそうですが、そこにドラマが生まれていません。なんせ、敵キャラの目的やくだらないと思った理由が全然わからないからです。

これらの問題点を整理したうえで、先ほどの二点について議論します。

敵キャラの描写について

本作の敵キャラの動機、目的は非常に明確です。
幼いころ身寄りがなかったケットシーはゆいちゃんと出会い、お子様ランチを食べさせていただきました。

そして、笑顔を失ったケットシーはお子様ランチを食べることで笑顔が復活。そこから、みんなを幸せにしたいという夢を抱きます。

しかし、その夢をかなえるため道具を発明したケットシーは、邪悪な心を持つ親代わりの大人に悪用されかけてしまいました。

裏切られたとき、「(みんなを幸せにするという)子供のような夢は諦めろ」という言葉から、大人なんか滅んでしまえと考えてしまいます。

それゆえに敵キャラの行動もわかりやすいものになっています。子供だけ安全地帯へ集めたうえで、大人たちを人形にしようと企みました。

しかし、ケットシーは気づいています。自分の夢のために罪のない人を傷つけていることを。それゆえ、自身は純真な心を持つ子供ではなく悪意を持つ大人であると。

それゆえに夢の起源であるお子様ランチを食べられませんでした。あれは、自分が子供だった象徴だったから。そして、夢の起源である和実ゆいちゃんに出会うことで、自身の行為に後戻りできなくなったわけです。

以上のように、本編と比べて強いドラマ性を持っています。本編と異なり美味しい食事を奪うこともしていません。そのため、対話が生まれます(本編も、食事が嫌いな理由を描写すれば対話の余地が生まれるでしょうが)。

また、ケットシーの優しい面も描写されているのもgood。子供の好きなもので遊ばせる、お子様ランチと言う子供がわくわくする食事を提供、純真な子供の夢を応援したりなど、枚挙に暇がありません。

というように、敵キャラの言動について一種の説得力が生まれます。

ゆいちゃんの深堀について

そして、本作のゆいちゃんもなかなかの大活躍です。
ケットシーの心情を知ったゆいちゃんは悩みます。

自分は優しい大人たちに囲まれて生まれ育ってきた。だけどケットシーは信頼できる大人に裏切られてしまった。だから、おばあちゃんが言ってくれた「ごはんは笑顔」と言う言葉は無力。

それでも、伝えたいことがある。だから、コメコメや他のメンバーともプリキュアに変身する。想いを伝えられるよう、暴走したケットシーを止めるために。

と言う感じでございます。この辺の心情描写は見事です。いつもの本編だったら、「大人でも信用できる」だの「おばあちゃん言ってた」等々いうでしょうが、この作品に関してはそんなことはありません。

そして、ケットシーの暴走を止めた後、彼女は言うわけです。「嬉しさだけでなく一緒にご飯を食べることで、悲しみも分かち合いたい」と。これはある種の価値観形成です。言い換えるなら、成長。

それゆえに一本の映画の中でゆいちゃんの深堀を行ったと言えます。洗脳解除過程がごり押し、力づくで相手の野望を止めるなど、あまり寄り添う姿勢がなかったゆいちゃんが、映画の中で相手に寄り添おうとした。

憎んでいる大人を守っているゆいちゃんを見てしまったケットシー。決意が綻びながらも目的をかなえようとする。なぜなら、この時点で辞めたら子供を止めた意味がないから。

そんな敵に対して、寄り添ったわけですから成長したといって良いでしょう。

ちなみに突っ込まれそうなので言っておきます。最初、ケットシーに「ごはんは笑顔」と声をかけていますが、そもそもご飯を与えたことは彼女の判断であると描写されています。

加えて言えば、ゆいちゃんがまだ幼児だったことを考慮すると、この描写については問題ないです。

その他もろもろ

コメコメの成長

個人的に映画公開日の前に放送された回よりもずっと良かったです。最初、コメコメはお子様ランチは子供の食べ物だと主張します。早く大人になりたいコメコメからすると、食べたくない。

ですが、ケットシーの説得においては「大人がお子様ランチを食べても良い」と主張します。大人でも子供の夢を思い出していいというわけです。実際、自分も子供の夢を応援してくれたから。

後、大友でもプリキュア映画を見てよいと個人的に解釈しました。

ブラぺの存在

お邪魔虫でした。ホンマ何のために出てきたんだこいつって感じです。一応たくみ君の「お子様ランチは大人の食べ物だ」というセリフは重要ですが、別にたくみ君じゃなくてもいいし……と言う感じです。

最後の戦闘でも活躍の場がほとんどないです。本当に何しに来たんだろ……

総評

とにかく面白かったので、ちょっとでも興味があるならぜひ見に行ってください。本編とはまた別ものとは言われますし、私も本編で扱いきれなかった要素を映画にすると考えています。

その観点で見れば、今作の「ごはんは笑顔」というメインテーマを崩したわけですから、私の望んでいたものが出てきたと言えます。

最後に、画像の引用は映画プリキュアHP様よりさせていただきました。引用先を記述します。
(→https://2022.precure-movie.com/)

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