フォローしませんか?
シェア
黄のユリが浅い器に咲いていた どうしたのだろう 花の頭だけが飛んできたのか 茎が短すぎる 飛…
孫娘はお絵描きが大好き 小さな手のひらに収まるくらいの紙にも 鳥や魚や花や人を こまごまと …
もわもわんもわもわん 川の中で 伸び上がる 入道雲 吞み込まれて ぎらんぎらん あぶらぎる お…
あなたは連れ去られてしまった 長い歳月の苦悶に 追い打ちがかけられたみたいに あなたの隣の…
俺が岩壁に挑んでいたとき 戦争が始まった 僕が植物を愛でていたとき 地球で育まれた生命が大…
ゆらゆらといのち はぐくむゆりかごに ときときのするどき くいをうちすえたり ゆらゆらとさん…
喨々(りょうりょう)たる大気の調べに 鰯雲がさざ波を立てる 野鳥の群が鋭角に 大空は誰のものか プロペラの高速回転と爆音は 天の水面(みなも)の陰翳を 容赦なく鉤(かぎ)裂き、破り散らす 野鳥は飛び立ち、逃れ、溺死する そして、山はただの地形と化す 山は誰のものか 太平洋戦争末期 東三河の地にも空襲警報のサイレンが鳴り響き 夜となく昼となく人々を不安の峡谷へと陥れた B29の爆音と焼夷弾に燃える夜の戦慄 米軍の本土上陸を迎え撃つために 怒(いかり)部隊(第73師団)