産地の信用を得るために 精肉部門 

産地の信用を得るために 精肉部門 

「加藤さんおはようございます」
「店長、おはようございます」
「加藤さん、惣菜部門の売上、ISB部門の売上、食品全体で伸びてきたよ、昨年度も大きく上回ったよ」
「おめでとうございます」
「やっぱり、お客様と会話することが、一番大切だと、言うことを再認識しました」
 ヨコシマスーパーの青山店長は、ヨコシマスーパーの店長会の中で、スーパーに置ける、産地表示を、法律で定められて以上の県単位ですべての食材を表示したらいいのでは、と言う提案をし、「まず、おまえの所でやってみろよ」と言われ、水産、惣菜部門、ISB部門と、ホワイトボードに毎日、使用している産地を、詳しく表示していたのです。
 ISB部門では、アメリカ産の小麦を輸入して、日本で製粉していると、一般的には、小麦粉(国内製造)と表示している物を、あえて、アメリカ産の小麦を、国内の○○県で製粉しています。とホワイトボードに書いたのです。中国産の小豆を使用している場合も、正直に書いたのです。
 お客様が手に取った時に、必ず声をかけて、「このパンに使用している食材が中国産の物なんですが、気になさりますか」と声をかけると、「ん、私が食べるんだから、美味しければいいのよ」と答える方が、結構多い事にも驚いたのです。「産地が正直に書いてあるだけで、安心するからいいのよ」と答える方も多かったのです。
 日本の法律のように、いかに、ごまかして、国内で製造しているように見せるかを考えるよりも、小麦をアメリカから輸入して、日本の○○県で製粉していると、書いた方が、安心感を与えると青山店長は、強く感じていたのです。
 今回は、精肉部門の取り組みです。精肉部門は、法律上は、国産表示か、輸入した国名の表示を行えばいいことになっているので、輸入肉は、簡単に対応が出来るのですが、国産肉は、銘柄肉以外は、問題が多くありました。
 畜産関係者がブランド肉として、自分たちがこだわって売りたいとしている、肉は、誰がどこで育てたか明確に書いてあるので、全く問題が無かったのですが、豚の挽肉、コマ肉は、どのように表示すればいいか、悩んでしまったのです。
 特に挽肉は、挽肉専用の原料があって、それを使用している場合は、お客様に伝えていいかどうか悩んでいたのです。
 しかし、県名単位で「透明化」、「見える化」を目指していた青山店長は、パックセンターに、挽肉の中身の公開を依頼したのです。
 ヨコシマスーパーでは、挽肉、コマ肉などのパックは、加工センターで、パックした物を仕入れ、店に並べていたのです。一部、銘柄豚、銘柄牛は、店頭で注文を受け、スライスしていたのです。店頭でも、挽肉は販売していたのですが、それは、このコマ肉を挽いてください、と言うお客様に対応していたのです。
 挽肉は、コマ肉などと同じ豚を使用している場合もありますが、挽肉用の原料豚、鶏、牛を使用している場合もあるのです。
 例えば、豚肉の親豚、卵を産んでいる鶏、牛乳を搾っていた親牛などを、挽肉用原料として使用しているのです。関係者の間では、大貫豚、親鳥、経産牛などと呼んでいます。
 すべて、国産原料なので、国産と表示すれば問題無いのですが、経産牛などは、牛乳を絞り終えた後、屠畜されるまで、牧場を変えて飼い直す場合があるので、産地表示が面倒になってしまいます。今の日本の法律では、一番長く飼ったところが、産地になるのですが、牛乳を絞っていたのが、北海道であれば、北海道産の牛肉になってしまいます。
 とりあえず、青山店長は、親の肉を使用している事は、今回は、表示せず、あくまでも、県名単位で表示することに集中したのです。
 その後、挽肉料理に応じて、適切な肉の種類をお客様に伝えようと考えました。
 親鳥の挽肉の方が、ブロイラーの挽肉よりも、味がしっかりして、肉団子、鍋などにはいいと思っていたので、親の肉が入っている事をプラスの気持ちで、お客様に伝えたいと思ったのです。
 パックセンターから納品されてくる豚の挽肉には、国産表示がされてきます。
 同時にパックセンターから、ファックスでその日の豚挽肉に使用している豚の産地は、多く配合されている順で、(茨城、埼玉、栃木)と記載されてくる仕組みを作ったのです。
 はじめの内は、ホワイトボードに書き換えていたのですか、作業性を考え、パックセンターからのファックスをそのまま、ホワイトボードに貼ったのです。
 鶏の挽肉、牛の挽肉、コマ肉などもそのまま、ファックスの情報を貼ったのです。
 銘柄肉は、元々産地が表示してあったので、問題は無かったのですが、加熱していない、ハンバーグ等の仕入れ品の産地表示が進まなかったのです。元々、ハンバーグの製造工場で仕入れている肉の表示が(国産)表示であるので、県名まで表示する事が出来なかったのです。
 今回は、精肉までの県名表示として、加工品は、次のステップとしたのです。

あくまでも、空想のお話です。

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