HACCPの管理ってしなきゃいけないの 

HACCPの管理ってしなきゃいけないの   

「加藤さん、おはようございます」
「店長、おはようございます」
「加藤さん、ちょっと時間ありますか」
「いいですよ、何かありましたか」
 ヨコシマスーパーでは、毎月1回、モール全体の勉強会を実施していたのです。
 喫茶店、チェーンの飲食店なども、参加していました。その中の、飲食店の責任者の方から、青山店長は、質問されていたのです。
 質問の内容は、HACCPが施行されたと聞いているけど、実際には、何をやればいいのですか。HACCP専用の記録を付けるための端末が必要だとか、行政書士の方が、導入しないと、営業停止になりますよと言って、営業にくるのですが、どうしたらいいのって、聞かれたみたいです。
 青山店長は、今度、調べておきますと、答えたのです。
 いつもの青山店長なら、加藤さんちょっと説明してきてよ。と言う所ですが、今回は、自分の知識を深めるためにも、加藤さんに時間をとってもらったのです。
 HACCPの管理は、2021年の6月までにすべての食品を取り扱う所では、導入しなければならないとされています。基本は、50人以上が働く食品工場などでは、しっかりした管理が必要ですが、簡単な飲食、50人未満の方が働く飲食店などは、HACCPの考え方の管理を導入することが必要です。
 HACCPの資格、認証、行政書士の方の指導、タブレットの導入をしなきゃいけないと言う考え方は無いのです。
 具体的にどうしたらいいかと言うことは、7つの手順、HACCPチームなどを指導している方も、いますが、二人、三人の飲食店では、具体的にどうしたらいいかわからない物です。
 加藤さんは、HACCPの初めのHを学ぶ事が必要といつも解説していました。
 初めのHは、Hazard(危害)と言うことになります。この危害は、誰の危害かと、言うと、提供した食品を食べる方の危害と言うことになります。
 お店で取り扱っている食品でお客様が危害(食中毒)になることを、考えて、その危害が起きない様に、どんな、ハードルを立てることが必要か、調理しているとき、原材料を検収しているときに、ハードルがしっかり立っているかを考えることが大切なのです。
 例えば、生の鶏肉にはどんな、Hazardがあるのか、その危害を防ぐハードルは、何かをしっかり考え、取り扱う方に教育しなければならないのです。
 鶏肉を運んで来た方が、お店が開店前なので、店先の常温の所に放置し、生暖かくなった、鶏肉を、受け取り、冷蔵庫にしまうような管理をしてはならないと言うことなのです。
 生の鶏肉のHazardは、細菌だけで無く、店先に放置されると、異物を入れられる、洗剤などの化学薬品を入れられる、ゴキブリなどの虫が混入するなどの、リスクが多くなってしまいます。
 厨房で調理する、お客様に提供する、お客様が食べる時の管理だけで無く。原材料を受け取るまでの管理が含まれるのです。
 同じように、最近始まっている、配達される方の管理も、必要になります。
 生寿司が、温かいカレーと同じボックスの中で運ばれ、生寿司が温かくなってしまい、お客様が、数時間、食卓に放置された上で、食べられてしまうと、生寿司からの食中毒の可能性が出てしまいます。
 スーパーなどの持ち帰り生寿司は、しゃりもネタも冷やし込んでいます。
 カウンターで食べる美味しい鮨は、しゃりは生暖かく、ネタもある程度温度を上げてから、握るので、その場で美味しく、安全に食べることが出来るのです。
 カウンターで握った美味しいお寿司を、デリバリーで運んで、家庭で放置されると、細菌的に危ない状態になってしまいます。
 ある程度の時間をかけて、運ぶ事を考えて、鮨のしゃり、ネタの温度、運んでも崩れない握り方が必要になるのです。お客様の口に入るまでを考えた、調理をすることが大切なのです。
 宅配便で、ケーキなどを届けるサービスを行っているところもあります。
 その業者は、ケーキが届いたときに崩れていても、責任は取りません。と謳っています。
 しかし、普通に取り扱っていて、製品を落とすなどの行為を行っていなくても、崩れてしまう梱包、製品であっては、誰も注文することは無くなってしまうのです。
 私も、地方からの酒を取り寄せたときに、途中で、伝票が剥げてしまい、迷子になってしまった経験があります。お客様のところに届くまで、口に入るまでの管理が本来必要なのです。
 HACCPがアメリカで始まった頃は、From farm to table の管理と言われていた物です。
 最近は、 From seed to folk と言われています。まさに、産地、品種が、しっかり管理されているかどうかまでの管理を行うべきと言うことです。
 豚肉、野菜などの産地を謳っている場合、納品業者にだまされたと言ういいわけは通じない事になるのです。
 まず自分のお店の Hazardをしっかり分析して、お客様が食べる時に安全で美味しく感じる物を、提供出来るように、しっかり考えることが、HACCPの基本になるのです。
 行政書士の方、タブレットに頼るのが、HACCPでは無く、自分自身で考える事が必要になるのです。


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