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ろくなもんじゃない日常・捨てたもんじゃない人情 2

二人のお母ちゃん


幼稚園を卒園した春休み、ばあちゃんの娘の綾子さんの家に来た。
この家には、お父さんとお母さん(綾子さん)、お兄ちゃんが二人いた。
前にも長期休みに何度か遊びに来ていたが、すごく優しくしてくれて大好きだった。

私の他にもこの家に遊びにくる親戚の家族がいて、その家族にもお父さんとお母さん、お兄ちゃんが二人いた。

私が「お母ちゃん」呼ぶと、
二人のお母さんが「はーい」と答えるので、
私は綾子さんの星野家の方を「パパ、ママ」、もう一方の吉田家の方を「お父ちゃん、お母ちゃん」よ呼び分けていたようだ。

この家に来た最初の夜、お風呂に入るとき、
「ママ、一緒に入って」とお願いしてみた。
「何言ってんの、小学生にもなって」と笑われてしまった。

今までばあちゃんに入れてもらっていたのも、一人で入るのが怖かったからなのかもしれない。

この家のお風呂は目をつむるといろんな音が聞こえるし、いろんな人が見ているような、お化けがいっぱいいるような、なんか見えるような、そんな気がしてたまらなかった。


つづく

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