商品を売り切るために
商品を売り切るために
「店長、おはようございます」
「加藤さん、元気な挨拶ですね」
「ははは、今日はちょっと提案があって」
ヨコシマスーパーでは、賞味期限、使用期限が近づいた商品は、特別コーナー「お買い得品」で販売していました。
加藤さんの提案は、元々の売り場、賞味期限が長く残っている商品の売り場で値引き商品も売ることを提案したのです。
世の中は、フードロスを防ぐ事が報道されていますが、特別コーナーで商品を選んでいるのは、何か抵抗があるみたいで、なかなか売り切る事が出来ないのが、悩みでした。
ヨコシマスーパーでは、特別コーナーでも売り切れないときには、子供食堂に無料で提供していたのですが、子供食堂でも使用しきれない商品もあるので、基本的には、値引きで売り切りたかったのです。
例えば、賞味期限が一年の商品なら、残り2ヶ月の時に30%引きの表示を行い特別コーナーに移動して、残り一ヶ月で50%引きにして、残り一週間で売り場から下げていたのです。
例えば、中華料理の調味料などが欲しい方は、中華料理を近日中に、調理したくて、中華料理の調味料コーナーを見ているので、そこに、日付切れ間近の商品があれば、間違いなく、手に取るはずです。
直ぐに使いたい電池を買いに来た方は、使用期限が残り半年であって、価格が半額であれば、半額の電池を購入する気になると思います。
特別コーナーに行って、「へーこんなに安くなっているんだ」と思っても、必要のないものを購入する方は少ないと思います。
スーパーの売り場で、何を探すかとい言うときに、今日明日、今週のメニューを考え、商品を購入しているはずです。
ヨコシマスーパーでは、加藤さんの提案を受け、調味料コーナーでは、特別コーナーを廃止し、元々の売り場で、日付切れ間近の商品を販売したのです。
はじめは、値引きの黄色いシールだらけになったのですが、一週間ほど過ぎると、黄色いシールが目立たなくなりました。
ヨコシマスーパーでは、賞味期限の確認を、売り場毎に、月に一回は行うようにしています。バックヤードに売り場の配置図を貼り、日付チャックの予定日と、実施日を書いていたのです。
元売り場での値引きをしばらく続けていたのですが、「お茶の値引きの予定は何時ですか」、「電池の値引きの予定は何時ですか」とお客様から声をかけられることが、増えてきたのです。どうも、定期的に、値引きされることに気がつく方が増えてきたのです。
理想的には、毎週月曜日などに、すべての売り場の日付点検を行えばいいのですが、通常の品だし等の業務もあるので、現状では、月一回の点検になっていたのです。
加藤さんは、日付点検の現場を確認しながら、ある方法を思いついたのです。
現在の方法は、日付を確認し、値引き対象の商品のバーコードを読んで、ハンドプリンターから出てくる、割引のシールを、商品のバーコードに貼っていたのです。
毎朝、売り場の顔を揃える事を、売り場の担当の方は、全員で行っていました。
顔を揃えるときに、一番前の商品は、日付が一番古い物が並んでいるはずです。
月に一回の点検時には、すべての商品の日付を確認するのですが、毎日、一番前の商品の日付を確認し、もし、値引き対象になるのであれば、「賞味期限が残りわずかで30%引き」のシールを貼ることにしたのです。レジで、シールがあれば30%引いて処理することにしたのです。
商品売り上げも30%引きのレジ操作の後に、バーコードをスキャンすれば、売上管理も問題無いように、システムも変更し、値引き率も出るようにしました。
シールは、誰が、朝何枚持ち出し、何枚戻したかも記録するようにしました。
顔見知りのお客さんに「値引きシールちょうだい」と言われても、もちろん、断るように教育を徹底しました。
更に、レジには、元々、監視カメラが付いていたのですが、値引きシールが貼っていないのに、値引きボタンを押すと、アラームが出るようにソフトを開発し、監視カメラの画面は、休憩室で誰でも見られるようにし、アラームも見られるようにしたのです。
もちろん、監視カメラの画像は、録画し、長期で保管したのです。
「お天道様が見ている」状態にすることで、悪さが出来ない環境を作り出したのです。
就業規則で懲罰規定を設ける事も大切ですが、「お天道様が見ている」状態にした方が、悪さを犯しにくいようです。
売り場の点検を容易にし、シールを直ぐに貼れるようにしてから、売り場が、綺麗になり、お客様も、直ぐに使う物は、前から取るようになったのです。
お買い得コーナーは、青果だけにして、精肉、鮮魚、加工品などは、元々の売り場で売るようにしたのです。
お客様からの評判もよく、結果として、廃棄になる食品はほとんど発生しないように」なりました。
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