とある古道具屋スタッフの日記②
さて、現場は珍しく長野市内から少し飛び出し小布施町へ。
のどかな栗畑?を眺めながら現場へと向かった。
初めての・・
今回のレスキューはワガシャで収集をしてもらっている産業廃棄物の業者さんからつないでもらった
初めてのもの。
一度回収してしまうとそこから回すことは難しいという事で、
取り壊しが決まっていた元陶芸家さんが作品を作っていた工房を取り壊し直前に
教えていただき向かうことになったのだ。
こういった古道具の買取り・引取り(レスキュー)をしていると、
自分たちに声をかけていただくことも多くなってはきたものの
やはり再び使いたい人がいるということを知らないまま、処分してしまう方も多くいることをひしひしと感じているため、
このような業者さんと手を組めるようになるのはとてもありがたいことなのだ。
とうげいかのせんせい、目覚める。
と、そんな背景もありつつ、実際に建物の中を見させてもらうと
もうすでにほとんどのものを処分してしまっている様子。
あるものはというと…。
こんなのとか
こんな感じの
それから…?
一旦ストップ。
斜めになってるガラスのショーケース。
ちょっと運びにくいけどとってもかっこいい。
靴箱として使われていたけど、本棚もかっこいい。
手作りの食器なんかもモノによるけどやっぱりいい味が出ていた。
で、これは一体。
ハニワ…?
某ゲームでよく掘り漁ってたし売りまくってたことを思い出す。
しゅっと細くなっていく躰。
しゃくれた顎。
少しよれてしまったシャツ。
そしてめちゃめちゃ喜んでる。
ちょうど日本代表がサッカーの決勝トーナメントに上がるのが決まったあたりに行ってきたが、まさにこんな感じの人いたと思う。
物件の所有者さんに話を伺うと、
普段は日用の食器を量産向けに手作りしている方だったみたい。
引き出しの中からは小学生の子たちから感謝のお手紙も沢山見つかっていたから
「とうげいかのせんせい」だったのだろう。
地域の学生さんたちから親しまれて、素敵な方だな。
…。
で、ハニワなのだが、これは恐らく ”遊び” で作ったものらしい。
凄い才能だ…。
いつか旅立つその日まで
遊び心満載の「とうげいかのせんせい」。
そんな先生が作ったハニワはワガシャで洗われている時にひょんなことから「ジョボ」と名づけられ、
今はレジの横で喜んでいる。
いつかこいつも誰かの元へと旅立っていくのだろうか。
それは少しさみしい。
だが、もしもこいつを愛してくれる人が見つかったらその時は。
そう、こうして、愛をもってレスキューしてきたモノタチを新たなる愛用者へと
引き継いで見送ることも、また、スタッフの仕事。
その時には、この現場で知った物語なんかも一緒に笑いながら持って行って欲しい。
そう願いながら今日も「ジョボ」を見つめて笑顔になるのである。
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